日本は資源こそ乏しいが、水だけは豊富であると教えられてきた。
ところが、仮想水の考え方に立つと、日本は水の輸入国であるという。
仮想水とは、virtual waterの直訳である。
たとえば、日本が牛の飼料とししてトウモロコシを輸入した場合、その栽培に必要な水量を輸入したと考えるのだ。もし、牛肉を輸入したなら牛を飼するに必要なだけの水量を輸入したと考える。
もともとは1990年代に砂漠の国々の水資源問題を考えるために作られた概念らしい。
砂漠で水争いが起こらないのはなぜか。
それらの国々では食料を輸入している。
それによって国内の希少資源である水を使用しないですんでいる。
これは水を輸入していることとと等価ではないかと考えるわけである。
輸入の財源は、砂漠の国では希少資源でない原油の輸出によって賄われる。
そうだとすると、ガソリンを節約するためにエタノールを輸入するということは、エタノールの原料がトウモロコシだとすると、トウモロコシを輸入するということで、それは、そのトウモロコシを栽培するために必要な水を輸入する事と同じことになる。
つまり、エタノールの輸入とは、仮想水の輸入と同じである。
そして、その財源は、日本ではガソリンを燃料とする自動車の輸出によって賄われる。