1970年代の半ば頃だったろうか。講談社から手塚治虫全集が刊行された。その作品群の多さには度肝を抜かれた。全集を全て買い揃えようなどと野心に燃えたが、あっさりと諦めた。理由は経済的理由だ。
全部は買えないし、それに好きではない作品もある。手塚作品は幼少の頃から今日まで、その折々に作品に触れてきた。友達同志での本の貸し借り、本屋での立ち読み、勿論自前での月々の雑誌の購読。
自分には、こうした思い出で充分だと負け惜しみではなく全集の買い揃えを諦めた。それが昨今、古本屋でどんでもない安値で手塚作品が売られている。これは好機とばかりに買い求めている。
それでも死ぬまでには全部は読み切れないだろう。それでも良いと思っている。僕にとって手塚治虫は子供の頃のラジオ体操の朝の空気であり、川遊びの帰りに飲んだ岩清水の水なのだから・・・・・・。
絵はそれとは関係なく映画の看板。九分九厘の仕上がり。