深夜にこうしてシャカシャカとペンを動かしていると心が落ち着く。ペンといってもデジタルペンでパソコンの画面、いわゆるタブレットに描画している。看板屋の職人を辞して十年近く病院の守衛をしていた癖がいまだ抜けずに深夜にごそごそと活動している。
一枚目の絵はメディバンペイントのデータを素のままにウェブデータに変換してアップしてみた。いつもはこれでアップしている。
二枚目はフォトショップにデータを持っていき白黒をはっきりさせている。通常の漫画雑誌は白黒をはっきりさせた印刷をしているので上のような、いわゆる曖昧な感じではまずいのだろう。子供の頃の読者応募の漫画作品なども墨一色で描いて下さいと但し書きされていた。鉛筆やボールペンは不可というわけだ。
違いはあまり判らない。この類の絵は素のままでアップしているが、手描きの劇画やイラストはフォトショップで白黒をはっきりさせている。漫画雑誌の印刷の都合上、墨一色というのが長き風習のようだが、まれに鉛筆描きや水彩絵の具で作品を発表しているものもある。当然そういう場合は印刷方法がかわるのだが。
こうしてネット上で作品を発表する場合は、考えてみればどうでもよくて印刷の事情などを気にすることもないわけで、この頃では鉛筆一本で劇画作品を描こうかなどと考える。それの方が時間が短縮出来るし表現も広がるかもしれない。
完成である。テキストも合成もメディバンペイント一本ですませた。テキストとはラドン、出演俳優等の文字打ちの事で、合成とは先に描いた俳優、佐原健二、白川由美をコピーペーストした。当初はデータをフォトショップに持っていき、しかる後にイラストレータでテキストをと考えていた。昔はこいう手描きの映画の看板が巷に溢れていた。
ラドンは怪獣映画としては初のカラー作品と記憶している。DVDで改めて観るとラドンを吊っているワイヤーも背中から丸見えである。制作者のコメントによると今時の技術ならワイヤーも消せるがリマスターするにあたってそのままにしたとの事だ。
上記の絵はテキスト打ち前の俳優をコピペした状態の絵である。メディバンペイントにも大部慣れてきたのでフォトショップに移動せずに処理した。今見ると女優の白川由美の方に入れ込んで描いているのが分かる。時間も三倍ほど掛かっている。
上記の絵は背景のみである。これはこれでレイヤーは十個ほどある。レイヤーとは階層の事である。紙描きの一枚で描くのとは違い、透明の薄いセルロイドにそれぞれに遠景、近景、等と分けて描いていると願いたい。この場合は戦車、地面、街並み、ラドン、空と分かれている。お互いが干渉しないので便利である。