前回の記事にて、「次は川根両国車両区にて健在である初代機関車のDB1形を、ワールド工芸の組み立てキットにて製作する予定である」と書いたが、そのDB1形の動力ユニットを試しに動かしてみたところ、ガタガタと変な動きをしたあげく止まってしまうという不具合が判明したため、DB1形の製作をいったん保留にし、その次に作る予定だった二代目機関車のDD100形を先に作ることにした。
上図はネット上で見かけた、川根両国の車両区にて静態保存されているDD100形の107号機の姿である。私が2021年7月に両国吊橋から見た時は、車体の塗装が現役時代のツートンカラーに復元されていたので、上図はそれ以前の状態であろう。DD100形は昭和29年に6輌、昭和35年に2輌が製造されて、計8輌が井川線にて運用されたが、現在は上図の107号機のみが昭和61年に最後に廃車となって以来、川根両国車両区に留め置かれて今に至っている。
その107号機の現役時代の勇姿である。御覧の通りのツートンカラーで、新型のDD20形と重連となって列車を牽引している。このようなDD20形との組み合わせを、出来たら自分のNゲージでも再現して楽しみたいな、と考えた。
しかし、井川線の多くの車輌がNゲージの主要メーカーから未だに商品化されていないのと同様、このDD100形も現在に至るまで全くNゲージ化されたことが無いようである。
したがって、再現を試みるには自作スクラッチしかないわけであったが、あえてチャレンジしてみることにした。無いものは作ろう、という発想は、私の場合においては戦車でも鉄道でも同じであったからである。
しかし、鉄道模型を初めてまだ4ヵ月にも満たなかった身には、車輌の完全な自作スクラッチというのはハードルが高すぎた。既存の車輌をベースにして改造する、という手法に落ち着いたのは必然の流れであった。
DD100形にサイズが近い車輌をNゲージにて色々探したところ、上図の鉄道コレクションの第1弾に含まれている名鉄デキ100形、俗に凸型機関車と呼ばれる車輌が、長さにおいて最も近似するタイプであったため、中古ショップで500円で購入して確保した。
そして車台と車体に分割して、車台をそのまま利用して改造するという方法を採った。
この名鉄デキ100形は、上図の状態まで分割解体出来るが、DD100形の製作に転用出来そうな部品は、車台と台車の他はヘッドライトぐらいであった。あとは、プラ板などで作ることにした。
車台の寸法を測ってみると、車長がやや短いことが分かったので、両端をプラ材で延長してDD100形のサイズに合わせることにした。その前提で車体の基本設計図を上図のように描いて、各所の寸法の比率なども計算した。
最初は動力ユニットを組み込むつもりだったが、車体の内部空間が動力ユニットよりも小さいので無理だと分かり、トレーラー車に仕上げることにした。動力車を別に作って繋げば、列車として走らせることが出来るからである。
さきに現役時代の画像を示してDD20形との重連のケースを見たが、私の手元にはアルナインのキットで作った動力車のDD20形があり、同じようにして繋げばNゲージで走らせる事が出来る。
それとは別に、客車の1輌に動力ユニットを組み込んで繋ぐという方法もあり、いずれ鉄道コレクションの幾つかの不要車台を転用して客車を追加製作する予定であったので、その際に客車タイプの動力車を作ってみよう、と決めた。
車体の基本設計図にしたがって0.5ミリや1ミリ厚のプラ板をカットして部品を作っていった。
車台の上に組み合わせて車体を構成していった。
3時間ほどで、上図の状態になったが、車高がやや高いかな、と感じた。計測し直してみると、約2ミリほど高いことが分かったので、後で下端を切り詰めて調整することにした。車台の両端にもプラ材を足して車長を長くしておいた。
この時点で車台と車体は仮組みのままだったから、何度でも外して調整が出来た。とりあえず下端を2ミリカットしてみた。
まだまだ背が高い感じがした。あと1ミリは縮めておこうか、と決めた。1/150スケールでの1ミリは、実車では15センチに相当するので、先に2ミリ、あと1ミリと詰めてゆくと、実車ではあわせて45センチとなるので相当の変更となる。このあたりも1/35スケールのガルパン戦車とは全然違うのであった。
車高調整後の状態である。3ミリ切り詰めたにもかかわらず、見た目には余り変わらなかったので、ちょっと不思議な気がした。設計を間違えたかな、と不安にかられたが、再度寸法を測っても3ミリ高さを下げている事には変わりがなかった。 (続く)