組み立て完了から一か月ほど保管し、前に製作した久保田車と共に、まとめての塗装を行ないました。そのほうが塗料の節約にもなりますし、知波単学園チーム車輌でしか使わない塗料ばかりなので、出来れば使い切ってしまいたい、とも考えたたからでした。
私の製作において、知波単学園チーム車輌は塗装カラーを統一しますので、茶色カラーはミスターカラースプレーの43番ウッドブラウンで吹き付け、迷彩のうちの緑色は525番、土地色は522番にて筆塗りしました。
今回の名倉車は、迷彩パターンが独特といいますか、厳密に言えば分断色の黄帯が車体後部で分離する唯一の車輌です。それで劇中車のキャプチャー画を幾つか作っておき、ガルパンアハトゥンクの公式設定資料図と並べて参考にしました。
まず転輪を三色に塗り分けました。周知のように、知波単学園チームの車輌は1台1台がそれぞれの迷彩パターンをもつので、転輪についても順番が異なります。ガルパンアハトゥンクの公式設定資料図などを何度も見て、間違えないように確認を重ねました。
迷彩も、出来る限り劇中車に合わせました。迷彩のうちの緑色と土地色は筆塗りでしたので、一筆ごとにきちんと公式設定資料図などを参照して、あまり図柄が違わないように心掛けました。分断色の黄帯が通る位置をイメージしつつ、それとの絡みも想定しながら塗り分けました。
分断色の黄帯を4番の黄色で塗りました。いつものように塗料の粘度を上げてから塗りました。
黄帯を塗った後に、転輪を順番に間違えないように取り付けました。
砲塔をいったんセットして、迷彩や黄帯のズレがないか確かめました。迷彩のほうで少しズレている箇所がありましたのでタッチアップで修正しました。
名倉車の車外装備品は全て右側面にセットされています。ジャッキは55番のカーキで塗り、パールと鶴嘴とシャベルの木製部分は44番のタン、金属部分は28番の黒鉄色で塗りました。それから順番に指定位置に組み付けました。
前照灯のレンズ部を8番の銀で塗りました。その後に、前照灯の前の五芒星を9番の金で塗りました。
履帯を組み付けました。久保田車と同じく名倉車もドラゴンのキットなので、履帯の組み付けが楽でした。モールドの繋ぎ目の彫りが深くてダボ穴も大きいため、繋ぎやすく、接着しやすかったです。連結式履帯が苦手な私でも楽に出来ましたので、ドラゴン製品はなかなかのものだな、と感心しました。
左右の履帯を取り付け終わりました。日本戦車特有の履帯の質感表現というのも、このドラゴンの品が最もよく具現しているように思います。
背面のワイヤー、ワイヤー固定具のパーツを取り付けました。排気管およびワイヤーは28番の黒鉄色で塗り、停止灯および三色信号灯の右灯は47番のクリアーレッドで塗りました。三色信号灯の中央灯は525番の緑、左灯は49番のクリアーオレンジです。
ワイヤー固定具は、劇中車においても、左右とも車体の迷彩色に合わせておらず、43番ウッドブラウンのままでした。
校章マークは砲塔左右側面の後部に付きます。モデルカステンの「MGデカール ガールズ&パンツァー デカールVol.8」より適当なサイズのものを選んで貼りました。
最後につや消しクリアを薄く吹き付けて仕上げました。今回のキットは、砲塔のみがファインモールドのパーツによっているため、リベットやモールドなどの感じがドラゴン製の車体のそれと異なるのがよく分かります。
例えば、ファインモールドの砲塔のリベットやモールドが全体的に控えめであるので、ドラゴンの車体のリベットのほうがメリハリがあってクッキリと見える感じになっています。隅部のエッジに関しても、ファインモールド製の砲塔のそれはやわらかく優しい線ですが、ドラゴンの車体の線は明確に綺麗な線のラインをみせています。
以前に久保田車の製作記事にて、ドラゴンのキットが「九七式中戦車の適応キットとしては、現時点で最上の製品ではないかと思います」と述べましたが、その一番の理由がこのモールドやエッジの明快さであります。
特に日本軍戦車のような、手工業生産っぽい武骨かつ質素なスタイルのゆえにリベットも目立つ、エッジも輪郭線もハッキリした傾向のある車輛に関しては、モールドも線もエッジもシャープなドラゴン製品の質がマッチしている気がします。
後ろから見ました。名倉車特有の、後部で分離して分かれる黄帯が印象的です。他にも似たデザインの車輌が無いか、とひととおり劇場版と最終章2、3話のDVDを見返しましたが、上図のように後ろで分離する黄帯を示すのは名倉車だけでした。
斜め前から見ますと、全体的には玉田車や浜田車と迷彩パターンがよく似ています。玉田をリーダーとする新砲塔タイプ車輌の3輌で一小隊を構成していることによるのでしょうか。
最終章では、名倉車はさらに斥候、偵察任務をこなして相手チームの動向を的確に西隊長に報告しています。偵察任務も任されているのであれば、その搭乗車であることが分かるように黄帯を分離させているのかもしれません。
以上で、知波単学園チームの名倉節子の搭乗車、九七式中戦車チハ(新砲塔)が最終章仕様にて完成しました。製作期間は、2022年5月27日から6月2日まででした。組み立ては6月2日に完了し、一か月ほど保管したのち、7月11日から7月19日まで久保田車とともに塗装しました。
迷彩塗装は、一色ずつ塗って乾燥させ、更に1日寝かせた後に次の色を重ねる、という方法でゆっくり進めましたので、塗装だけで9日を要しました。塗装後の組み立てには1日を要しました。
数あるガルパン車輌のなかで、知波単学園チームの戦車は最も迷彩が複雑で塗り分けも車輪や装備品にも及ぶので、組み立てよりも塗装が大変です。逆に言えば、知波単学園チームの車輌の迷彩がこなせれば、他の車輌の塗装が楽に思えてくるでしょう。
使用キットはドラゴンですが、ホビコレの限定品ですので入手は難しいかもしれません。ただ、最近の新製品でありますので、作り易さや扱いやすさに重点が置かれてパーツも適切な数におさえられ、組み立て易いキットになっています。履帯も部分連結式で、たるみを付けるための治具も付いていて、組み合わせ部の凹凸がしっかりしていて繋ぎやすい造りになっています。モールドもエッジもラインもしっかりしていて輪郭線が明確です。そのためか、日本軍戦車特有の質感や雰囲気もよく再現されています。
総じて、九七式中戦車の適応キットとしては、現時点でドラゴンの品が最上ではないかと個人的には思います。が、ドラゴンの適応キットはいずれも生産数および流通量が少ないためか、模型店ではなかなか見かけず入手も困難なほうに属するようです。見つけたら買っておく、というのも手でしょう。