十六世紀、キリスト教がアジア、アフリカに急激に広まって行きました。カトリック教会では彼等を宣教師と呼びました。
それより千年ほど前にアジアにキリスト教を広める一派があった。ローマ教会を波紋されたネストリウス派だ。彼等はイエスの人間性を説き、マリアの処女懐胎に疑問を投げかけたために破門された。
ネストリウス派はペルシャを経て中国に伝播し、景教と呼ばれ、その牧師を伝道師と呼ぶ。
キリストの奇跡に満ちた生涯を伝えるのが宣教師で、人間イエスの真言を伝えるのが伝道師である。
主よ憐れみ給え 滴り落ちるこの涙を
ヨハン・セバスチャン・バッハはマタイ伝を元に受難曲を作曲した。
キリストの奇跡を宣教する為か、イエスの真言を伝道する為かは分からない。
マタイ受難曲はバッハの最高傑作の一つだ。
現在、その録音は、メンゲルベルクの歴史的演奏を初め沢山有る。通常二時間半から三時間かかるこの大作を、カラヤンは三時間半もかけた。必要以上にたっぷりと歌わせたからだ。私はカラヤンのマタイを余り評価しない。私が一番評価するのはリヒターが1958年に録音し演奏だ。繰り返し、繰り返し聴いたがテーマを理解する事が出来なかった。
ようやく理解の手がかりを与えてくれる演奏に出会った。
ラトル・ベルリン・フィルによるマタイのライブ映像です。
以下にそのデータを記します。
マーク・パドモア (福音史家) ロデリック・ウィリアムズ (イエス)
カミッラ・ティリング (ソプラノ) マグダレーナ・コジェナー (メゾソプラノ)
トピ・レティプー (テノール) クリスティアン・ゲルハーヘル (バリトン)
ベルリン放送合唱団 (合唱指揮 : サイモン・ハルシー)
サー・サイモン・ラトル (指揮)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
演出 : ピーター・セラーズ
収録 : 2010年2月27日~3月1日 | ベルリン・フィルハーモニー
ピーター・セラーズによる革新的な演出は、コンサートとは思えない迫真の演技。福音史家(パドモア)がイエス本人の肉体をも表現するという解釈で、ベルリン・フィルの古楽演奏を記録し、単なるピリオド演奏の模倣に留まらない、ドラマチックな音楽展開、コジェナーをはじめ、ゲルハーヘル、クヴァストフなど豪華ソリスト陣が素晴らしい歌唱力を聴かせてくれます。樫本大進とダニエル・スタヴラーヴァのヴァイオリン独奏、エマニエル・パユのフルート、アルベルト・マイヤーのオーボエも素晴らしい出来映えで、実に美しい音色を醸し出していました。
歌手陣がそれぞれの楽曲で相応しい役を演じています。特にソプラノのカミッラ・ティリングは聖母役(彼女は妊婦だったのは偶然か狙いだったのかは分かりません)を演じ、メゾのマグダレーナ・コジェナーがマグダラのマリアを演じるという仕組みはとてもわかりやすい設定でしたし、日本語字幕も付いていましたから、初めてマタイを理解出来たように思えました。特筆為べきはコジェナーの演技です、腕を交差させて十字架を表したり、神がかったように悩み、苦しみながら、もう一人のマリアやイエスに従った女性達を演じていました。もともと彼女はオーバーな表現を好む歌手で、クラシックではオーバーアクションだと敬遠されたりします。
私はリヒターのマタイに感動し、ラトルによって理解しました。マタイのテーマはキリストの奇跡の復活ではなく、人間イエスの安眠だったのです。
2016年12月23日 Gorou
それより千年ほど前にアジアにキリスト教を広める一派があった。ローマ教会を波紋されたネストリウス派だ。彼等はイエスの人間性を説き、マリアの処女懐胎に疑問を投げかけたために破門された。
ネストリウス派はペルシャを経て中国に伝播し、景教と呼ばれ、その牧師を伝道師と呼ぶ。
キリストの奇跡に満ちた生涯を伝えるのが宣教師で、人間イエスの真言を伝えるのが伝道師である。
主よ憐れみ給え 滴り落ちるこの涙を
ヨハン・セバスチャン・バッハはマタイ伝を元に受難曲を作曲した。
キリストの奇跡を宣教する為か、イエスの真言を伝道する為かは分からない。
マタイ受難曲はバッハの最高傑作の一つだ。
現在、その録音は、メンゲルベルクの歴史的演奏を初め沢山有る。通常二時間半から三時間かかるこの大作を、カラヤンは三時間半もかけた。必要以上にたっぷりと歌わせたからだ。私はカラヤンのマタイを余り評価しない。私が一番評価するのはリヒターが1958年に録音し演奏だ。繰り返し、繰り返し聴いたがテーマを理解する事が出来なかった。
ようやく理解の手がかりを与えてくれる演奏に出会った。
ラトル・ベルリン・フィルによるマタイのライブ映像です。
以下にそのデータを記します。
マーク・パドモア (福音史家) ロデリック・ウィリアムズ (イエス)
カミッラ・ティリング (ソプラノ) マグダレーナ・コジェナー (メゾソプラノ)
トピ・レティプー (テノール) クリスティアン・ゲルハーヘル (バリトン)
ベルリン放送合唱団 (合唱指揮 : サイモン・ハルシー)
サー・サイモン・ラトル (指揮)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
演出 : ピーター・セラーズ
収録 : 2010年2月27日~3月1日 | ベルリン・フィルハーモニー
ピーター・セラーズによる革新的な演出は、コンサートとは思えない迫真の演技。福音史家(パドモア)がイエス本人の肉体をも表現するという解釈で、ベルリン・フィルの古楽演奏を記録し、単なるピリオド演奏の模倣に留まらない、ドラマチックな音楽展開、コジェナーをはじめ、ゲルハーヘル、クヴァストフなど豪華ソリスト陣が素晴らしい歌唱力を聴かせてくれます。樫本大進とダニエル・スタヴラーヴァのヴァイオリン独奏、エマニエル・パユのフルート、アルベルト・マイヤーのオーボエも素晴らしい出来映えで、実に美しい音色を醸し出していました。
歌手陣がそれぞれの楽曲で相応しい役を演じています。特にソプラノのカミッラ・ティリングは聖母役(彼女は妊婦だったのは偶然か狙いだったのかは分かりません)を演じ、メゾのマグダレーナ・コジェナーがマグダラのマリアを演じるという仕組みはとてもわかりやすい設定でしたし、日本語字幕も付いていましたから、初めてマタイを理解出来たように思えました。特筆為べきはコジェナーの演技です、腕を交差させて十字架を表したり、神がかったように悩み、苦しみながら、もう一人のマリアやイエスに従った女性達を演じていました。もともと彼女はオーバーな表現を好む歌手で、クラシックではオーバーアクションだと敬遠されたりします。
私はリヒターのマタイに感動し、ラトルによって理解しました。マタイのテーマはキリストの奇跡の復活ではなく、人間イエスの安眠だったのです。
2016年12月23日 Gorou