少子高齢化人口減社会問題:
高齢者は暑さの感覚や体の反応が鈍くなり、基礎代謝も落ちているため、同じ環境下でも、暑さを感じない、汗をかかないということもよくあるという。
「それでも、暑い場所にいて体温が上がっていないわけではないのです。高齢者は成人に比べて体内の水分量が少なく、例えれば、同じ大きさのやかんの中の水の量が少なく、加熱すればすぐに沸騰するわけです。つまり高齢者の方が、暑さなど環境の影響を受けやすいということです」
窓を開けて風を入れれば大丈夫と思っている高齢者も多いのですが、今は昼も夜も暑い。事実、高齢者の熱中症の多くが家の中で発症しています。“暑ければエアコンをつけるだろう”という、家族の思い込みも禁物です」
少子高齢化人口減社会問題解決策例:
高齢者がいちばん長く過ごす家の中。熱中症にならないための対策を聞いた。
「まず室温と湿度を下げること。温度はいうまでもなく、湿度が高いと汗が乾かず、気化熱による冷却が効かないからです。環境省が“室温28℃、湿度70%”という数値を掲げていますが、これは体を冷やしすぎず、環境や節電効果も見越して推奨している目安です。
本来は個々にちょうどいい温度を見つけるのが理想。室温が低すぎれば室内外の温度差が大きくなり体に負担がかかり、また寒くてエアコンを消してしまっては元も子もありません。28℃以下を目安に暑からず寒からずの温度を測り、数値で覚えましょう。温湿度計を設置し、目で見て確認することも大切です」
エアコンの冷気は低位置にたまりやすいので、扇風機などの風で攪拌し、室温を均一にすることも重要だという。
出典:
【Profile】三宅康史さん●東京医科歯科大学医学部卒。帝京大学医学部附属病院高度救命救急センター長、日本救急医学会評議員・専門医・指導医。熱中症に関する委員会前委員長、環境省「熱中症予防声かけプロジェクト」実行委員長も務める。