7/16(火) 6:01配信
(法政大学大学院教授 真壁昭夫)
● 中国経済の 先行き不安が高まる
足元で、中国の経済が「成長の限界」を迎えている。2018年のGDP成長率は28年ぶりの低水準に落ち込んだ。同年の新車販売台数も28年ぶりに前年を下回った。これまで高い経済成長を実現してきた中国経済は「曲がり角」に差し掛かりつつあるようだ。
足元で、中国の経済が「成長の限界」を迎えている。2018年のGDP成長率は28年ぶりの低水準に落ち込んだ。同年の新車販売台数も28年ぶりに前年を下回った。これまで高い経済成長を実現してきた中国経済は「曲がり角」に差し掛かりつつあるようだ。
中国を圧迫する 債務膨張と生産年齢人口の減少
中国は経済成長率を高めることが難しくなっている。その状況を端的に言い表せば、「成長の限界」だ。
まず、債務問題が深刻化している。できるだけ早めに不良債権処理を進めない限り、わが国が経験したような大きな“痛み”を伴う対応は不可避だろう。
投資を中心に経済を運営する中国の発想は限界も迎えている。
昨年、30以上の都市で地下鉄開発が行われた。その多くで収支のバランスが取れていない。中国ではインフラ投資を行ったとしても、利払いなどのコストを上回る付加価値を獲得することが困難になっている。また中小の銀行では、資金の乱用などから財務内容が急速に悪化している。政府は中小銀行向けに流動性を供給し、何とか金融システムの安定を維持しているのが実情だ。
次に、人口動態面からも成長が難しくなっている。1970年代後半、鄧小平が進めた“改革・開放”により、農村部の豊富かつ安価な労働力が都市部に移動し、工業化の進展を支えた。中国が“世界の工場”としての地位を確立したのは、人口の増加が経済成長を支えるという“人口ボーナス”を使うことができたからだ。
しかし、2012年に中国の生産年齢人口(一般的には15~64歳、中国の定義では15~59歳)は減少に転じた。
これは、中国経済が人口の増加に支えられて高成長を謳歌(おうか)した時代が終焉(しゅうえん)を迎え、生産年齢人口の減少とともに労働コストの増加に直面しつつあることを意味していた。2016年1月、中国政府は“一人っ子政策”を撤廃したが、36年間も続いた人口抑制策が人々の生き方に与えた影響は甚大だ。少子高齢化が続く中で、経済の支え手である生産年齢人口の減少は避けられないだろう。
生産年齢人口の減少を反映し、中国では人件費の上昇が顕著だ。中国が繊維など軽工業を中心に、“世界の工場”としての産業競争力を維持することは限界を迎えた。その上、米中摩擦を理由に世界の企業が“脱・中国”の取り組みを進めている。世界経済における中国の地位は低下している。
中国は経済成長率を高めることが難しくなっている。その状況を端的に言い表せば、「成長の限界」だ。
まず、債務問題が深刻化している。できるだけ早めに不良債権処理を進めない限り、わが国が経験したような大きな“痛み”を伴う対応は不可避だろう。
投資を中心に経済を運営する中国の発想は限界も迎えている。
昨年、30以上の都市で地下鉄開発が行われた。その多くで収支のバランスが取れていない。中国ではインフラ投資を行ったとしても、利払いなどのコストを上回る付加価値を獲得することが困難になっている。また中小の銀行では、資金の乱用などから財務内容が急速に悪化している。政府は中小銀行向けに流動性を供給し、何とか金融システムの安定を維持しているのが実情だ。
次に、人口動態面からも成長が難しくなっている。1970年代後半、鄧小平が進めた“改革・開放”により、農村部の豊富かつ安価な労働力が都市部に移動し、工業化の進展を支えた。中国が“世界の工場”としての地位を確立したのは、人口の増加が経済成長を支えるという“人口ボーナス”を使うことができたからだ。
しかし、2012年に中国の生産年齢人口(一般的には15~64歳、中国の定義では15~59歳)は減少に転じた。
これは、中国経済が人口の増加に支えられて高成長を謳歌(おうか)した時代が終焉(しゅうえん)を迎え、生産年齢人口の減少とともに労働コストの増加に直面しつつあることを意味していた。2016年1月、中国政府は“一人っ子政策”を撤廃したが、36年間も続いた人口抑制策が人々の生き方に与えた影響は甚大だ。少子高齢化が続く中で、経済の支え手である生産年齢人口の減少は避けられないだろう。
生産年齢人口の減少を反映し、中国では人件費の上昇が顕著だ。中国が繊維など軽工業を中心に、“世界の工場”としての産業競争力を維持することは限界を迎えた。その上、米中摩擦を理由に世界の企業が“脱・中国”の取り組みを進めている。世界経済における中国の地位は低下している。