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アンドリュー・スタントン
(翻訳:ガリレオ)
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<ウクライナ侵攻から間もなく11カ月、ウクライナ軍の激しい抵抗で目立った戦果も得られずにいるロシア軍だが、プーチンには少なくとも2つ、勝つ方法があるとチェルニウ議員は警告する>
シアのウクライナ侵攻が始まって11カ月の節目が近づく中、ウクライナの国会議員、イェホル・チェルニウが、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領には、今後の戦略に関して2つの道があると発言した。
プーチンは2022年2月24日、電撃的勝利を収めようという目論見のもと、ウクライナで「特別軍事作戦」を開始した。
しかし、西側の軍事支援を得たウクライナの国防力は、予想よりも強力だった。大勢を見ると、ロシア軍は何カ月にもわたって、はかばかしい戦果を得られない状態が続いている。
だがウクライナ国会議員のチェルニウは油断はできないと言う。
この秋から冬にかけてはウクライナ側が戦局を優位に進めているものの、プーチンには今でも、勝利につながる可能性をもつ方法が少なくとも2つあると警告した。
①「第1の選択肢は、首都への素早い攻撃によって完全な勝利をおさめ、ウクライナを降伏に追い込むというものだ。
プーチンは、キーウに対して新たな攻撃作戦を仕掛けようとする可能性
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がある」とチェルニウは1月17日、ツイッターに投稿した。
〇東西を分断する
ロシア軍は開戦当初、ウクライナの首都キーウを攻略しようとしたが、陥落させることができず、退却を余儀なくされた。
それ以降、ロシアはいくつもの困難に直面してきた。
兵員不足や経済制裁により、占領した領土をウクライナに奪還されてしまう状況だ。
チェルニウは①第1のシナリオにおいて、ロシアがウクライナ西部における「複数の目標を攻撃する」おそれがあると警告した。
その狙いは、ウクライナをヨーロッパのほとんどの地域と結びつけている輸送ルートを断ち切ることだ。
このルートは、ロシアの侵攻が始まって以来、軍事および経済的支援の重要な供給源となってきた。
もっとも、米戦略国際問題研究所(CSIS)のセス・ジョーンズは17日、本誌の取材に対し、この戦略がプーチンにとって実行可能なものとなる可能性は低いとの見方を示した。
「話を聞く限り、これは2022年2月時点でのロシア側の戦略だったように思える」とジョーンズは述べた。
「この時点で、ロシアはこの戦略を成功裏に実行することができなかった。彼らには、各軍の連携、士気、指揮統制、兵站が欠けていた。
しかも、それ以降のロシア軍の行動を見る限り、これらの点が大幅に改善したと考えられる証拠はまったくない」
また衛星写真を見る限り、電撃戦でウクライナの領土を奪取する作戦の再実行に向けて、ロシア軍が兵力を増強している兆しは見当たらない点も指摘した。
➁一方でチェルニウは、プーチンが勝利に向けて「長期戦」の道を選ぶ可能性にも言及した。
この作戦には、ドンバス地域を含むウクライナ東部をロシア軍が掌握することが含まれる。
プーチンは2022年、ドネツク、ヘルソン、ルハンシク、ザポリージャの4州を一方的に併合した。住民投票の結果を受けたものだが、この投票には不正があったとの声が西側では大勢だ。
これらの領土を自国の支配下に収めたのち、ロシア政府は次の作戦を準備するだろう、とチェルニウは警告した。
「同時に彼ら(ロシア軍)は、自らの目的を達成するため、6〜12カ月にわたる次の軍事作戦の準備を進めるかもしれない。
我が国の独立国家としての地位を奪い、ウクライナを併合するためだ」とチェルニウはツイートした。
〇核攻撃は見合わない
CSISのジョーンズも、こちらの選択肢が「ロシア軍が取り組む作戦」だと考えている。
そして、ロシア軍は今後数カ月のうちに、東部の主要地域でウクライナ軍を包囲する作戦を試みる可能性はあるとした。
ジョーンズはさらに、ロシアが取る可能性があるもう2つの戦略を挙げた。
①その1つは、ウクライナ軍の前進を押しとどめつつ、今後の攻勢に備えて自軍を再構築するまで時間を稼ぐというもの。
➁二つめは、ロシアが最終的に核兵器の使用を検討する可能性だが、これは「リスキーなステップ」になると述べた。
「核兵器の使用が軍事的にどれほど効果的かは疑わしい」とジョーンズは述べた。「核兵器は、ロシア軍が直面している軍の連携に関する問題を解決してはくれないし、代わりに大規模な報復や制裁、外向的な孤立を招くのはほぼ確実だ」とジョーンズは指摘した。
一方、チェルニウは、自身が挙げた2つのシナリオに関して、そのどちらに関しても、ウクライナは自国の領土を守り抜く準備ができていると述べた。
「ウクライナとその支援国も、プーチンに対抗する作戦を擁している」とチェルニウはツイートした。「プーチンはまもなく戦場で、その作戦を目の当たりにするだろう」
(翻訳:ガリレオ)