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David Axe Forbes Staff
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I'm a journalist, author and filmmaker based in Columbia, South Carolina.
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ウクライナ軍が同国東部の要衝バフムートから出る道は2本しかない。
ロシア軍はその両方をロケット弾の射程圏内にとらえている。
つまり、9カ月におよぶ激戦を経て、バフムートの戦いはいま決定的となり得る局面を迎えている。
ロシア軍が2本の道路に接近し、ウクライナ軍は包囲を回避するために退却する。あるいは、ウクライナ軍が反撃してロシア軍を後退させる。今後、数時間から数日の間に2つの出来事のうちの1つが起こる可能性がある。
前者であればバフムートをめぐって長く続いた恐ろしい戦いは終わる。
後者は戦いを長引かせる。
いずれにせよ、最終的な結果は同じであるはずだ。
事実上、廃墟と化したバフムートを占領しようがしまいが、ロシア軍は戦力を大量に消費した。
これはまさにウクライナ側が望んでいたものだったようだ。
ウクライナ軍はロシア軍を消耗させるためにバフムートと、ロシアのこの町に対する奇妙な執着を利用し、そうすることで時間をかけて練られた春に行う攻勢のための条件を整えた。
ウクライナ軍が米国とスウェーデンから得た戦闘車両や英国、ポーランド、ドイツ、カナダから送られた戦車で最終的に攻撃するとき、疲弊したロシア軍の旅団と対峙する可能性がある。
その中にはバフムートでの長い戦いで何千人もの兵士を失った旅団もあるだろう。
ロシア軍は、ウクライナ東部ドンバス地方の大都市の1つであるロシア占領下のセベロドネツクの南西に位置するバフムートを標的にする必要はなかった。バフムートの戦前の人口は7万人だ。
町自体にあまり価値はない。
戦略的な産業もなければ、この上なく重要な物流施設があるわけでもない。
住民のほぼ全員が町を離れたか死んだ。
しかしロシアの民間軍事会社ワグネル・グループが2022年5月に自らの戦闘力を証明するために選んだのはこのバフムートだ。
ワグネルの指揮官たちは何カ月もの間、訓練不足の前科者を次々と前線に送り込み、ウクライナ軍の要塞に向かって特攻的に攻撃させた。
英紙ガーディアンによると、2022年にバフムート周辺で少なくとも4000人のワグネル戦闘員が死亡したという。
今年初めから数週間かけて徐々に正規のロシア軍がバフムート周辺で戦う傭兵の多くに取って代わった。
この段階的な入れ替えにより「バフムート周辺でのロシア軍の作戦の主導権は保持された」と米シンクタンクの戦争研究所は説明している。
1月12日にロシア軍はバフムートの北に位置し、入り組んだ塩鉱山の上にある小さな集落ソレダルを占領した。
その後数週間かけてワグネル戦闘員と正規のロシア軍は北と南からバフムートの周囲をゆっくりと挟み撃ちにした。
3月1日までにロシア軍はバフムートの北西の境界からわずかのところにあるクロモヴェ集落の端にいた。
クロモヴェを通る道路T0506号線はウクライナ側のバフムートへの北側の補給ルートだ。
同時に、ロシア軍はバフムート南部から西に延びる道路T0504号線にあるガソリンスタンドを包囲した。こちらはウクライナ側の南側の補給ルートだ。
この2本の道路を完全に抑えれば、ロシア軍はバフムートのウクライナ軍の守備隊を実質的に孤立させることができる。
昨春マリウポリで起きたような、多くの犠牲をともなう包囲から身を守るためには、守備隊は道が閉ざされる前に撤退すべきだ。
しかし、ウクライナ軍参謀本部はバフムートをあきらめる準備ができていない。
参謀本部は3月2日「我が軍の守備隊はバフムートとクロモヴェ集落がある地域でロシア軍の攻撃を退けた」と報告した。
また、ウクライナ国防省のハンナ・マリャル次官が1日に語ったところによると、ウクライナ軍はこの地域に補強の部隊を送り込んでいる。
この援軍には、ウクライナを支援する国々が供与を約束した数百両の装甲車の扱いの訓練を受けている大隊や旅団は含まれていないようだ。
ウクライナに供与される装甲車は米国のM-2ブラッドレー歩兵戦闘車やスウェーデンのCV90戦闘車、英国の主力戦車チャレンジャー2、そしてドイツ、ポーランド、カナダなどが送る戦車レオパルト1とレオパルト2だ。
これらの部隊と供与される車両はウクライナが計画している春の攻勢のために確保されている。
この攻勢はバフムートの戦いが終わると同時に始まる可能性がある。
ウクライナ軍が攻勢をかけるとなったとき、バフムートの戦いは戦争の次の段階に向けた前兆となるかもしれない。
ボクシングの試合では、効果のないパンチを打たせて相手を消耗させるためにロープにもたれることがある。
これは「ロープ・ア・ドープ」と呼ばれる戦法で、まさにウクライナ軍がバフムートで行っていたと思われるものだ。
以前にも同じようなことがあった。ウクライナ軍は昨夏、バフムートの北東約40キロにあるセベロドネツクとリシチャンスクの2つの都市で戦いながら撤退した。
セベロドネツクとリシチャンスクでの戦闘でウクライナ東部にいたロシア軍はひどく消耗し、8月末にウクライナ軍の旅団が強力な反攻を開始したとき、ロシア軍は持ちこたえることができないほど弱っていた。
ロシア軍はウクライナ北東部のハルキウ周辺から撤退し、奪っていた数千平方マイルの領土を明け渡した。
バフムートからのウクライナ軍の撤退は、ウクライナ軍が反撃を始めればロシア軍の撤退を拡大させる可能性がある。
もちろん、それは避けられないことではない。
バフムート、クレミンナ、ブフレダールで多くの兵力を失ったとはいえ、ウクライナにいるロシア軍は依然として強力な軍隊だ。
優れた統率力があれば、ウクライナ軍の攻勢を打ち負かすことができるかもしれない。
しかし、ロシア軍には優れた統率力が完全に欠けているように見える。
賢明な指揮官はウクライナの罠であることがかなり明白な戦闘で、価値の低い町1つを占領するために何千人もの兵士の命を無駄にしたりはしないだろう。
(forbes.com 原文)