☆ 不整脈の日

今年の夏は、天候不順の日が多かった所為か不整脈の発作が多くでた。
その前は１昨年の１１月から昨年の９月まで、１０ヶ月間も発作は出なかったのに。

先週の金曜日、畑仕事をして汗を掻き帰宅した後に、また不整脈の発作。
何時もの「頻拍」の発作というより、「不整脈」或いは「動悸」の方が
近い感覚だが、それがだらだらと長い時間続き、安静にしてやっと治まっても
身体を動かすとまた不整脈を起す悪循環を起した。

それで週末は家に居て、息を潜めるように暮らしていた。
畑仕事で汗を掻き、冷たい夕風に当たって発作が起きる、
というパターンが出来てしまったようで怖い。
２０日の日曜日早朝、
たいしたこともしていないのに部屋の中で、軽いけれど
長い時間の不整脈の発作。

その日曜の午後、孫から電話があった。
「野球が突然中止になったから、ばーばのところにお泊りに行って良い？」
と５年生の男の子の元気な声。
じゃれて全体重をかけて組み付かれる、ふざけて体当たりされぶっ飛ばされる
など、危険な場面をいくつか想像して一瞬たじろいだが・・・

「ばーばの心臓の具合が悪いので、家に来ても静かにしていられたらね。」
「うん、静かにしているよ。」ということで、孫は夕飯の後にやって来た。

玄関ドアから入ってくると「あら、いらっしゃい」と声をかける私の脇を
無言で通り抜け、一直線に寝室に行き、バタリと倒れて寝てしまった。

２１日、孫はおとなしくお小遣いで本を買ってきて読んだり、ゲームをしたり
カードを買ってきて一人でカードゲームをして遊ぶ。
私が買い物に行く時は、重いものはなんでも持ってくれる。

２２日はじーじに用事が出来て出掛け、２３日の夕方に帰宅する。
それで、じーじは出掛けに孫のくーくんに
「じーじの代わりに、ばーばをよろしく頼むよ。」と言った。
すると、孫は照れたように
「ぼくの代わりに、ばーばをよろしく頼むよ。」とおうむ返しに答え、
その後２人で「ばーばをよろしく頼むよ」とお互いに冗談のように
言い合って笑っていた。

じーじが出かけると同時に、息子から電話が掛かってきた。
くーくんに用事があるらしい。
それで電話をくーくんに替わった。

どうも叱られ、もめている様子だ。
聞けば翌日の２３日は、少年野球があるらしい。
パパは２２日に帰ってくると思ったのに、くーくんが野球の予定を
忘れて（？）いたらしい。
少年野球の突然の中止連絡などは、親同士のメールの遣り取りで決まるので
親がそのように話して納得していても、当人の耳には聞こえていない
場合があるのかも。

それで息子に電話して、孫を家に帰し野球に行かせる方向で話しを進めた。
「くーくん、今日帰りなさい。ばーばはもう元気になったから。」と・・・
孫はその言葉に抵抗するように、長卓の下に入り込んでしまった。
私がなんと言っても出て来ない。

しばらく経って長テーブルの下から聞こえてきた言葉は
「ぼく、ここに居たかったんだよ。」
ゆっくりと静かに、すこし抗議するように彼は言った。
長卓の下を覗くと、つぶった孫の目から涙がツーとこぼれ落ちた。

私、無言・・・

親が迎えに来て・・・　しばらくして帰っていった。

一人になって・・・
急にくーくんの言葉が身に沁みた。

「ぼく、ここに居たかったんだよ。」の本当の意味もやっと分かった。

孫は親の電話が掛かる直前に、出掛けるじーじから
「ばーばをよろしく頼むよ。」と言われていたのだ。
それに私からも
「明日は畑に行くから重いもの持ってね。水の入ったジョーロは
　重いから発作起す心配あるので、くーくんが水遣りをしてね。」
と頼んであって「うん、ぼくやるよ。」と返事を貰っていたのだ。

それなのに、じーじとの約束も、私からのお願いも、私が勝手に解除して
ばーばは元気になったから、家に帰って「野球に行け」と一方的に言ったのだ。

心優しいくーくんは、どんなに切なかったろうと・・
孫の心を汲み取れない自分を反省しながら、号泣したばーばでした。

思い遣りって難しい。。。
大事にしなくてはならないのは、こころ　だよね。
「都合」じゃないのだ・・・
こころは、奥のほうに有って、なかなか大声を上げないのが常だ。


後日談
２３日、５日ぶりに畑に行って慎重に一仕事して来ました。
雨降りの日が無かったので徒長せず茄子の収穫もちょうど良い大きさでした。
春菊も芽を出していました。
ユックリと雑草を抜き、水遣りをして無事に帰ってきました。
今日もなんとかおだやかな日を過ごしました。
息子に電話をして、くーくんに「ばーばは元気」だと、伝えてくれと
お願いしました。

元気になったので病院に行くの、忘れてしまった！！！