「キリスト教もマルクス主義も中国化される」太平天国からわかる現代中国
2/11(木) 8:46配信
13
プレジデントオンライン
菊池秀明『太平天国 皇帝なき中国の挫折』(岩波新書)
「太平天国の乱」をご存じだろうか。清朝後期、科挙に落第した知識人の洪秀全が、キリスト教の影響を受けて創始した秘密結社・上帝会を率いて1850年の末に蜂起。反乱軍はやがて大都市・南京を占領して首都「天京」とし、太平天国を建国する。反乱は約14年にわたって続き、清朝の屋台骨は大きく傾いた。
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もっとも、事件の名前は知っていても、現代の私たちの社会にどうつながるのかピンとこない人も多いだろう。だが、実は太平天国の乱には、現代中国の習近平体制の本質や中国の覇権主義の理由、さらにはウイグル問題や香港デモの背景といったさまざまな問題を読み解くカギが隠れている。
太平天国研究の第一人者である菊池秀明氏(国際基督教大学教養学部教授)が昨年12月に刊行した新著『太平天国 皇帝なき中国の挫折』(岩波新書)は、事件の概要とその背景をあますところなく描いた。今年2月に『現代中国の秘密結社 マフィア、政党、カルトの興亡史』(中公新書ラクレ)を刊行した中国ルポライターの安田峰俊氏が、太平天国から見える現代中国の姿を菊池氏に聞いた──。(前編/全2回)
■格差に苦しむ反エスタブリッシュメントの反乱
――かつて上帝会が勢力を伸ばし、
太平天国の乱の起点となったのは、中国南部の広西省(現在の広西チワン族自治区)です。
地図を見ればわかりますが、広東省とベトナムに挟まれた広西省は、チワン族をはじめ少数民族が多く、中華であって半分は中華でない僻地(へきち)。なぜ、この土地から大反乱が始まったのでしょうか? 【菊池】強烈な格差社会だったんです。伝統中国では科挙(儒教の教養をテストする官僚登用試験)を通じて、誰もが社会的上昇を果たせる──というタテマエがありましたが、科挙の受験勉強は大変です。それなりに裕福で文化資本がある家庭の出身者でなければ、事実上は参入できなかった。社会におけるさまざまなコネや利権も、地位と財力のある人に集中していきます。
つまり、「誰にでも社会的上昇のチャンスがある」という幻想だけはバラまかれていたのですが、現実的にそれが不可能な人たちがいた。そんな、格差社会のなかで決定的に切り捨てられた階層の人たちが、当時の広西には特に多く存在していたんです。
「キリスト教もマルクス主義も中国化される」太平天国からわかる現代中国
2/11(木) 8:46配信
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菊池秀明『太平天国 皇帝なき中国の挫折』(岩波新書)
「太平天国の乱」をご存じだろうか。清朝後期、科挙に落第した知識人の洪秀全が、キリスト教の影響を受けて創始した秘密結社・上帝会を率いて1850年の末に蜂起。反乱軍はやがて大都市・南京を占領して首都「天京」とし、太平天国を建国する。反乱は約14年にわたって続き、清朝の屋台骨は大きく傾いた。
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もっとも、事件の名前は知っていても、現代の私たちの社会にどうつながるのかピンとこない人も多いだろう。だが、実は太平天国の乱には、現代中国の習近平体制の本質や中国の覇権主義の理由、さらにはウイグル問題や香港デモの背景といったさまざまな問題を読み解くカギが隠れている。
太平天国研究の第一人者である菊池秀明氏(国際基督教大学教養学部教授)が昨年12月に刊行した新著『太平天国 皇帝なき中国の挫折』(岩波新書)は、事件の概要とその背景をあますところなく描いた。今年2月に『現代中国の秘密結社 マフィア、政党、カルトの興亡史』(中公新書ラクレ)を刊行した中国ルポライターの安田峰俊氏が、太平天国から見える現代中国の姿を菊池氏に聞いた──。(前編/全2回)
■格差に苦しむ反エスタブリッシュメントの反乱
――かつて上帝会が勢力を伸ばし、
太平天国の乱の起点となったのは、中国南部の広西省(現在の広西チワン族自治区)です。
地図を見ればわかりますが、広東省とベトナムに挟まれた広西省は、チワン族をはじめ少数民族が多く、中華であって半分は中華でない僻地(へきち)。なぜ、この土地から大反乱が始まったのでしょうか? 【菊池】強烈な格差社会だったんです。伝統中国では科挙(儒教の教養をテストする官僚登用試験)を通じて、誰もが社会的上昇を果たせる──というタテマエがありましたが、科挙の受験勉強は大変です。それなりに裕福で文化資本がある家庭の出身者でなければ、事実上は参入できなかった。社会におけるさまざまなコネや利権も、地位と財力のある人に集中していきます。
つまり、「誰にでも社会的上昇のチャンスがある」という幻想だけはバラまかれていたのですが、現実的にそれが不可能な人たちがいた。そんな、格差社会のなかで決定的に切り捨てられた階層の人たちが、当時の広西には特に多く存在していたんです。
■資本主義ですら中国共産党の管理下のままで成長してしまった
――洪秀全はキリスト教を中国化し、孫文はナショナリズムを中国化し、毛沢東は共産主義を中国化した……。
【菊池】中国的な文脈で物事を読み替えてこそ、初めて生命力が吹き込まれます。たとえば洪秀全の場合、「上帝(=神)」は外来の神ではなく、中国古来の神だと主張していました。明らかに誤ったキリスト教解釈なのですが、そうすることでこそインパクトを持ち得たわけですね。
――洪秀全から毛沢東まで「中国化」の話が続きましたが、より最近の話を考えるなら、鄧小平や習近平は改革開放政策という形で資本主義を中国化したのかもしれません。本来、自由な民主主義社会でこそ健全に発達するとみられていた資本主義が、中国共産党の管理下のままで成長してしまいました。時価総額が世界トップ10に入る大企業の創業者(アリババ創業者のジャック・マー)すら、党の意向次第で葬られかねないのが「中国の特色ある」資本主義です。
【菊池】外国人が、中国を理解しようとしてなかなか迫り切れない理由も、このあたりにあるように感じますね。
■中国共産党のプロトタイプだった太平天国
――太平天国は南京を占領したあと、耕地を均等に分配する天朝田畝制度という、ちょっと後世の社会主義制度に似た構想をはじめ、極めて理想主義的な政策を打ち出すいっぽう、国民に対しては非常に抑圧的な体制を作り上げました。太平天国のこうした点も、中華人民共和国との類似性を感じさせます。
【菊池】実は今回、本書を書きながらずっと悩んでいたのです。なにかを取りあげて書籍を書くときは、対象にある程度は肯定的な態度を持つものでしょう。しかし、すくなくとも南京を占領してからの太平天国は、どこから見ても中国共産党のプロトタイプのような存在なのです。しかも本書の執筆中はちょうど、香港デモがはじまったころでした。
――香港の行く末を心配する立場に立てば、香港支配を進める中国共産党の先輩格と言っていい太平天国を論じる作業にはつらいものがありそうです。
【菊池】非常にしんどいですね。過去の太平天国の歴史を踏まえたうえで、現在の中国や香港の未来に希望を持てるかといえば、持てるような結果は生まれなかったわけですよ。そもそも、本書の副題に「皇帝なき中国の挫折」とあるように、太平天国は本来、従来の中華王朝の皇帝権力を中心としたトップダウン体制とは異なる統治体制を模索する運動としての側面もあったはずでした。しかし、結果的にはそうならなかった──。
――洪秀全は皇帝ではなく「天王」を名乗りました。他の幹部連中も、楊秀清が東王、蕭朝貴が西王、馮雲山が南王、韋昌輝が北王、石達開が翼王などとなっており(蕭朝貴・馮雲山は早期に戦死)、称号はみんな「王」ですね。
【菊池】太平天国に「皇帝」は存在せず、いるのは「王」だけ。一定の序列はあっても「王」たちは身分的には同じ存在で、制度的には共同統治体制だったんです。かつての中国においては特異な政体と言っていいでしょう。
■独裁体制の強い誘惑
――ただ、やがて天王洪秀全の権威を脅かした楊秀清が韋昌輝に暗殺され、さらに韋昌輝も洪秀全に粛清されて、これを見た石達開が天京を離れ……と、泥沼の権力闘争が発生します。結果、洪秀全の独裁体制が固まるいっぽうで、太平天国の革命運動は下り坂に転じました。
【菊池】バネを巻きすぎるとビーンと戻ってしまうように、中国では皇帝の個人独裁体制を克服しようと試みても、ふとした拍子に戻ってしまうわけです。これは中国共産党についても同じなのでしょう。毛沢東時代の反省から、個人崇拝や個人独裁を防ぐために集団指導体制を採用してきたはずが、結局、習近平時代になって個人に権力が集中する体制が復活してしまいました。
――中国の社会は「放」(分散化・奔放化)と「収」(集権化・独裁化)の繰り返し、とはよく言われる話です。近年でも胡錦濤時代までの、汚職や犯罪が蔓延しながらも活気があった「放」の社会が、習近平時代に一気に「収」に変わりました。洪秀全なり毛沢東なり習近平なり、パワーのある政治家が登場すると「収」が始まります。
【菊池】極端から極端に振れずに、ほどほどのところで分権的な社会を作って落ち着けばいいのにと思うのですが、中国の場合は容易にそうならない。強烈な競争社会であるためか、複数の権力者が権力を分散して共存する形よりも、総取りを目指す動きが出てしまいます。日本や欧州と異なり、過去の歴史上でながらく封建制を経験していないことも影響しているのかもしれません。
――封建という言葉は、世間一般では「封建的な父親」のように「旧時代的な」とほぼ同じ意味で使われています。とはいえ本来は、国王が臣従する諸侯に封土を与え、その土地の領有権と統治権を認める仕組みを意味する言葉ですね。
【菊池】封建制は、地方の領主(日本の江戸時代の場合は藩主)が自分の領地に対して強い責任を持つ体制です。当然、それぞれの領地の支配については、非常に大きな裁量権が認められていた。ただ、中国ではすくなくとも宋代以降の約1000年間、特に漢民族の間ではそうした統治が長期的に認められる例は稀でした。
――中国において地方に強い権限を委譲するケースというのは、制度的に設計された結果というよりも、太平天国の乱のあとに各地で軍閥化が進行したように、王朝が弱体化してからなし崩し的にそうなってしまう印象です。やはり、安定した体制にはほど遠いですね。
【菊池】中国の社会は、民間に非常に強いパワーがあります。言い換えれば、ものごとを民間に任せておくと、好き勝手なことをどんどんはじめてしまい、統制が取れなくなる。中国社会の一番の問題は、こうした民間の野放図なパワーに対して、権力側が常に恐れを抱いているため、無理やりに抑え込んで統制しようとする志向が生まれがちなことです。ひとつだけの「正しいモデル」を提示して、それを民の側に信じ込ませる形になりがち。これは現在の共産党体制まで続く特徴だと言えるでしょう。(後編に続く)
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菊池 秀明(きくち・ひであき)
国際基督教大学教授
1961年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。専攻、中国近代史。
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安田 峰俊(やすだ・みねとし)
ルポライター
1982年滋賀県生まれ。中国ルポライター。立命館大学人文科学研究所客員協力研究員。著書『八九六四 「天安門事件」は再び起きるか』が第50回大宅壮一ノンフィクション賞、第5回城山三郎賞を受賞。近著に『現代中国の秘密結社 マフィア、政党、カルトの興亡史』(中公新書ラクレ)、『「低度」外国人材 移民焼き畑国家、日本』(KADOKAWA)など。
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「キリストは中国女性に転生した」中国新宗教”全能神”の謎…勧誘拒否者撲殺事件の真相とは
2/6(土) 11:12配信
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文春オンライン
トランプ支持とコロナデマを生む「Cアノン」筆頭…反共気功集団”法輪功”セミナー潜入記 から続く
【写真】「世界の終わり」を信じて甘粛省政府前に集まった数百人の「全能神」信者たち
キリストが中国人女性に転生したという教義を信じる「全能神」は、1990年代から今世紀にかけて勢力を伸ばした中国のプロテスタント系新宗教だ。2014年には山東省のマクドナルドの店内で、勧誘を拒否した女性を信者たちが撲殺したとされる事件も、中国メディアにより報じられている。彼らは当局からは「邪教」として弾圧を受けており、中国国内では地下活動を余儀なくされる「秘密結社」化した存在となっている。
中国ルポライターの安田峰俊氏は著書『 現代中国の秘密結社 マフィア、政党、カルトの興亡史 』(中公新書ラクレ)で、日本国内で暮らす信者へのインタビューをおこなったほか、全能神が成立した経緯とその教義の性質にも切り込んでいる。同書から一部を抜粋・再編集して紹介しよう。(全2回の2回目/ 前編 を読む)
◇◇◇
中国の「邪教」筆頭へ
©iStock.com
中国におけるプロテスタントは、三自愛国委員会という政府系の組織により統括され「中国共産党の指導」を仰ぐタテマエになっている。それに不満を持つ数千万人規模の信者たちは、家庭教会(地下教会)と呼ばれる非公認教会に集って信仰を守ってきた。だが、当局の弾圧のもとで正確な神学知識を学ぶ機会が限られ、また地下活動による閉鎖性の強さもあって、中国の家庭教会は数多くの「異端」的な教派やカルト的な新宗教を生む母体にもなってきた。
今回の記事で紹介する全能神(東方閃電、実際神)も、中国の家庭教会をルーツとして生まれたプロテスタント系新宗教のひとつだ。中国公安部からは、法輪功と並ぶ「邪教」の筆頭格として強い警戒と取り締まりの対象となっている。
まずは中国公安部の内部資料とされる「邪教「実際神」の活動情況及び工作要求」(2001年3月6日付)から、当局が把握している全能神の性質について見ていこう。
〈邪教「実際神」(またの名を「全能神」)は黒龍江省の元「呼喊派」幹部メンバー趙維山が1989年に創設した。趙はかつて1989年に黒龍江省阿城(現・ハルビン市阿城区)に「永源教会」を違法に建て、「能力主」を自称し、1000人近い群衆をペテンにかけていたことがある。
1991年にかの組織が現地の公安機関によって法に則った取り締まりを受けた後、趙維山はまた(組織名を)「全権」に改称して河南省などに潜伏、「「能力主」の時期はまもなく終わる、イエスはふたたび肉体をともなって姿を現した。(再臨にあたり)女性であることを選んだ、すなわち「実際神」である」などといったデマを広め、「実際神」の組織を設立し、その活動は黒龍江省・河南省・広東省・江蘇省・江西省などの10あまりの省や直轄市に及び、万を超える群衆をペテンにかけている。「邪教「実際神」活動情況及工作要求(絶密)」『中国宗教迫害真相調査委員会』〉
文書に出てくる「呼喊派」(欧米圏の呼称は「シャウターズ」)とは、中国の家庭教会から生まれた神秘主義的な傾向が強いプロテスタントの教派だ。敬虔な信徒たちが「阿門(アーメン)」などと神を称える言葉を呼喊(よびさけ)ぶことでこの名で呼ばれ、文化大革命からほどない1983 年の時点で、はやくも当局から「邪教」認定を受けた。
全能神たる「女キリスト」は、共産党「サタン」との戦いに勝利する
全能神の事実上の創始者・趙維山は、この呼喊派の影響を受けて全能神を立ち上げている。
全能神の教義の特徴は、キリストが中国人女性として再臨したとする信仰に加えて、人類の歴史を「律法」「恩典」「国度」の三時代に分ける、「神三歩作工」(神のはたらきの三段階)と呼ばれる独自の歴史認識を持つことだ。
すなわち、天地創生をおこなったエホバ(ヤハウェ)の時代が「律法の時代」で、ナザレのイエスが布教活動をおこなって以降が「恩典の時代」──。と、ここまでは既存のキリスト教が説く内容と比較的近いのだが、全能神はその後に、キリストが中国人女性として復活した現代を「国度の時代」と位置づけている。そして、やがて全能神である女基督(女キリスト)がサタンとの戦いに勝利して人類を救済すると考えているのである。
さらに全能神は、「恩典の時代を担ったイエスは、人びとに贖罪と愛の教えを説いたがために、最終的にサタンとの戦いに勝利をおさめることができなかった」「国度の時代は、神による征服事業であり、サタンに勝利するために人びとは女基督に服従しなければならず、自分〔=女基督〕に従う者のみが最後の審判をまぬがれることができる」と考える終末観を持つとされる(『結社が描く中国近現代史』)。
あまたある新宗教から「邪教」の筆頭格に
そんな全能神が、中国国内で「邪教」として明確に定義づけられたのは1995年である。これは法輪功をはじめとする気功の各派が活動を制限されはじめたのとほぼ同時期だ。中国では1980年代からオカルトブームが社会を席巻していたのだが(詳しくは 本書 参照)、当局はこのあたりの時期から取り締まりの方針に傾いていったのである。
1995年11月、中国共産党中央弁公庁と国務院公庁が出した「「公安部の“呼喊派”などの邪教組織の調査取り締まりに関する情況および工作意見」の転載発令に関する通知」において、呼喊派とその系統の新宗教である常受教・中華大陸行政執事站・能力主・実際神(=全能神)、さらに門徒会・全範囲教会・霊霊教・新約教会・主神教などのキリスト教系新宗教と、東洋思想系の観音法門の合計11団体が名指しで「邪教」指定を受けた(その後ほどなく、筆者が 以前の記事 で書いた真佛宗もこれに加えられている)。
この時点では、中国当局はむしろ呼喊派の取り締まりに重点を置いていたとみられるが、その後に当局が「邪教」リストを更新していくたびに、全能神に対する当局のマークは強まっていく。
やがて山東省で全能神関係者によるマクドナルド殺人事件(後述)が発生した直後の2014年6月4日、中国公安部系の組織とみられる反邪教聯盟によって最新の「邪教」リストが発表され、全能神はこのときから筆頭格の扱いを受けることになった。
今世紀に入るころから、中国共産党は「邪教」問題を、新疆やチベットの少数民族独立運動と並ぶ、体制の安定を揺るがす警戒対象であるとみなしている。また、1999年の中南海包囲事件以来、中国ではながらく法輪功が「邪教」の代名詞的存在だったが、2014年6月以降は全能神がこれに取って代わるようになった。
マクドナルドで勧誘拒否の女性を撲殺
現在の中国当局の全能神に対する認識も、当然ながら非常に厳しい。
たとえば、やはり当局系のサイトと見られる『反全能神聯盟網』に2019年5月31日付けで発表された「全能神邪教を防ぐハンドブック」は、全能神が「「世界の終わり」などのデマをばらまいて恐怖のムードを作り出し」、「信徒を扇動して肉親の情を捨てさせ社会から遊離させ、少なからぬ家庭を滅茶苦茶にし、甚だしくは罪なき人間を惨殺して」いる凶悪な破壊的カルトであると再三強調する。
この文書いわく、全能神の主要な害悪とは、暴力による殺人、全財産の寄付、信者と連絡がつかなくなる、家族の崩壊、中国共産党と中華人民共和国政府に対する攻撃、正統な宗教の破壊……などである。なかには、全能神信者の母親が宣教の邪魔だからと生後3ヵ月の娘を殺害した、信仰のために家庭から失踪して15年が経過した、全能神信者になった母親が子どもを勘当したなど、非常に陰惨なエピソードも数多くみられる。
住んでいた家の壁には「残殺」「虐殺」「なぐれ」の文字も
もっとも、中国共産党が政治的な敵対者に対して、多分にデマを交えた徹底的な中傷を展開することは、往年の反日デモの際の日本企業バッシングなどでもお馴染みだ。
『反全能神聯盟網』の主張は、相当な脚色が施されている可能性が高く、充分に注意して読む必要がある。
――しかし、プロパガンダではなく事実だとみられる過激な事件も起きている。
その代表例が、2014年5月28日に全能神の信者を名乗る男女が起こした「山東省招遠市マクドナルド殺人事件」だ。まずは報道をベースに事件の概要を見ておこう。
〈 山東省煙台招遠市内のマクドナルド店内で5月28日、男女6人が女性を取り囲んで殴り続けて殺害した事件で、中国の警察当局は同月31日、「容疑者6人はカルト集団の構成員だった」と発表した。容疑者6人と殺害された女性に面識はなく、勧誘のために電話番号を聞かれたが拒否されたことで暴行が始まったとされる。中国メディアは6人が所属していたとされる新興宗教集団「全能神」の危険性を強調する記事を配信しつづけている。
事件発生は5月28日夜。殺害されたのは今年36歳になる女性の碩燕さん。夫と7歳の息子、夫の母と暮らしていた。28日夜には市内のマクドナルド店で夫と息子とともに食事をした。その後、夫は息子を遊ばせるために、先に店を出た。呉さん1人が店に残った。「惨劇」は約20分後に発生した。
店内にいた「全能神」の信者である男女6人が、呉さんを入会させようと勧誘。電話番号を尋ねたが、呉さんは応じなかった。すると6人は呉さんを囲んで殴り始めた。店関係者や他の客が止めようとすると、殴りかかられたという。
警察官が駆け付けた時、6人は呉さんを引き倒して、全身をけったりアルミ製のパイプで頭部を殴りつけていた。6人は警察官にも殴りかかるなどで抵抗した。応援の警察官が多数駆けつけ、近くの大型店舗の警備員も協力して、6人を取り押さえた。呉さんは病院に搬送されたが死亡した。
容疑者6人のうち成人の男は1人で、娘2人と未成年の息子、さらに家族関係はない女2人。警察は刑事責任を問えない未成年者1人を除く、5人の身柄を拘束した。
警察によると、6人は同じ家に住んでおり、周辺住民への聞き込みにより、5月28日の事件発生以前に、犬を殴り殺すなどしていたことが分かった。また、住んでいた家の壁に貼っていたボードには「残殺」、「虐殺」、「なぐれ」などの文字が残されていた。
『サーチナ』「マクドナルド店内撲殺事件で中国各メディアが〈反カルト〉記事掲載」2014年6月2日
※原文の明らかな誤字脱字は修正した〉
主犯のメンバーには死刑が言い渡された
中国国内の他の報道によれば、全能神の信者である6人の男女がマクドナルドの店内で客たちに無差別に電話番号を聞いてまわり、それに応じなかった被害者女性(37歳とする報道も多い)を、突然「邪霊」であるとして撲殺したとされる。犯人グループの主犯格は50代の男・張立冬で、さらに彼の娘の張帆と張航、息子の張某(未成年)、女性の呂迎春、張巧聯らであった。
逮捕後、張立冬は自身が過去7年来の全能神の信者であることを認め、国営放送CCTVはその証言を大きく報じた。他のメンバーが全能神の書籍を読んでいたことも明らかにされた。その後、裁判を経て2015年2月に主犯の張立冬とその娘の張帆に死刑が執行され、残る成人三人にも終身刑を含む懲役刑が下された。
当局の「邪教」摘発キャンペーン?
もっとも、事件については中国国内メディアの報道をベースにせざるを得ず、情報に強いバイアスがかかっている可能性がある。念のために別の見解も紹介しておこう。
たとえば、全能神に好意的な姿勢で知られるイタリアの学術団体CESNUR(新宗教研究センター)の雑誌『The Journal of CESNUR』に論文を寄稿しているアメリカやオーストラリアなどの宗教学者たちは、張立冬ら犯人グループの正体について「全能神の元信者」「全能神を名乗った別の教団の信者」といった当局発表とは異なる見立てを発表している。同じくCESNUR系で中国国内の宗教迫害ニュースを専門に扱っているウェブニュースサイト『Bitter Winter(寒冬[ハンドン])』(日本語版あり)も、事件について全能神無罪説を主張する記事をしばしば掲載している。
もちろん全能神の教団自身も、事件の犯人は自分たちの信者ではないと主張している。確かに、犯行グループのメンバーに「神の化身」を称する女性二人が”本当に”含まれていたことは、全能神の教義(本書中で詳述)とは矛盾があるように感じなくもない。
また、事件発生から4日足らずで当局が全国規模の「邪教」摘発キャンペーンを大々的に展開したり「邪教」リストを更新したりした点も、ずいぶん用意周到だ。捜査前から準備を進めていなければ、これほどの速度で大規模なプロパガンダを打つことは困難だろう(ちなみに1999年の法輪功弾圧の場合、彼らが中南海包囲事件を起こしてから摘発の開始まで約3ヵ月間の準備期間が置かれた。信者の人数や事件の性質が異なるので全能神のケースとの単純な比較はできないが、扱いは明らかに異なっている)。
西側各国の主要メディアでも報道された
とはいうものの、張立冬以下の犯人グループが全能神の関係者であることは、中国の国内報道を引用する形ではあるが、イギリスのBBCやアメリカのCNN、ロイター、『ニューヨーク・タイムズ』などの西側各国の主要メディアでも伝えられている。ひとまずマクドナルド事件については、国際的には全能神の関係者の犯行であるとみなす認識が一般的だと考えていいだろう。
※なお、マクドナルド事件について全能神無罪説を主張する論文を掲載した『The Journalof CESNUR』の発行元であるイタリアの学術団体CESNURは、全能神のみならず世界平和統一家庭連合(統一教会)やサイエントロジー、日本のオウム真理教、韓国の新天地イエス教証しの幕屋聖殿(新天地教会)などの社会的に物議を醸かもしている各種の新宗教や破壊的カルト、欧州のネオナチなどにも容認的な姿勢を取っており、欧州社会では彼ら自身に対する批判が少なくない。いっぽう、CESNUR傘下のウェブニュースサイト『Bitter Winter』は、アメリカ国務省や日本の法務省が中国の人権弾圧問題の参考資料として用いるなどしており、国際世論に対して一定の影響力を持っている。マクドナルド事件の真相は、論じる者の政治的立場によって評価が変わる問題だと言えそうだ。
◇◇◇
※本記事は2020年2月6日刊行の『現代中国の秘密結社』(下部リンク参照)の一部を、編集のうえ抜粋したものです。また、著者の安田氏のもうひとつの安田氏の新著、群馬県のベトナム人豚窃盗問題と技能実習生問題の真の闇を暴く『 「低度」外国人材 移民焼き畑国家、日本』 (KADOKAWA)も2021年3月2日刊行予定!
安田 峰俊
grg***** | 6日前
世界には色々な宗教があるけど、本当に神が死後の人間を救ってくれるなら、神の名を語って人を殺すような人間は、どんな理由があろうと救われることはないと思います。同じく入信を拒んだからと言って人に嫌がらせをするような人も救われることはないと思います。
そんなことする人は、そもそも本当は神様なんか信じてないんだと思います。
要するに自分に都合のいいように神様を利用しているだけです。
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doo***** | 6日前
この人のように批判精神をもって参加しても、気功的な動作の効果は「実感」してるのが面白い。周りに流された自己暗示ゆえなのか、実際ヨガ的な健康効果はあったりするのか・・
そういえばオウムのルーツも、最初はヨガがメインだったな。
批評的な気持ちで参加してもそうなら、元々健康不安あったりする孤独な人はコロッと取り込まれそうな気もする。
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tkf | 6日前
中国に住んで無いのでわかりませんが、中国にはそんなに宗教があるのですか。信仰者がいるんだ。現状はどんな感じなんでしょうね。
宗教とカルトとの違い。キリストや釈迦本人がカルトだと言う人はいない。ガンジーやキング牧師をカルトだとも言わない。釈迦は仏の心象で人の振る舞いの模範となった。キリストも十字架にかけられても民衆への慈愛は微動だにもしなかった。生きていても死に至っても復活という宗教的背景は別にしても、その心象は地獄の様相では無くその真逆。凶弾に倒れたガンジーもキング氏も卓越した精神を失わず光続けています。カルトはそのような人の道、卓越した普遍の精神が、宗教を装いながら無い。結果人の救済どころか苦しみの地獄の世界を顕現してしまい極めて犯罪的に堕ちる。簡単な表現をすると個人的にはそう思っています。
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icc***** | 6日前
自分の大学時代の卒論テーマがこれだったんですけど、信教の自由があるため公権力が表立って邪教認定をするようなことは法輪功以来なかったですね。1995年のいわゆる通知も一応極秘扱いの内部伝達でしたし、そもそも原文書が見つかりませんでした。あと反邪教連盟という名の組織は無いんですけど、反邪教協会の間違いじゃないかと思います。反邪教協会は科学協会と関連が強く、公安系は中央直属機関の610室があります。関連した研究はかなりあるんですけど、体験談から言うと近年キリスト教の蔓延は目ざましいものですね。データに出てこないから知られてませんけど、信者の割合は日本より遥かに高いように感じられます。
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ixe***** | 6日前
中国の報道だから全面的に信じるわけにはいかないが、半分くらいが真実としても確かに邪教だわ。キリストが天国で泣いてるよ。
・・アメリカにも似たようなカルト教団がたくさんあるけど、こっちは余り知られてないな。
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pik***** | 6日前
中国は一億人くらいキリスト教徒がいるんじゃないですかね。
知らないだけでキリスト教絡みの話は結構他にもたくさんありそう。
返信0
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tmr***** | 6日前
はいすみません!実は私がキリストの生まれ変わりです。
反論あるなら否定する根拠だしてみろや、、、って結局宗教は言ったもん勝ち。
だから私が神だ!
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afg***** | 6日前
阿片戦争じゃないけど、太平天国の乱 の経験があるから 中国は宗教に対して締め付け厳しいよね。
古くは 漢の時代の 黄巾の乱
返信4
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c97***** | 6日前
一方的宣伝ではなく、いろんな角度で情報を提供する。あとは判断を読者に任せる素晴らしい記事だ。
返信0
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1
toron***** | 6日前
中国だと宗教弾圧で事件作られた可能性もあるから、なんとも言えんな
2/11(木) 8:46配信
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菊池秀明『太平天国 皇帝なき中国の挫折』(岩波新書)
「太平天国の乱」をご存じだろうか。清朝後期、科挙に落第した知識人の洪秀全が、キリスト教の影響を受けて創始した秘密結社・上帝会を率いて1850年の末に蜂起。反乱軍はやがて大都市・南京を占領して首都「天京」とし、太平天国を建国する。反乱は約14年にわたって続き、清朝の屋台骨は大きく傾いた。
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もっとも、事件の名前は知っていても、現代の私たちの社会にどうつながるのかピンとこない人も多いだろう。だが、実は太平天国の乱には、現代中国の習近平体制の本質や中国の覇権主義の理由、さらにはウイグル問題や香港デモの背景といったさまざまな問題を読み解くカギが隠れている。
太平天国研究の第一人者である菊池秀明氏(国際基督教大学教養学部教授)が昨年12月に刊行した新著『太平天国 皇帝なき中国の挫折』(岩波新書)は、事件の概要とその背景をあますところなく描いた。今年2月に『現代中国の秘密結社 マフィア、政党、カルトの興亡史』(中公新書ラクレ)を刊行した中国ルポライターの安田峰俊氏が、太平天国から見える現代中国の姿を菊池氏に聞いた──。(前編/全2回)
■格差に苦しむ反エスタブリッシュメントの反乱
――かつて上帝会が勢力を伸ばし、
太平天国の乱の起点となったのは、中国南部の広西省(現在の広西チワン族自治区)です。
地図を見ればわかりますが、広東省とベトナムに挟まれた広西省は、チワン族をはじめ少数民族が多く、中華であって半分は中華でない僻地(へきち)。なぜ、この土地から大反乱が始まったのでしょうか? 【菊池】強烈な格差社会だったんです。伝統中国では科挙(儒教の教養をテストする官僚登用試験)を通じて、誰もが社会的上昇を果たせる──というタテマエがありましたが、科挙の受験勉強は大変です。それなりに裕福で文化資本がある家庭の出身者でなければ、事実上は参入できなかった。社会におけるさまざまなコネや利権も、地位と財力のある人に集中していきます。
つまり、「誰にでも社会的上昇のチャンスがある」という幻想だけはバラまかれていたのですが、現実的にそれが不可能な人たちがいた。そんな、格差社会のなかで決定的に切り捨てられた階層の人たちが、当時の広西には特に多く存在していたんです。
「キリスト教もマルクス主義も中国化される」太平天国からわかる現代中国
2/11(木) 8:46配信
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菊池秀明『太平天国 皇帝なき中国の挫折』(岩波新書)
「太平天国の乱」をご存じだろうか。清朝後期、科挙に落第した知識人の洪秀全が、キリスト教の影響を受けて創始した秘密結社・上帝会を率いて1850年の末に蜂起。反乱軍はやがて大都市・南京を占領して首都「天京」とし、太平天国を建国する。反乱は約14年にわたって続き、清朝の屋台骨は大きく傾いた。
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もっとも、事件の名前は知っていても、現代の私たちの社会にどうつながるのかピンとこない人も多いだろう。だが、実は太平天国の乱には、現代中国の習近平体制の本質や中国の覇権主義の理由、さらにはウイグル問題や香港デモの背景といったさまざまな問題を読み解くカギが隠れている。
太平天国研究の第一人者である菊池秀明氏(国際基督教大学教養学部教授)が昨年12月に刊行した新著『太平天国 皇帝なき中国の挫折』(岩波新書)は、事件の概要とその背景をあますところなく描いた。今年2月に『現代中国の秘密結社 マフィア、政党、カルトの興亡史』(中公新書ラクレ)を刊行した中国ルポライターの安田峰俊氏が、太平天国から見える現代中国の姿を菊池氏に聞いた──。(前編/全2回)
■格差に苦しむ反エスタブリッシュメントの反乱
――かつて上帝会が勢力を伸ばし、
太平天国の乱の起点となったのは、中国南部の広西省(現在の広西チワン族自治区)です。
地図を見ればわかりますが、広東省とベトナムに挟まれた広西省は、チワン族をはじめ少数民族が多く、中華であって半分は中華でない僻地(へきち)。なぜ、この土地から大反乱が始まったのでしょうか? 【菊池】強烈な格差社会だったんです。伝統中国では科挙(儒教の教養をテストする官僚登用試験)を通じて、誰もが社会的上昇を果たせる──というタテマエがありましたが、科挙の受験勉強は大変です。それなりに裕福で文化資本がある家庭の出身者でなければ、事実上は参入できなかった。社会におけるさまざまなコネや利権も、地位と財力のある人に集中していきます。
つまり、「誰にでも社会的上昇のチャンスがある」という幻想だけはバラまかれていたのですが、現実的にそれが不可能な人たちがいた。そんな、格差社会のなかで決定的に切り捨てられた階層の人たちが、当時の広西には特に多く存在していたんです。
■資本主義ですら中国共産党の管理下のままで成長してしまった
――洪秀全はキリスト教を中国化し、孫文はナショナリズムを中国化し、毛沢東は共産主義を中国化した……。
【菊池】中国的な文脈で物事を読み替えてこそ、初めて生命力が吹き込まれます。たとえば洪秀全の場合、「上帝(=神)」は外来の神ではなく、中国古来の神だと主張していました。明らかに誤ったキリスト教解釈なのですが、そうすることでこそインパクトを持ち得たわけですね。
――洪秀全から毛沢東まで「中国化」の話が続きましたが、より最近の話を考えるなら、鄧小平や習近平は改革開放政策という形で資本主義を中国化したのかもしれません。本来、自由な民主主義社会でこそ健全に発達するとみられていた資本主義が、中国共産党の管理下のままで成長してしまいました。時価総額が世界トップ10に入る大企業の創業者(アリババ創業者のジャック・マー)すら、党の意向次第で葬られかねないのが「中国の特色ある」資本主義です。
【菊池】外国人が、中国を理解しようとしてなかなか迫り切れない理由も、このあたりにあるように感じますね。
■中国共産党のプロトタイプだった太平天国
――太平天国は南京を占領したあと、耕地を均等に分配する天朝田畝制度という、ちょっと後世の社会主義制度に似た構想をはじめ、極めて理想主義的な政策を打ち出すいっぽう、国民に対しては非常に抑圧的な体制を作り上げました。太平天国のこうした点も、中華人民共和国との類似性を感じさせます。
【菊池】実は今回、本書を書きながらずっと悩んでいたのです。なにかを取りあげて書籍を書くときは、対象にある程度は肯定的な態度を持つものでしょう。しかし、すくなくとも南京を占領してからの太平天国は、どこから見ても中国共産党のプロトタイプのような存在なのです。しかも本書の執筆中はちょうど、香港デモがはじまったころでした。
――香港の行く末を心配する立場に立てば、香港支配を進める中国共産党の先輩格と言っていい太平天国を論じる作業にはつらいものがありそうです。
【菊池】非常にしんどいですね。過去の太平天国の歴史を踏まえたうえで、現在の中国や香港の未来に希望を持てるかといえば、持てるような結果は生まれなかったわけですよ。そもそも、本書の副題に「皇帝なき中国の挫折」とあるように、太平天国は本来、従来の中華王朝の皇帝権力を中心としたトップダウン体制とは異なる統治体制を模索する運動としての側面もあったはずでした。しかし、結果的にはそうならなかった──。
――洪秀全は皇帝ではなく「天王」を名乗りました。他の幹部連中も、楊秀清が東王、蕭朝貴が西王、馮雲山が南王、韋昌輝が北王、石達開が翼王などとなっており(蕭朝貴・馮雲山は早期に戦死)、称号はみんな「王」ですね。
【菊池】太平天国に「皇帝」は存在せず、いるのは「王」だけ。一定の序列はあっても「王」たちは身分的には同じ存在で、制度的には共同統治体制だったんです。かつての中国においては特異な政体と言っていいでしょう。
■独裁体制の強い誘惑
――ただ、やがて天王洪秀全の権威を脅かした楊秀清が韋昌輝に暗殺され、さらに韋昌輝も洪秀全に粛清されて、これを見た石達開が天京を離れ……と、泥沼の権力闘争が発生します。結果、洪秀全の独裁体制が固まるいっぽうで、太平天国の革命運動は下り坂に転じました。
【菊池】バネを巻きすぎるとビーンと戻ってしまうように、中国では皇帝の個人独裁体制を克服しようと試みても、ふとした拍子に戻ってしまうわけです。これは中国共産党についても同じなのでしょう。毛沢東時代の反省から、個人崇拝や個人独裁を防ぐために集団指導体制を採用してきたはずが、結局、習近平時代になって個人に権力が集中する体制が復活してしまいました。
――中国の社会は「放」(分散化・奔放化)と「収」(集権化・独裁化)の繰り返し、とはよく言われる話です。近年でも胡錦濤時代までの、汚職や犯罪が蔓延しながらも活気があった「放」の社会が、習近平時代に一気に「収」に変わりました。洪秀全なり毛沢東なり習近平なり、パワーのある政治家が登場すると「収」が始まります。
【菊池】極端から極端に振れずに、ほどほどのところで分権的な社会を作って落ち着けばいいのにと思うのですが、中国の場合は容易にそうならない。強烈な競争社会であるためか、複数の権力者が権力を分散して共存する形よりも、総取りを目指す動きが出てしまいます。日本や欧州と異なり、過去の歴史上でながらく封建制を経験していないことも影響しているのかもしれません。
――封建という言葉は、世間一般では「封建的な父親」のように「旧時代的な」とほぼ同じ意味で使われています。とはいえ本来は、国王が臣従する諸侯に封土を与え、その土地の領有権と統治権を認める仕組みを意味する言葉ですね。
【菊池】封建制は、地方の領主(日本の江戸時代の場合は藩主)が自分の領地に対して強い責任を持つ体制です。当然、それぞれの領地の支配については、非常に大きな裁量権が認められていた。ただ、中国ではすくなくとも宋代以降の約1000年間、特に漢民族の間ではそうした統治が長期的に認められる例は稀でした。
――中国において地方に強い権限を委譲するケースというのは、制度的に設計された結果というよりも、太平天国の乱のあとに各地で軍閥化が進行したように、王朝が弱体化してからなし崩し的にそうなってしまう印象です。やはり、安定した体制にはほど遠いですね。
【菊池】中国の社会は、民間に非常に強いパワーがあります。言い換えれば、ものごとを民間に任せておくと、好き勝手なことをどんどんはじめてしまい、統制が取れなくなる。中国社会の一番の問題は、こうした民間の野放図なパワーに対して、権力側が常に恐れを抱いているため、無理やりに抑え込んで統制しようとする志向が生まれがちなことです。ひとつだけの「正しいモデル」を提示して、それを民の側に信じ込ませる形になりがち。これは現在の共産党体制まで続く特徴だと言えるでしょう。(後編に続く)
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菊池 秀明(きくち・ひであき)
国際基督教大学教授
1961年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。専攻、中国近代史。
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安田 峰俊(やすだ・みねとし)
ルポライター
1982年滋賀県生まれ。中国ルポライター。立命館大学人文科学研究所客員協力研究員。著書『八九六四 「天安門事件」は再び起きるか』が第50回大宅壮一ノンフィクション賞、第5回城山三郎賞を受賞。近著に『現代中国の秘密結社 マフィア、政党、カルトの興亡史』(中公新書ラクレ)、『「低度」外国人材 移民焼き畑国家、日本』(KADOKAWA)など。
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「キリストは中国女性に転生した」中国新宗教”全能神”の謎…勧誘拒否者撲殺事件の真相とは
2/6(土) 11:12配信
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文春オンライン
トランプ支持とコロナデマを生む「Cアノン」筆頭…反共気功集団”法輪功”セミナー潜入記 から続く
【写真】「世界の終わり」を信じて甘粛省政府前に集まった数百人の「全能神」信者たち
キリストが中国人女性に転生したという教義を信じる「全能神」は、1990年代から今世紀にかけて勢力を伸ばした中国のプロテスタント系新宗教だ。2014年には山東省のマクドナルドの店内で、勧誘を拒否した女性を信者たちが撲殺したとされる事件も、中国メディアにより報じられている。彼らは当局からは「邪教」として弾圧を受けており、中国国内では地下活動を余儀なくされる「秘密結社」化した存在となっている。
中国ルポライターの安田峰俊氏は著書『 現代中国の秘密結社 マフィア、政党、カルトの興亡史 』(中公新書ラクレ)で、日本国内で暮らす信者へのインタビューをおこなったほか、全能神が成立した経緯とその教義の性質にも切り込んでいる。同書から一部を抜粋・再編集して紹介しよう。(全2回の2回目/ 前編 を読む)
◇◇◇
中国の「邪教」筆頭へ
©iStock.com
中国におけるプロテスタントは、三自愛国委員会という政府系の組織により統括され「中国共産党の指導」を仰ぐタテマエになっている。それに不満を持つ数千万人規模の信者たちは、家庭教会(地下教会)と呼ばれる非公認教会に集って信仰を守ってきた。だが、当局の弾圧のもとで正確な神学知識を学ぶ機会が限られ、また地下活動による閉鎖性の強さもあって、中国の家庭教会は数多くの「異端」的な教派やカルト的な新宗教を生む母体にもなってきた。
今回の記事で紹介する全能神(東方閃電、実際神)も、中国の家庭教会をルーツとして生まれたプロテスタント系新宗教のひとつだ。中国公安部からは、法輪功と並ぶ「邪教」の筆頭格として強い警戒と取り締まりの対象となっている。
まずは中国公安部の内部資料とされる「邪教「実際神」の活動情況及び工作要求」(2001年3月6日付)から、当局が把握している全能神の性質について見ていこう。
〈邪教「実際神」(またの名を「全能神」)は黒龍江省の元「呼喊派」幹部メンバー趙維山が1989年に創設した。趙はかつて1989年に黒龍江省阿城(現・ハルビン市阿城区)に「永源教会」を違法に建て、「能力主」を自称し、1000人近い群衆をペテンにかけていたことがある。
1991年にかの組織が現地の公安機関によって法に則った取り締まりを受けた後、趙維山はまた(組織名を)「全権」に改称して河南省などに潜伏、「「能力主」の時期はまもなく終わる、イエスはふたたび肉体をともなって姿を現した。(再臨にあたり)女性であることを選んだ、すなわち「実際神」である」などといったデマを広め、「実際神」の組織を設立し、その活動は黒龍江省・河南省・広東省・江蘇省・江西省などの10あまりの省や直轄市に及び、万を超える群衆をペテンにかけている。「邪教「実際神」活動情況及工作要求(絶密)」『中国宗教迫害真相調査委員会』〉
文書に出てくる「呼喊派」(欧米圏の呼称は「シャウターズ」)とは、中国の家庭教会から生まれた神秘主義的な傾向が強いプロテスタントの教派だ。敬虔な信徒たちが「阿門(アーメン)」などと神を称える言葉を呼喊(よびさけ)ぶことでこの名で呼ばれ、文化大革命からほどない1983 年の時点で、はやくも当局から「邪教」認定を受けた。
全能神たる「女キリスト」は、共産党「サタン」との戦いに勝利する
全能神の事実上の創始者・趙維山は、この呼喊派の影響を受けて全能神を立ち上げている。
全能神の教義の特徴は、キリストが中国人女性として再臨したとする信仰に加えて、人類の歴史を「律法」「恩典」「国度」の三時代に分ける、「神三歩作工」(神のはたらきの三段階)と呼ばれる独自の歴史認識を持つことだ。
すなわち、天地創生をおこなったエホバ(ヤハウェ)の時代が「律法の時代」で、ナザレのイエスが布教活動をおこなって以降が「恩典の時代」──。と、ここまでは既存のキリスト教が説く内容と比較的近いのだが、全能神はその後に、キリストが中国人女性として復活した現代を「国度の時代」と位置づけている。そして、やがて全能神である女基督(女キリスト)がサタンとの戦いに勝利して人類を救済すると考えているのである。
さらに全能神は、「恩典の時代を担ったイエスは、人びとに贖罪と愛の教えを説いたがために、最終的にサタンとの戦いに勝利をおさめることができなかった」「国度の時代は、神による征服事業であり、サタンに勝利するために人びとは女基督に服従しなければならず、自分〔=女基督〕に従う者のみが最後の審判をまぬがれることができる」と考える終末観を持つとされる(『結社が描く中国近現代史』)。
あまたある新宗教から「邪教」の筆頭格に
そんな全能神が、中国国内で「邪教」として明確に定義づけられたのは1995年である。これは法輪功をはじめとする気功の各派が活動を制限されはじめたのとほぼ同時期だ。中国では1980年代からオカルトブームが社会を席巻していたのだが(詳しくは 本書 参照)、当局はこのあたりの時期から取り締まりの方針に傾いていったのである。
1995年11月、中国共産党中央弁公庁と国務院公庁が出した「「公安部の“呼喊派”などの邪教組織の調査取り締まりに関する情況および工作意見」の転載発令に関する通知」において、呼喊派とその系統の新宗教である常受教・中華大陸行政執事站・能力主・実際神(=全能神)、さらに門徒会・全範囲教会・霊霊教・新約教会・主神教などのキリスト教系新宗教と、東洋思想系の観音法門の合計11団体が名指しで「邪教」指定を受けた(その後ほどなく、筆者が 以前の記事 で書いた真佛宗もこれに加えられている)。
この時点では、中国当局はむしろ呼喊派の取り締まりに重点を置いていたとみられるが、その後に当局が「邪教」リストを更新していくたびに、全能神に対する当局のマークは強まっていく。
やがて山東省で全能神関係者によるマクドナルド殺人事件(後述)が発生した直後の2014年6月4日、中国公安部系の組織とみられる反邪教聯盟によって最新の「邪教」リストが発表され、全能神はこのときから筆頭格の扱いを受けることになった。
今世紀に入るころから、中国共産党は「邪教」問題を、新疆やチベットの少数民族独立運動と並ぶ、体制の安定を揺るがす警戒対象であるとみなしている。また、1999年の中南海包囲事件以来、中国ではながらく法輪功が「邪教」の代名詞的存在だったが、2014年6月以降は全能神がこれに取って代わるようになった。
マクドナルドで勧誘拒否の女性を撲殺
現在の中国当局の全能神に対する認識も、当然ながら非常に厳しい。
たとえば、やはり当局系のサイトと見られる『反全能神聯盟網』に2019年5月31日付けで発表された「全能神邪教を防ぐハンドブック」は、全能神が「「世界の終わり」などのデマをばらまいて恐怖のムードを作り出し」、「信徒を扇動して肉親の情を捨てさせ社会から遊離させ、少なからぬ家庭を滅茶苦茶にし、甚だしくは罪なき人間を惨殺して」いる凶悪な破壊的カルトであると再三強調する。
この文書いわく、全能神の主要な害悪とは、暴力による殺人、全財産の寄付、信者と連絡がつかなくなる、家族の崩壊、中国共産党と中華人民共和国政府に対する攻撃、正統な宗教の破壊……などである。なかには、全能神信者の母親が宣教の邪魔だからと生後3ヵ月の娘を殺害した、信仰のために家庭から失踪して15年が経過した、全能神信者になった母親が子どもを勘当したなど、非常に陰惨なエピソードも数多くみられる。
住んでいた家の壁には「残殺」「虐殺」「なぐれ」の文字も
もっとも、中国共産党が政治的な敵対者に対して、多分にデマを交えた徹底的な中傷を展開することは、往年の反日デモの際の日本企業バッシングなどでもお馴染みだ。
『反全能神聯盟網』の主張は、相当な脚色が施されている可能性が高く、充分に注意して読む必要がある。
――しかし、プロパガンダではなく事実だとみられる過激な事件も起きている。
その代表例が、2014年5月28日に全能神の信者を名乗る男女が起こした「山東省招遠市マクドナルド殺人事件」だ。まずは報道をベースに事件の概要を見ておこう。
〈 山東省煙台招遠市内のマクドナルド店内で5月28日、男女6人が女性を取り囲んで殴り続けて殺害した事件で、中国の警察当局は同月31日、「容疑者6人はカルト集団の構成員だった」と発表した。容疑者6人と殺害された女性に面識はなく、勧誘のために電話番号を聞かれたが拒否されたことで暴行が始まったとされる。中国メディアは6人が所属していたとされる新興宗教集団「全能神」の危険性を強調する記事を配信しつづけている。
事件発生は5月28日夜。殺害されたのは今年36歳になる女性の碩燕さん。夫と7歳の息子、夫の母と暮らしていた。28日夜には市内のマクドナルド店で夫と息子とともに食事をした。その後、夫は息子を遊ばせるために、先に店を出た。呉さん1人が店に残った。「惨劇」は約20分後に発生した。
店内にいた「全能神」の信者である男女6人が、呉さんを入会させようと勧誘。電話番号を尋ねたが、呉さんは応じなかった。すると6人は呉さんを囲んで殴り始めた。店関係者や他の客が止めようとすると、殴りかかられたという。
警察官が駆け付けた時、6人は呉さんを引き倒して、全身をけったりアルミ製のパイプで頭部を殴りつけていた。6人は警察官にも殴りかかるなどで抵抗した。応援の警察官が多数駆けつけ、近くの大型店舗の警備員も協力して、6人を取り押さえた。呉さんは病院に搬送されたが死亡した。
容疑者6人のうち成人の男は1人で、娘2人と未成年の息子、さらに家族関係はない女2人。警察は刑事責任を問えない未成年者1人を除く、5人の身柄を拘束した。
警察によると、6人は同じ家に住んでおり、周辺住民への聞き込みにより、5月28日の事件発生以前に、犬を殴り殺すなどしていたことが分かった。また、住んでいた家の壁に貼っていたボードには「残殺」、「虐殺」、「なぐれ」などの文字が残されていた。
『サーチナ』「マクドナルド店内撲殺事件で中国各メディアが〈反カルト〉記事掲載」2014年6月2日
※原文の明らかな誤字脱字は修正した〉
主犯のメンバーには死刑が言い渡された
中国国内の他の報道によれば、全能神の信者である6人の男女がマクドナルドの店内で客たちに無差別に電話番号を聞いてまわり、それに応じなかった被害者女性(37歳とする報道も多い)を、突然「邪霊」であるとして撲殺したとされる。犯人グループの主犯格は50代の男・張立冬で、さらに彼の娘の張帆と張航、息子の張某(未成年)、女性の呂迎春、張巧聯らであった。
逮捕後、張立冬は自身が過去7年来の全能神の信者であることを認め、国営放送CCTVはその証言を大きく報じた。他のメンバーが全能神の書籍を読んでいたことも明らかにされた。その後、裁判を経て2015年2月に主犯の張立冬とその娘の張帆に死刑が執行され、残る成人三人にも終身刑を含む懲役刑が下された。
当局の「邪教」摘発キャンペーン?
もっとも、事件については中国国内メディアの報道をベースにせざるを得ず、情報に強いバイアスがかかっている可能性がある。念のために別の見解も紹介しておこう。
たとえば、全能神に好意的な姿勢で知られるイタリアの学術団体CESNUR(新宗教研究センター)の雑誌『The Journal of CESNUR』に論文を寄稿しているアメリカやオーストラリアなどの宗教学者たちは、張立冬ら犯人グループの正体について「全能神の元信者」「全能神を名乗った別の教団の信者」といった当局発表とは異なる見立てを発表している。同じくCESNUR系で中国国内の宗教迫害ニュースを専門に扱っているウェブニュースサイト『Bitter Winter(寒冬[ハンドン])』(日本語版あり)も、事件について全能神無罪説を主張する記事をしばしば掲載している。
もちろん全能神の教団自身も、事件の犯人は自分たちの信者ではないと主張している。確かに、犯行グループのメンバーに「神の化身」を称する女性二人が”本当に”含まれていたことは、全能神の教義(本書中で詳述)とは矛盾があるように感じなくもない。
また、事件発生から4日足らずで当局が全国規模の「邪教」摘発キャンペーンを大々的に展開したり「邪教」リストを更新したりした点も、ずいぶん用意周到だ。捜査前から準備を進めていなければ、これほどの速度で大規模なプロパガンダを打つことは困難だろう(ちなみに1999年の法輪功弾圧の場合、彼らが中南海包囲事件を起こしてから摘発の開始まで約3ヵ月間の準備期間が置かれた。信者の人数や事件の性質が異なるので全能神のケースとの単純な比較はできないが、扱いは明らかに異なっている)。
西側各国の主要メディアでも報道された
とはいうものの、張立冬以下の犯人グループが全能神の関係者であることは、中国の国内報道を引用する形ではあるが、イギリスのBBCやアメリカのCNN、ロイター、『ニューヨーク・タイムズ』などの西側各国の主要メディアでも伝えられている。ひとまずマクドナルド事件については、国際的には全能神の関係者の犯行であるとみなす認識が一般的だと考えていいだろう。
※なお、マクドナルド事件について全能神無罪説を主張する論文を掲載した『The Journalof CESNUR』の発行元であるイタリアの学術団体CESNURは、全能神のみならず世界平和統一家庭連合(統一教会)やサイエントロジー、日本のオウム真理教、韓国の新天地イエス教証しの幕屋聖殿(新天地教会)などの社会的に物議を醸かもしている各種の新宗教や破壊的カルト、欧州のネオナチなどにも容認的な姿勢を取っており、欧州社会では彼ら自身に対する批判が少なくない。いっぽう、CESNUR傘下のウェブニュースサイト『Bitter Winter』は、アメリカ国務省や日本の法務省が中国の人権弾圧問題の参考資料として用いるなどしており、国際世論に対して一定の影響力を持っている。マクドナルド事件の真相は、論じる者の政治的立場によって評価が変わる問題だと言えそうだ。
◇◇◇
※本記事は2020年2月6日刊行の『現代中国の秘密結社』(下部リンク参照)の一部を、編集のうえ抜粋したものです。また、著者の安田氏のもうひとつの安田氏の新著、群馬県のベトナム人豚窃盗問題と技能実習生問題の真の闇を暴く『 「低度」外国人材 移民焼き畑国家、日本』 (KADOKAWA)も2021年3月2日刊行予定!
安田 峰俊
grg***** | 6日前
世界には色々な宗教があるけど、本当に神が死後の人間を救ってくれるなら、神の名を語って人を殺すような人間は、どんな理由があろうと救われることはないと思います。同じく入信を拒んだからと言って人に嫌がらせをするような人も救われることはないと思います。
そんなことする人は、そもそも本当は神様なんか信じてないんだと思います。
要するに自分に都合のいいように神様を利用しているだけです。
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doo***** | 6日前
この人のように批判精神をもって参加しても、気功的な動作の効果は「実感」してるのが面白い。周りに流された自己暗示ゆえなのか、実際ヨガ的な健康効果はあったりするのか・・
そういえばオウムのルーツも、最初はヨガがメインだったな。
批評的な気持ちで参加してもそうなら、元々健康不安あったりする孤独な人はコロッと取り込まれそうな気もする。
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tkf | 6日前
中国に住んで無いのでわかりませんが、中国にはそんなに宗教があるのですか。信仰者がいるんだ。現状はどんな感じなんでしょうね。
宗教とカルトとの違い。キリストや釈迦本人がカルトだと言う人はいない。ガンジーやキング牧師をカルトだとも言わない。釈迦は仏の心象で人の振る舞いの模範となった。キリストも十字架にかけられても民衆への慈愛は微動だにもしなかった。生きていても死に至っても復活という宗教的背景は別にしても、その心象は地獄の様相では無くその真逆。凶弾に倒れたガンジーもキング氏も卓越した精神を失わず光続けています。カルトはそのような人の道、卓越した普遍の精神が、宗教を装いながら無い。結果人の救済どころか苦しみの地獄の世界を顕現してしまい極めて犯罪的に堕ちる。簡単な表現をすると個人的にはそう思っています。
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icc***** | 6日前
自分の大学時代の卒論テーマがこれだったんですけど、信教の自由があるため公権力が表立って邪教認定をするようなことは法輪功以来なかったですね。1995年のいわゆる通知も一応極秘扱いの内部伝達でしたし、そもそも原文書が見つかりませんでした。あと反邪教連盟という名の組織は無いんですけど、反邪教協会の間違いじゃないかと思います。反邪教協会は科学協会と関連が強く、公安系は中央直属機関の610室があります。関連した研究はかなりあるんですけど、体験談から言うと近年キリスト教の蔓延は目ざましいものですね。データに出てこないから知られてませんけど、信者の割合は日本より遥かに高いように感じられます。
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ixe***** | 6日前
中国の報道だから全面的に信じるわけにはいかないが、半分くらいが真実としても確かに邪教だわ。キリストが天国で泣いてるよ。
・・アメリカにも似たようなカルト教団がたくさんあるけど、こっちは余り知られてないな。
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pik***** | 6日前
中国は一億人くらいキリスト教徒がいるんじゃないですかね。
知らないだけでキリスト教絡みの話は結構他にもたくさんありそう。
返信0
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tmr***** | 6日前
はいすみません!実は私がキリストの生まれ変わりです。
反論あるなら否定する根拠だしてみろや、、、って結局宗教は言ったもん勝ち。
だから私が神だ!
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afg***** | 6日前
阿片戦争じゃないけど、太平天国の乱 の経験があるから 中国は宗教に対して締め付け厳しいよね。
古くは 漢の時代の 黄巾の乱
返信4
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c97***** | 6日前
一方的宣伝ではなく、いろんな角度で情報を提供する。あとは判断を読者に任せる素晴らしい記事だ。
返信0
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toron***** | 6日前
中国だと宗教弾圧で事件作られた可能性もあるから、なんとも言えんな