トニママ ジャーナル

カリフォルニアより自閉症と音楽と私の日々

正解ボタン その2

2007-10-31 | Weblog
ピンポ~~ン!!
いつも教室の隅でひとり座っていた”あの子”がなんと昨日から授業に参加するようになりました。

私は新学期が始まって以来、毎日授業が終わると気になるその子と少し会話をするようにしていました。

先週、その子が”火星人へ”という曲が好きだと告白してくれました。
「火星人ってどんなだと思う?」と聞くと、「わかんない」と言ったので、「じゃあ今度の音楽の時間に火星人の絵を見せてあげるから、みんなで一緒に”火星人へ”を歌おうよ」と言うと、「YES!!」と笑顔で言ってくれました。

その子との会話は勤めてロートーンで冷静を装っていたので、彼女がYESとニッコリしたときは、心の中でガッツポーズをしたのでした。

即、クラス担任に報告し、レッスンプランを急遽変更。
2日後のハロウィーン音楽会の練習などそっちのけで、私は”火星人へ”に賭けた!!

教材から探した火星人の絵を持って教室へ入るなり「これが火星人のミスターマーシャンだよ」とその子に見せた。
言葉こそなかったが、かわいい目がクルクル大きくなって輝いていた。
そのまま何も言わずにその子の手を引いてみんなと一緒に座らせた。

そして”火星人へ”をみんなで歌った。
その子は歌っていなかったが、私はその子が教室でみんなと一緒に座っているだけで大満足だった


カレッジ

2007-10-30 | Weblog
”障害を持った学生のためのプログラムとサービス”についての講演会に行ってきました。

スピーカーの阿部康子さんはご自身が身体障害者で、アメリカに留学され、Special Education(特殊教育)の学位をとって、今はカレッジ(短大)で障害のある学生のサポートをされているキャリアウーマンです。

彼女のような方に”障害があってもカレッジでクラスをとり、将来の仕事につなげよう”と言われると真に説得力があります。

さてこのカレッジですが、アメリカでいうコミュニティーカレッジとは、地元の学校区が運営していて授業料も安く、学位をとるだけの目的に限らず、技術を身につけるクラス、語学学習のクラス、大学へ編入するためのクラス、、、、、と多種多様で誰にでもオープンであるのが魅力です。

トニーみたいに勉強が嫌いで勉強が出来ない子でも、最低のクラスから始めてステップアップすることもできるし、車の修理や好きな音楽、アート、コンピューターのクラスを取りながら技術を身につけてCertificate(認定証)を得ることもできるそうです。

私はアメリカで自立するには、即戦力と多様性がとても大切だと考えています。
ただでさえ順応性のない自閉症者が、学校で技術を得たところで実社会で役立つことができるのかが私としてはとても気になるところです。

将来トニーがどんな方向へ進むかまだわかりませんが、自立へのステップとしてコミュニティーカレッジという場があるということはとてもありがたいことです。

気分転換

2007-10-27 | Weblog
Daveの会社の招待でクルーズディナーに行ってきました。

最近は子供達のおつきあいに追われて、夫婦で出かけるのは久しぶりでした。

人からは”以外”と言われるのですが、私はパーティーや大勢の集まりに行くのが苦手です。
まして夫の仕事関係となるともっと気が重かったのですが、、、、

秘かにAnti-socialistを名乗っている私が昨夜出かける気になったのは、自分のための時間が充実してきたからだと思います。

音楽会に行ったり、本を読んだり、ビデオを見たり、マリンバのレッスンやこうやってブログをしていることも、私が私のために使っている時間が子育てに追われていた頃に比べて増えたことはとてもラッキーなことです

家族には申し訳ないのですが、私は自分だけの時間がないとサバイブできません。

そんなことから、たまにはDaveとのソーシャルライフも必要かなと自分をおして出かけました。

ディナーは最高、お天気も景色もとてもよかったです。
そして何より週末でなく、”木曜日に夫婦でお出かけ”というスケジュールはリッチな気分を増してくれました。

自分を押してでもたまには違った環境で違った人達とお話するのもいいことだと思いました。

気分転換って必要ですね。


ミーティングで

2007-10-25 | Weblog
学校のミーティングで、生徒の腕をつかんでひっぱるのは州の法律違反だと聞いた。

常識で考えても力づくはいけないことと知っていたけど、法律違反とは知らなかった。
くわばらくわばら、、、、なんともカリフォルニアらしい法律だ

最近は中学生になってもVerbal instruction(口頭での指示)に従えない生徒が多いから教師も大変です。

私もステージの上で発表会の練習しているときなんかに自分のポジションのわからない生徒を見ると説明するよりも手をひっぱって”あなたの立ち位置はここ!”とやってしまうことよくあります。

昔、トニーの先生から自閉症の子供に指示するときは、

1.Verbal(口頭)
2.Visual(絵、アイコン、文章)
3.Physical(やってみせる)

の3ステップを繰り返し、徐々にステップをなくして口頭の指示だけで理解できるようにする。

と教えていただいたことがあります。

このステップ、私も使わせていただこうと思います。

季節

2007-10-24 | Weblog
仕事仲間の誕生日でした。
生まれなんだね”と言ったら、「私はずっと生まれで育ってきたから、生まれって言われるとピンとこない」とオーストラリア出身の彼女が言いました。

そうかあ、、、、生まれ育った場所が南半球だと季節を私たちと反対に感じるわけね。

そういえば私もカリフォルニアに住んでから、日本にいたときとはかなり季節の感じ方が違ってきました。

我が家から見える山はになると真っ茶色のはげ山になります。
砂漠を連想するような乾いた景色は今でこそこれを見ないとを感じませんが、最初は見たこともないの風景にとても違和感がありました。

その山もになると緑が茂り森々とを感じる風景に変身します。

所変われば季節の感じ方もさまざまですね。

講演会のお知らせ

2007-10-21 | Weblog

北カリフォルニアで障害児、障害者、とその家族を支援するNPO団体PHPhttp://www.php.com/の日本人サポートグループ主催による講演会です。

阿部康子さんによるコミュニティーカレッジの障害者リソース
”カリフォルニアの法律により、地元カレッジにはたくさんの障害者支援が義務づけ
られています。今回はまたとない情報源の機会です”

日時:10月28日(日曜日)10時


久保田須磨さん(教育、心理カウンセラー)による「異文化に生きる子供の教育と心のケアー」

日時:11月4日(日曜日)10時より12時半

いずれも場所と申し込み先は:

PHP
3041 Olcott Street
Santa Clara, Ca95054

408-727-5775 内戦134
sodan911@php.com

ハッピーバースデー

2007-10-19 | Weblog
ブログをはじめて1年が過ぎました。

ジャーナルといってるわりには更新が少ないという声も聞こえますが、これでもがんばっているので許して下され。

最初は一方的な書き込みでしたが、たくさんの方々が読んで下さっているのを知って、少しは皆さんの目を意識するように成長したかなと自問自答しております。

投稿内容をカテゴリーしたほうがいいらしいのですが、分類とか整理整頓とか苦手でして、、、
どうかこのままお付き合いください。

何はともあれ三日坊主でなくてよかった。


Grouch Day -グラウチデー

2007-10-18 | Weblog
カナダで10月15日はNational Grouch Dayだそうです。

グラウチと言えば、あのセサミストリートでゴミ箱の中からいつも文句ばかり言ってるへそ曲がりのキャラクター

グラウチデーは、そういう人達を歓迎してあげる日なのか、または、普段そうでない人達が思いっきりグラウチになっていい日なのか、よくわかりませんがとにかくグラウチをお祝いする日なんですね。

運転しながら聞いたラジオでは、グラウチデーにちなんで、どんなにグラウチかを特集していました。

(新聞着てたけど)新聞屋さんに着てない!と電話した。

”太陽がまぶしすぎる”と気象庁に文句言った。

子供のお菓子をとりあげて独り占めにした。

などなど、、、、いろいろありましたが、
一生懸命グラウチに徹したのに、”いつもと変わらない”と誰にも相手にされなかったっていうのには笑いました。

私もどちらかというと家ではグラウチを演じなくてもそのままでOKの方なので、人のことは言えませんが、、、、

以上、超グラウチ男、ベートーベンを聞きながらの投稿でした。

正解ボタン

2007-10-15 | Weblog
仕事で毎日子供に接していて思うのですが、本当にみんな違う。
違って当たり前だけど、少なくとも私が日本で教えていた頃に比べるとかなり違う。

それはカリフォルニアだからなのか、それとも時代なのかはわからないけど、、、、

新学期が始まって約2ヶ月が過ぎた今、どうしても音楽の授業に参加してくれない生徒がひとりいる。

担任に聞くと、他の授業でもグループでこなす課題には参加しないそうだ。

人との関わりが苦手な子なのかなあ、、、と思って、休み時間の様子を見ると、メチャメチャ元気に遊んでるじゃないか!

私のことが嫌いなのかなあ、学校の音楽は自分の好きな音楽じゃないのかなあ、音楽室が嫌いなのかなあ、、、、、

と気になっていたある日、その子から手紙をもらった。

出だしには”昨日はどうして来なかったのですか?とてもさみしかったです”とあった。

そうそう前日にトニーが学校で吐いて私はクラスをドタキャンしたのです。

続いて
私は音楽が大好きです。
先生が大好きです。
昨日はカーボーイソング
(今、練習している曲)ができなくてさみしかったです。
もう絶対に休まないで下さい

と書いてありました。

今まで何度話しかけてもムスッとしていたので、手紙を読んでうれしくなりました。
最後のところは、かなり一方的でまるで自閉っ子?と頭をよぎりましたが、、、、(苦笑)。

「手紙ありがとうね。カーボーイの曲またやろうね。そのほかにはどんな曲が好きなの?」
と言ったら、あれもこれもとたくさんリクエストしてくれました

ヤッホー!!あの子が心を開いてくれた!!

次の日の授業が待ち遠しかった。

がそんな浮かれ気分もつかの間、現実はそう甘くはなかった。

その子はまた、いつものように教室の隅にひとりで座り、”つまんな~~い!!”と言いたげな態度でシラ~~ッとしているのでした。

もうちょっとだと思ったのに、、、
何もできない自分を歯がゆく思い”正解ボタンはどこだぁ~~~”

と叫びたくなりました。

コロンブスデー

2007-10-11 | Weblog
10月8日はコロンブスデーでした。

カレンダーでは祝日となっているものの、ほとんどの学校や職場はお休みではなく、お休みの郵便局にでも行かなければ忘れられそうな祝日です。

私は職業上、毎年この時期になると、

コロンブスが航海に使った3つの船の名前は?

コロンブスがアメリカ大陸を発見した年は?

サンタマリアって何かな?

コロンブスが航海した航路は?

と子供相手にやってますが、ニュースで毎年話題になるのがこの"新発見”をめぐっての論争です。

コロンブスがアメリカ大陸を発見したときは、すでにアメリカ先住民がすんでいたのだから、それは発見ではなく遭遇とも言えます。

コロンブスに見つかったおかげで、ヨーロッパ人に侵略されたアメリカ先住民達にとってコロンブスは英雄ではないのです。

しかもこの航海の目的地はインドで、コロンブスはアメリカ大陸をインドと信じていたのですから、アメリカ先住民にとっては、とんだとばっちり??ですよね。

アメリカのコロンブスデーはお祝い派のイタリア系ヨーロッパ人たちと、
お祝いしない派のアメリカンインディアン、南米諸国の人たちの2つに別れるという現実がありました。

日本人の私はというと、”コロンブス一死苦に(1492)せず新天地ついたサンサルバトル島”と、一生懸命アメリカ大陸発見の年号を丸暗記した子供時代をなつかしく思い出すのみなのでした。