トニママ ジャーナル

カリフォルニアより自閉症と音楽と私の日々

名前

2008-10-28 | Weblog
先日、エンジェルズ オン ステージというプロダクションの集まりで、トニーがバンド仲間と演奏しました。

演奏後、小さなお子さんを連れたお母さんから、

「マックスのお母さんですか?」

と呼び止められました。

マックス?トニーめ!また偽名使ったな!!

声をかけてくださった方を前に、イエスともノーとも言えずにオロオロしていると、前からマックスという名札をつけたトニーが堂々と歩いてきた。

「マックス!上手だったね」と言われ、「サンキュー」と平然と答えるトニー。

サンキューって、お前はマックスか?!

私が弁解する間もなく、そのお母さんは「私の息子もマックスって言うのよ」と話しはじめたので、気弱い私?はだんだん本当のことが言えなくなり、こうなったらマックスの母でいようと腹をくくりました(笑)。

トニーは今までにも勝手に苗字や姓名を変えてきました。
その変わりようたるもの本格的で、学校で使う名札やテスト用紙も全部そのときハマっている名前になります。

この日はプロダクションの関係者の方もトニーのことを“トニーマックス“と呼んでいました。

帰宅して気づいたのですが、トニーの部屋のサインがいつの間にかマックスになっていたのでした。


Boo!!

2008-10-24 | Weblog

ハロウィンが近づき街中はオレンジのかぼちゃ色です。

仕事場ではシークレットサンタならぬシークレットハロウィンで盛り上がっていて、ハロウィングッズを交換しています。

シークレットなので、送り主が誰だかわからないため,そのミステリーを解くのがクライマックスとなるわけです。

私は血色に染まった化粧水やYou have been BOO-ed!という手紙付きのハロウィンキャンデーをいただきました。

さてハロウィン当日は何に仮装しましょう?

「多分Witch(魔女)かな、、、」と私が言ったら、

同僚のひとりに、

「年寄りの先生はみんなWitchになって、若い先生はみんなFairy(妖精)なんだよねいつも」

と、厳しい指摘をされました(笑)。

ニュースによると今年はマケインとオバマの仮装が話題になっているようです。











Adapted PE

2008-10-22 | Weblog
地域のいくつかの高校が一体となってAdapted P Eのマラソン大会がありました。

自閉っ子、深読みしなけりゃうまくいくでも触れていますが、
Adapted PE (Physical Education) は誰もが体力をつけ、参加しやすいように修正した体育教育のことです。

多くの自閉っ子は動きがぎこちないうえに、“ボールを見てバッドで打つ”などのアイコーディネーションもいまひとつです。

お遊戯をさせるとそのロボティックな動きは一目瞭然で、粗大運動、微細運動共に助けが必要なのです。

このコンディションで団体競技となると、もっと過酷になりトニーの場合は固まってしまいます。

もともと2つのことを同時にすることが苦手なのに、たくさんのチームメイトと複雑なルールの下で走る、競う、投げる、受ける、、、、、こりゃ大変です

Adapted P Eでは、団体競技のルールをシンプルにしたり、指示をビジュアルにしたりしてハンデのある生徒がやる気をなくさないようにします

今回のマラソンはコースさえ理解できれば、自閉っ子にはわかりやすい競技のひとつだと思います。

トニーは歩くような速さで走ったそうです

ステレオタイプ

2008-10-19 | Weblog
ケニーが学校でステレオタイプについてクラスで話し合ったことを聞きました。
ステレオタイプとは型にはまった考え方を意味します。

アジア人はみんな毎日お米を食べる
アジア人の親は超教育熱心
黒人はみんな運動神経とリズム感がいい
太っている人は怠け者
ユダヤ人はケチ
金髪のかわいい女の子は頭が悪い
男は理数系、女は文系

たくさんのステレオタイプ例が出たそうです。


私がアメリカに留学したばかりのとき各国からの留学生が集まったミーティングで、カウンセラーのひとりが私たちにこんな質問をしたことがありました。

ある優秀な外科医が緊急で運ばれてきた小さな男の子の手術をすることになった。
手術室へ入り、男の子の顔を見るなりドクターが言った。
「私にはこの子の手術はできない。なぜならこの子は私の息子だから」。
このドクターは緊急で運ばれてきた男の子を医者としてではなく、親としてしか見れなかった。

では、このドクターと男の子の関係は?

そのとき、ほとんどの学生がこのドクターは男の子の父親と答えました。
でも正解は母親でした。

ドクター=男というステレオタイプの例を挙げて、これから異文化アメリカで勉強していくためには多様性がなければいけないことを教えられました。

私はレストランで大男の白人寿司シェフを見て「白人の握るお寿司なんて食べる気がしない」とステレオタイプ発言をしてヒンシュクをかったことがあります。

でもこれって日本人ならわかってくれますよね?
Oops!またしてもステレオタイプ発言しちゃったかな?!

Yes, we can carry a tune,,,,

2008-10-13 | Weblog
たくさんのドラマを背負った自閉っ子コンサートがやっと終わりました。

ドラマその1
リハーサルのとき、プログラムの曲名が間違っていたことと、最後の曲がsurpriseとなっていたことが原因でB君が大パニックを起こしました。
私も出来上がったプログラムを見て、サプライズは危険だとうすうす思っていました。予期できないことが苦手な自閉症にはあまりにも残酷なタイトルです。
B君に訂正したプログラムを見せて、納得してもらうと、何もなかったようにきれいな声でピアノの弾き語りをしてくれました。
会場にいた音楽関係者が“普通はあれだけ泣き叫んでからあんなにきれいな声で歌えない”と言われたと聞いて、知らない人には同一人物とは思えないほどのB君の変わりように彼の才能を改めて認識したのでした。

ドラマその2
出番を間違えたG君が自分の失態に落ち込み、この世の終わり状態になった。
本番中にステージの上から両親をののしったり、泣きながら手をふったり、、、
曲間に両親がG君を外へ連れて行き、説得すること15分。
何をどう説得したのか、G君はもとにもどった。

ドラマその3
運動神経抜群のN君がステージから飛び降り、ダッシュで会場を去った。
一瞬の出来事で、私はこれに全然気づきませんでしたが、N君の行き先はお手洗いだったらしい。
客席で見ていた人たちは“台本にあった筋書き”だと思ったそうです(笑)。

ドラマその4
ガーシュインのすばらしいピアノ演奏を披露してくれたC君が演奏後に客席とは全然違う方へ向かってお辞儀した。
毎年いくつものコンサートをこなす音楽経験豊富なC君は回を重ねるごとに演奏テクニックが上達している。でも演奏後のお辞儀がいまだにできないのです。
“このギャップがいいのよね“と言ってくれる人も多く、私も調子にのって「本当に真の自閉症だよね」とつっこんだのでした。


いろいろありましたが、音楽を通じてたくさんの人に彼らの可能性をわかっていただけるようにこれからもメッセージを送りたいと思います。







自閉っ子コンサートの練習

2008-10-07 | Weblog
コンサートまであと数日となりました。
今年はステージで自閉っ子たちのメンバー紹介をします。

1. 名前を呼ばれたら一歩前へ出る。
2. 会場へ手を振る。
3. 私がドラムを3ビート叩いたら後ろへさがる。

この3ステップの特訓中(笑)、”手をふる”まではよかったのですが、その後ステージを去ってしまった子がいました(笑)。

彼にとって“手をふる”は“バイバイ、さよなら”の意味だったのでした。

そこで振り出しに戻り、“手を振る”は“さよなら”だけじゃなくて“ハロー!!”の意味もあることを説明するとやっとわかってくれました。

反対に"手を振る“どころかクルッとまわってみたり、curtsy(バレエとかでスカートの裾を持ってお辞儀する挨拶)をしたりする子もいて、やれやれ、、、参りました

その後、家庭の事情で名前を公表できない子がいることを言い渡され、何回も練習したのに、、、どうしよう?!

その子の名前だけ抜かす。
本名ではなくあだ名や頭文字だけを使う。
その子にマスクをして”ミスターX”と紹介する。

いろいろ思案中であります。
どうしよう?!


ストレス

2008-10-04 | Weblog
来週末のスペシャルニーズコンサートを控えてハチャメチャに多忙な毎日です。
もともとたくさんのことをテキパキとこなせないので、次から次へとのしかかってくる問題を解決するにも汗だくです。

たかがコンサートにこんなにエネルギーを費やすとは、、、、

そのうえ、新学期が始まったばかりだというのにもう冬のコンサートのフォーマットの締め切りが今月18日で仕事も大忙しだし、、、、

カリカリしているところにヨーロッパに出張中の夫から電話があり、
“今日帰るはずだったけど仕事が1日のびて明日になった”と言われた。

そして「昨日は1日フリーになってしまい、仕方ないからスイスで時間つぶした」と聞いて急に怒りたくなった

口調がどんどん醜くなって日常の不満をぶちまけた。

あなたの犬が、、、
あなたの息子が、、、、

と、犬も子供たちも夫の分身と決めつけて「全部あなたのせいよ!!」となじった。

それでも気がおさまらず、バッハを弾きまくったのでした。


グループホーム

2008-10-01 | Weblog
スペシャルニーズバンドにM君が参加してくれた。

彼はまだ14歳。
問題行動が理由でグループホームに一時的に入所しています。
バンドへの参加もずーっと前から希望していたのに、調子が悪くてなかなか来られませんでした。
その間、バンドの役員さんがM君のお母さんとメールのやりとりをしながらずっとサポートしていました。
そしてついに参加可能になり、離れ離れのお母さんともここで会えるようになったのです。

着くなり“お母さんが来るまで練習しない“と言い出し、待つこと20分。
お母さんの姿を見ると、サッサと自分の位置、彼はパーカッションなのでその位置に着きました。

そして、M君が位置に着いた瞬間、拍手が
音楽ディレクターも“イエーイ!!”と声援を送っていました

まだ14歳の彼をグループホームへ送ったご両親は、元気に練習に励む息子の姿に感動していました。

親はどうしてもわが子の問題行動を"障害児だから“と抱え込んでしまいます。
グループホームに入れるなんて、、、と、ネガティブにも考えてしまいます。

でも、親子共倒れになる前に、親が冷静に子供の状態を観察し、他人や専門家のサポートの下で療法を受けることはとても重要だということを感じました。

ノリノリのM君と幸せそうなご両親を見て、私も彼らのような勇気を持ちたいと思いました。