楽学天真のWrap Up


一語一句・一期一会
知的遺産のピラミッド作り

東京大相原博昭教授定年記念講演

2021-03-11 01:05:11 | 歴史

東京大理学部相原教授最終講義

 東京大学は数年前からの定年教授の最終講義をYoutubeで公開している。この形式は、コロナ禍で急速に全国へ普及している。ちょっと前の私たちの時代にはなかった急展開。興味深すぎて、かじりついてしまう。昨日は東大相原教授の1時間40分を聞いた。

https://www.youtube.com/watch?v=mlsAfnGnFDQ

 すでに隠居の身でありながら気になるのが昨今の科学動向と科学政治動向。過ごしてきた地球科学動向はさておき、今日は科学政治動向について記そう。明治以来の歴史を反映して科学政治動向には圧倒的に東大の影響が強い。まずは背景解説。

 中でも文系の文学部、理系の理学部は、世の動向に揺り動かされることなく我が道をゆく原理・理念主義。民主党政権の時、事業仕分けによって真っ先に潰されるかに見えたこの二つ。しかし、日本のノーベル文学賞の全ては東大文学部。素粒子物理の最近のノーベル賞(南部、小柴、梶田)は理学部。

 この理学部の中枢、素粒子物理の2本柱の1本が先日逝去されたカミオカンデの小柴先生から梶田先生へ、そしてもう1本の柱が加速器を使ったチーム。そこに相原先生がいる。

 最終講義とは、自分の研究を振り返ると共に、その人の繋がりの蓄積もよく見える。東大理学部素粒子チームは、科学政治もリードし続けてきた。今後も続けるだろう。今の東大総長の五神先生もそうだ。

 相原先生は、これまで理学部長(研究科長)、学術会議第三部長(理工系)、東大副学長、理事、と理工系政治の中枢で指導されてきた。定年後のこの四月からも東大新体制で理事として残られる。産学協同担当をされるという。東大はGoogleと結び、それを中軸として産学協同を進める。満面の笑顔で鋭くリードされることを期待したい。

 内閣府によってぶち上げられた学術会議潰しに対し、この東大中心のアカデミーの真っ向勝負が静かに続いている。間もなくその勝負の山(学術会議総会)が新年度冒頭に訪れる。

 

 

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二四の瞳

2021-02-26 23:14:53 | 歴史

二四の瞳 悲しみのどん底から再び明日へ

 二十四の瞳とは、十二人のつぶらな瞳のこと。昭和のはじめ、まだ時代が穏やかな頃、瀬戸内海に浮かぶ小豆島の岬の分教場で女性教師が初めて教えた子。否応なく時代の荒波に子供も自分も、離れ小島の小さな集落も巻き込まれていく。時が過ぎ穏やかになった時、瞳の数は12になり、2つは開くことのない瞳になっていた。

 

 自らも夫と末の娘を失くす。そんなすごい話だとは全く理解していなかった。子供の頃、見たはずなのに。なぜか鮮やかな印象として記憶に残っていたのは、心が暖かさで最後は一杯になったことだけであった。変わらぬ穏やかな海と田畑。白黒映画なのに。

 

 ひょうんなきっかけで見直した。

そこに朝ドラの「おちょやん」浪速千栄子が出ているではないか!

 その場面は瞬間ではあるが、今見ると一層意味が深い。 今、戦前、前借金で奉公や色街に行かされたことが、韓国の売春婦(慰安婦)問題に絡んで問題とされている。 もう一つの朝ドラ再放送「澪つくし」にも出てくる。身売り、身受け。

 

 この映画では、教え子の一人が貧しさゆえに小学高学年で学校をやめて高松のうどんやに奉公に行かされた。そのうどん屋のおかみが「おちょやん」こと浪速千栄子の役である。そのうどん屋に大石先生らが入りその子に遭遇するのである。そして、島から一緒に育った同級生の修学旅行。出て行けずに店を飛び出し--。

 

 大きな時代の荒波が過ぎて、子らの瞳は半分になった。しかし、穏やかな時代になり、この奉公に出た子も大人。 皆、時代を生き抜き、新しい時代、前を向いて生きてゆく決意の姿で終わる。

 

 終戦からほぼ十年が経とうとした時に作られた文部省特選の映画。 今、人はこれを見て反戦左翼映画と呼ぶのであろうか?  そうだとしたら、その時代は丸ごと反戦左翼である。文部省も。 当たり前である。日本中で300万人が亡くなったのだから。この数だと、日本総人口9000万くらいだったから33人に一人。必ず身近、知り合いに戦争犠牲者がいるという勘定になる。

 でも当時、日本中に暴力を伴い荒れ狂っていた声高な反戦左翼とは明らかに違う。もう人の死を見るのは嫌だ、という心からの叫びと悲しみの咽び泣きの先に見出す明日への希望を望む映画だったのである。

 大きなショックと感動の映画であった。

 

 

 

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今、何故渋沢栄一なのか?

2021-02-22 16:48:41 | 歴史

今、何故渋沢栄一なのか?

大河ドラマの新作が始まった。主人公は渋沢栄一。大河ドラマは日本人の歴史観を大きく変える役割を担ってきた。

ということは、作り手とそこに莫大な経費を投入するNHKの意思が刷り込まれている。

まして、令和の新1万円札の顔なのであるから、それは日本国家の意思そのものでもある。

令和元号の発表は、官房長官時代の現在の菅総理。共に農民から這い上がった英雄。

北里柴三郎は、医学の英雄。人の命を救う象徴として登場する。北里の弟子には、小作農民から這い上がった野口英世もいる。

そして、津田梅子は、男社会をものともしなかったジェンダーバランスの象徴として登場する。

型ドラマも準備されているだろう。

オリンピックを成功させ、総選挙をうまく乗り切り、政治・経済を安定させれば、未来を見ることができるようになる、明治の偉人のように這い上がれ、とのメッセージ。

の権力の呼びかけとビジョンはうまくいくのだろうか。

 

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建国記念の日=紀元節=春節=旧元旦

2021-02-11 04:32:02 | 歴史

建国記念の日=紀元節=春節=旧元旦

 今日は祝日である。初代神武天皇即位の日として設定された戦前の紀元節である。今日は紀元2681 年元旦しかし、それは太陰歴すなわち月の満ち欠けを基準とした旧暦の元旦でもある。だから中国では最大の休日春節なのである。

 この暦、歴史のいにしえの中華で使われてきた陰陽道に基づく。

 

 一方の西洋の暦は、エジプト文明の古来から太陽暦

ユリウスシーザー(Iulius Caesar)にちなみ、ユリウス暦とも言われるようにローマ帝国も採用した暦である。夏至直後の7月Julyの語源はIulius 、8月のAugust は初代皇帝アウグストゥス。

 このように今日は、人間の歴史の古今東西、日出ずる国日本の歴史と位置、その天文気象季節との相互作用を理解する絶好の日なのである。

 が、そのような総合教育の場はない。学校は休みなどとはせず、義務教育の12年間、このことを体系的に教えるべきと思う。

どのようにって? むむー。言うが易し行うに難し。学年に応じた全教育内容を知らなければ具体的提案とはならないね。

理念先行の頭でっかちとまた言われそうだが、建国記念日の夜明け前の夢想です。

 

 

 

 

 

 

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映画「にあんちゃん」

2021-02-01 04:10:01 | 歴史

映画「にあんちゃん」

AmazonPrimeで映画を観た。1960年小学生の頃、親に連れられて見に行った「にあんちゃん」

観た時周りの大人たちが泣いていたが、内容は全く理解できなかった。ただ北海道の炭鉱町にいたので、毎朝窓から見えるボタ山に似たラストシーンだけはなぜか印象に残っていた。ただ、そのシーンを、ブランコで、にあんちゃんと妹の遊ぶ場面となぜか勘違いしていた。

60年後の今見直して、この映画は、まさしく戦後、次々と閉山していく中での九州佐賀県の炭鉱の島での在日も交えた鉱夫社会の苦悩、そこで逞しく生きる人間の姿を描いたものと知った。

在日の四人兄姉弟妹の未子の日記を元にした大ベストセラー映画で日本中の涙を誘ったものと知った。最近韓国で下された応募徴用労働者判決、明治産業革命遺産九州軍艦島をめぐるトラブル、で韓国側で語られていることとは全く違うことがわかる。そのことを在日の子、戦後の左派映画人、そうそうたる俳優達が自ら演じ示しているものと解釈できる。

1950年代後半の戦後復興、都会では進んでいたのだろうが、田舎ではまだまだ貧しく、そのどん底に潰れていく炭鉱があったのは間違いないということが私の人生体験でもある。

 

 

 

 

 

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