楽学天真のWrap Up


一語一句・一期一会
知的遺産のピラミッド作り

たそがれのカーチェイス2

2007-04-14 23:58:40 | 生活
<そうだ!カーナビだ!>
我らがレンタカーにはカーナビがついている。
田舎町では必要ないとつけてはいなかったが、いまぞ出番。
「どこですか!近くに目印はありませんか!」
110番電話の向こうで警察は叫ぶ。
「○○町ですか!」
町村合併で名前が変わっているのでピンと来ない。
<え!それってどこだ?>
ついにカーナビが動いた。
更に、優秀ドライバー君は相手の番号が分かるまで近づいた!
「番号が見えます!」
助手席に乗っていた柴猿君は、手持ちのデジカメでばちばち写真もとる。
ブログに凝り、デジカメを持ち歩くとこのようないざという時に役に立つ。
警察につながったままの携帯で番号を読み上げる。
車内での連係プレーは完全だ。
追跡は続く。

110番に電話をつないだまま、カーナービで見る場所を説明する。
「わかりました!近くにパトカーがいますので急行します!」
「いいですか!冷静に、事故を起こさないように!」
そして、相手は逃げ続ける。小康状態だ。

110番は「いったん電話を切ります。事態が動いたらすぐに電話をしてください!いいですか!あくまでも冷静に!運転手に深呼吸をさせてください!何かあったらすぐ電話してください!」

そして、敵は田舎町を離れ、海辺へつながる湖沿いの一本道へ入っていく。
日はもうとっぷりと暮れ、街灯も、月明かりもない。

<まずいぞ!敵は暗がりの誰もいないところで、反撃を試みるのか?あるいは熟知した道で逃げ切るつもりか?>
「見失うな!」

20分以上が過ぎた。
敵の赤いテールランプが長く灯り、スピードが落ちた。
そしてーー、ついに止まった!

「パトカーはまだか!電話だ!」
ヒメネズミが振り向くも、まだ見えない!
敵の車のドライバーは海岸へつながる脇道へ、バックで転回した。

<そうか!敵はこの先は行き止まりなのを知っているのか!>

「道を塞げ!絶対に道を空けるな!」
転回し、止まった敵の車の運転手の顔がこちらのライトの中にはっきりと浮かび上がった。
「まちがいない!あの淀んだ目はあいつだ!」
私は死角にいて敵の顔を見ていなかったが、ヒメネズミそして優秀ドライバー君は、敵の泥のような目としっかりと視線を交わしていたのだ。

運転席のドアがゆっくりと開かれた。

パトカーの姿はまだ見えない。
敵の右足が、地面についた。

全員の上がった心拍数が「その時に向かって」車内になりひびいている。
<ついに敵は降伏か!あるいはーー!!!>

(つづく)





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