日本人になった祖先たち―DNAから解明するその多元的構造 (NHKブックス 1078)篠田 謙一日本放送出版協会このアイテムの詳細を見る |
先の本に引き続き、この本ものめり込むように読んだ。
DNAは一気に人類観をかえた!
ミトコンドリアで追いかける母系の先祖。
Y染色体で追いかける父系先祖。
すべてはアフリカへ。それ以前のネアンデルタールや北京原人などとは違う新人の短期間での爆発的拡散。
基本的フレームは解き明かされてしまった感がある。
あとはヒマラヤの北回りをどうするかとか細部だ。
先に読んだ形態分類の人類学と異なり、論理が単純明快なので分かりやすい。
しかし、分かり易いということが真実というわけではないことも、著者の言う通り。
この単純さを仮説として、細部が今後つめられていくのだろう。
日本人起源論の弥生人部分はもはや確定的だ。
大昔に読んだ埴原説に軍配だ。
さて、新人を切り離したのはよしとして、旧人の拡散過程はどう解かれていくのかね、今後。
私は地球科学者。
従って、気候変動、海峡形成、地殻変動などが背景としてどうからむのか、興味の湧くところだ。
だって、背景として温暖化したとか、寒冷化したとか、海は渡ることができたとか、少々簡単に扱い過ぎ。
まじめに考えると本当に符合しているかどうか自明ではないような気がする。
門外ではあるが、まだまだ楽しめそうだ。