異形の仲間たち見聞録

私が見てきた精神疾患者たち

小説『呆け茄子の花 その十六』

2016年07月19日 22時03分23秒 | 小説『呆け茄子の花』

尚樹は未だに「死(希死念慮)」の沼から抜けられなかった。

入院してからも尚樹は、二言目には「死にたい・・・」と言っていた。

三度目の入院の時に病棟内にある診察室で「死にたい・・・」

と、毎度の事ながら「「死にたい・・・」と言ったところ

Dr.は女医であるが怒鳴りつけた

「あなたのように足も無く頑張っている人はいっぱいるのよ!!」

その一喝で夢から覚めた思いがした。

それから二度と希死念慮を言葉にすることは無かったし、

入院することも無かった。