異形の仲間たち見聞録

私が見てきた精神疾患者たち

小説 『ボケ茄子の花 その三十四』

2018年05月27日 18時31分52秒 | 小説『呆け茄子の花』

尚樹はあの一件いらいなにげない日々を送っていた。

この先は自分の障害と正対して治療をしていこうと。

思ったのだが、部長との何気ない会話が徐々に尚樹の頭をもたげて来ることになる。

給与が支給されるのは毎月25日。

その日に部長から給与明細をもらうのだが、

その時に否応がなく部長とは会話を交わす。

その会話の中の端々に「尚樹さんは、うちの部署の一員ですから!」と

時あるごとに言うのだが、元々の部署には尚樹を表示する

マグネット・回覧板等から消えていた。

そのことから考えると、部長の言葉は尚樹に白々しく感じた。

しかし、この言葉は日に日に増していき尚樹は内心、

「いつまでも何を言っているのか?」と疑心暗鬼になっていった。

ある日、尚樹は耳を疑う言葉を言った。

「尚樹さん、この部屋でなくてウチの部署で仕事をしませんか?」

尚樹は内心、「この男、何も解っていない。」と。

 

 

 

その三十五に続く

 

 

 

 

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