異形の仲間たち見聞録

私が見てきた精神疾患者たち

小説 『ボケ茄子の花 その三十七』

2018年08月06日 21時44分48秒 | 小説『呆け茄子の花』

尚樹は何度も回避する方法を考えた。

ある日、部長から呼び出しを受けた。

尚樹は轍を踏むまいと、考えがあった。

部長がまとわりつく様な口調で言った。

「尚樹さん、この前言ってたことどうですか?」と。

「この前というと?」尚樹はわざと知らぬ振りをした。

「ウチの部署の部屋で働くと言うことですよ。

人手が少なくてね、尚樹さんの見知っている人も多いでしょ。

働きやすいと思うんですよ」と、なんとしても言いくるめようと

いつもの調子で言った。

尚樹は、(これでは、前のままだ・・・。)と思いながら見を守る為に

さすがの部長も断れぬ言葉を放った。

「その話しは、先生と話しをしてから、お答えしても良いですか?」と。

部長はさらに懲りることなく、喰いつく様に言った。

「この話しは、私と尚樹さんで決めたいのですが。

先生は実務のことは解らないですからね・・・」言った。

尚樹は振り切る様に言った。

「今ここで決めることではないでしょ?次の診察の時に相談します。」

「・・・そうですか、なるべく早くお願いします。上とも話しをするので・・・」

「ええ、今週診察なので週末にはお返事します。」

部長と尚樹はまるで何もなかったかの様にその部屋を出た。

 

 

 

その三十八につつく

 

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