尚樹の上司は患者に対して「偽りの顔」で対処していた。
少なくとも当事者である尚樹にはそう映った。
職員からは「鼻つまみ者」として有名で本人は素知らぬ顔をして仕事をしている。
病院には、「健常者職員」と「当事者職員」がいるが、
病院がなぜ「当事者職員」を雇っているのか?
それは厚生労働省からの圧力で「雇わなければ罰金」というお達しがあったからだ。
しかし、尚樹の上司は「俺が雇ってやっている」という思いが零れ出るほどに
言動、行動から読み取れた。
また、上司からの圧力で「当事者職員」のみならず、「健常者職員」も
「潰れていく様」を尚樹は数人見ており、上司とは等距離を置き
身の安全を図っていたのだが、それはその年の御用納めも終わり、
尚樹が早めの睡眠を取ろうとしたときにスマートフォンが鳴ったことから始まった。
その二十九終わり
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