尚樹は何度も回避する方法を考えた。
ある日、部長から呼び出しを受けた。
尚樹は轍を踏むまいと、考えがあった。
部長がまとわりつく様な口調で言った。
「尚樹さん、この前言ってたことどうですか?」と。
「この前というと?」尚樹はわざと知らぬ振りをした。
「ウチの部署の部屋で働くと言うことですよ。
人手が少なくてね、尚樹さんの見知っている人も多いでしょ。
働きやすいと思うんですよ」と、なんとしても言いくるめようと
いつもの調子で言った。
尚樹は、(これでは、前のままだ・・・。)と思いながら見を守る為に
さすがの部長も断れぬ言葉を放った。
「その話しは、先生と話しをしてから、お答えしても良いですか?」と。
部長はさらに懲りることなく、喰いつく様に言った。
「この話しは、私と尚樹さんで決めたいのですが。
先生は実務のことは解らないですからね・・・」言った。
尚樹は振り切る様に言った。
「今ここで決めることではないでしょ?次の診察の時に相談します。」
「・・・そうですか、なるべく早くお願いします。上とも話しをするので・・・」
「ええ、今週診察なので週末にはお返事します。」
部長と尚樹はまるで何もなかったかの様にその部屋を出た。
その三十八につつく
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