サイレント・ブレスとは
静けさに満ちた日常の中で、
穏やかな終末期を迎えることを
イメージする言葉です。(著者)
水戸倫子は、
大学病院から訪問クリニックへ
異動を命じられる。
そこは、在宅で最後を迎える患者を
看取るクリニックだった。
クリニックのスタッフは、
元ヤンキーで茶髪の看護師コースケと、
事務の亀ちゃんの三人だけ。
望んでいなかった異動だけに、
終末期医療に 迷い戸惑う倫子。
怪しげな男と密会する
末期癌の 元キャリアウーマン
家族に介護放棄され、
一人になっても 在宅を希望する
筋ジストロフィーの青年
老衰のまま終末期を迎えたかったが、
息子の希望で
胃瘻を選択してしまった老女
倫子は、患者とその家族に関わるうち
終末期医療とは何か、
サイレント・ブレスを守る医療とは何かを
肌で感じ、いつしか向き合うようになる。
そして、彼女にもまた
脳梗塞で 意識のないまま
施設に入っている父 慎一がいた。
「死ぬ患者も、愛してあげてよ。」