映画「スティーブ・ジョブズ」を観た。
2011年に他界して依頼、たくさんの本や雑誌でジョブズの生涯は紹介されている。
僕も伝記はもちろん読んだ。
偉大で魅力的な人物であったから、エピソードがたくさんある。
自分ならこの場面を映像化したい、と思うエピソードも少なからずあった。
映画を観て意外とベタじゃなかったな、という感想を持ったのは、エピソードの選び方が自分と違ったからかも知れない。
実話をもとにしているとは言え、これは映画なので、事実と違う、脚色されたストーリーがもちろんあるだろう。だから、事実に則しているかどうかではなく、物語として観る方が楽しい。
IBMやビル・ゲイツなどのライバルや、ジョン・スカリーなどAppleの中での対立する人物との対決があり、それに打ち勝ち、成功を遂げたサクセスストーリーとして描かれれば、爽快な、胸のすく映画になるのだろうけど、そうは作られていない。
例えば、自社の障害者専用の駐車場に無神経に車を駐車する身勝手な部分であるとか、ジョブズの人間性を疑うような部分も多く描かれ、そしてむしろそれが映画の大事な主軸になっている。
スティーブ・ジョブズ崇拝の単純明快なサクセスストーリーをイメージしていると、あれ、これで終わり?と思うかも知れない。
スカリーに言った「一生、砂糖水を売るか、それとも僕と一緒に世界を変えるか。」というセリフや「宇宙にへこみをつくる」というセリフは登場するが、名言がばんばん出てくるかと言うとそうでもない。
しかし、逆に、さりげない場面でジョブズが口にする「シンプル」という言葉はすごく響く。
ついに「THINK DIFFERENT」という言葉は出て来ないけれど、前半から何度も画面に映し出されるアインシュタインのポートレートが、ジョブズの平和でない生き方を支えるDIFFERENTの象徴として映り、強く心に残った。