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原爆投下を世界の人々はどう見たか    『歴史地理教育』1968・№395 3月臨時増刊号   歴史教育ハンドブック

2023年09月01日 19時58分26秒 | 災害の記憶

原爆投下を世界の人々はどう見たか

  

『歴史地理教育』1968・№395 3月臨時増刊号

  歴史教育ハンドブック

  教室の常識を問う日本史5050

高嶋伸欣氏著

 

一部加筆 山口素堂資料室

 

  原爆投下に関する記述とそれをめぐる論議

 

小学校六年生用社会科教科書六点とも、歴史的分野と政治的分野で広島・長崎への原爆投下に触れている。もちろん中学校と高校の歴史教科書でも記述している。とくに小学校六年生用の場合は年表で太平洋戦争の開戦と降伏(終戦)の二項目の間に原爆投下の件を記入しただけのものが大半であり、太平洋戦争についての学習では原爆投下を重視しようとしていることが読みとれる。

 それはまた、被爆体験記を引用した読み物ページなどでくり返して原爆に触れていることと相通じている。

 そうした原爆重視の傾向はこれまでにもあったが、1986年度版の小学校用教科書ではそれが一層顕著になっている。そうした変化の背景には、数年来の教科書「偏向」批判の動きのなかで文部省が「原爆の図」を口絵から削除させたことに対する、執筆者・編集者たちの抵抗の姿勢があるように見える。

 その意味で今回の全面改訂によってより詳細になった原爆関係の記述はそれだけでも充分に教材としての高い価値を含んでいる。とくに被爆被害の具体的な描写は、アニメや劇画などで戦争のかっこよさや見せかけのロマンに目を奪われがちな子どもたちに戦争の本質を知る素材となるという点でも、小学校用教科書には必須のものといえる。

 

別技篤彦著『戦争の教え方』の扱い

 

ところで、教科書記述を諸外国のものと比較検討した結果が最近次々と発表されている。そのなかに、戦争記述について詳しく紹介や分析をしたものもある。とくに別校篤彦氏は「ヒロシマ」の書き方の比較をしている。同氏は日本の教科書の記述の例を引用しながら

「原爆の被害の実態など何ひとつ記述しておらず、まるで他人ごとのような書き方に終始している。」

「それはまったくの″骨ぐみ″だけであり、具体的記述によって生徒の感情に訴え、知的関心を刺激する″血と肉″とが欠けている」

し、

「日本の教科書としての自主性はない」と指摘している。

 

しかし、この別技氏の著書をよく見ると、

そこで同氏が日本の教科書記述の例として引用してあるのは「高校日本史」二点分にすぎず、小学校用教科書の詳細な記述を見落していると思われる。確かにくり返して原爆被害を具体的に学習する意味はあるが、中学・高校と進むにつれて生徒はそこに至る経過や背景など全体像の把握の方に関心を強める傾向にあることからすれば、必ずしも不当とは言えない。

 一方、別校氏のこの著書は、こうした限界を承知のうえで見ていくと、諸外国の人々が原爆投下をどう受けとめているかを知るのにはよい手掛かりとなる。国により、年代により異なる様子がわかる。

 また、これまで原爆投下を正当化する一つの根拠とされていた本土決戦での米軍兵士100万人の犠牲回避説がまやかしであったことを暴いた研究も明らかにされている。


原爆・民族独立運動の朝鮮人犠牲者 朴慶植氏著 一部加筆

2023年09月01日 19時55分54秒 | 災害の記憶

原爆・民族独立運動の朝鮮人犠牲者
朴慶植氏著 一部加筆

広島・長崎の朝鮮人被爆者は十万人、そのうち死亡者が半数に達し、現在生き残りは二万人と推定されている。かれらの大半は戦時中、三菱重工業(三菱造船所、三菱機械製作所、三菱製鋼)、日本製鋼、川南造船所あるいは呉海軍施設部、軍需輸送労務などに集団的に強制連行されていったものたちである。
これらの朝鮮人原爆犠牲者・被爆患者に対し、日本政府当局、日本の大企業当事者は何らの責任も負わず、何らの保障も行っていない。
 広島の三菱造船所徴用工の一人であった朴海君のケースを例にあげよう。
「故郷の父母は八月十五日の解放を迎えて、息子の帰るのは今日か、明日かと毎日駅に出て待っていたそうだ。しかし八月を過ぎ、九月を越しても戻ってこないものだから、原爆の犠牲にあったものと泣き暮していた。その父母の前に私が現われたのは十月一日だった。数日間外出せず、弱りきった体の回復につとめた。隣近所や元の勤め先に挨拶に行ったところ、みんな幽霊でも現れたかという顔をして驚くばかりだった。勤め先の裁判所では解放後一か月しても帰らないので原爆のため死んだとみなし、他の人を新しく採用したという。…………広島に行って苦労したこと、原爆の恐ろしいことを他人に話せば聞いてはくれるが、馬鹿にされ、笑いものになるだけのように思えた。こうしてルンペンの苦難の道が始まった。当時は私だけでなく、広島や日本各地から帰国した人がみんな味わねばならぬ苦しみだった。
とくに広島や長崎の原爆被害者は原子病で次々と病床に倒れていった。私も例外でなく、日がたつにつれて、消化不良や貧血症で床につくようになった。診察費や薬代で家の財産をつかい、年とった父母や兄弟に面目なくて幾度も自殺することを考えた」(朴秀馥、郭責勲、辛泳洙『被爆韓国人』)
 一九三〇~四五年間、民族独立のために立ち上がった民族主義者・共産主義者をはじめとする愛国者三万余人が治安維持法・保安法などによって検挙投獄され、そのうち八・一五解放の日をみることができず犠牲となったものが多い。とくに中国東北地方で抗日パルチザンに参加した人たちは日本軍警の武力弾圧で多くの犠牲者をだした。
不十分な統計によってみても一九三二~四〇年に死亡者六五九三人、負傷者四万二五五二人、被逮捕者一万一二五〇人となっている。


山名氏歴史文学館 記事

2023年09月01日 19時51分33秒 | 文学さんぽ

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エネルギー政策を見直し 100%再生可能エネルギーヘ 河野太郎 こうのたろう……

2023年09月01日 15時31分44秒 | 災害の記憶

エネルギー政策を見直し 100%再生可能エネルギーヘ

私達はどう生きて行けばいいのか『朝日新聞「エアラ臨時増刊」2011

河野太郎 こうのたろう……

1963年生まれ。96年初当選、当選5回。法務副大臣など歴任。2009年には総裁選に出馬し敗れた。父は洋平氏

今回の事故で、国が原子力政策の見直しを迫られることは確実です。 確かに、今回の津波は「想定外」でした。しかし、そもそも事故とは想定外のことが起きたときに起きるもの。

それへの対処があまりにひどい。国や電力会社の会見は責任をなすりつけあっているようにしか見えません。そもそも「想定内」のこともできていなかった。使用済み核燃料など放射性廃棄物をどう処分するのか。高速増殖炉もないのにプルトニウムを取り出してどうするのか。様々な矛盾をそのままにして、多大な金を原発につぎ込んできました。

 なぜ、そんなことが許されたのか。 それは電力会社を誰もきちんとチェックしてこなかったからです。自民党は電力会社とべったり、民主党は電力会社の組合とべったり。霞が関とは天下りでうまい汁を分け合ってきました。電力会社はメディアにもスポンサーとしてエネルギー政策に関する報道に介入してきました。それぞれが東京電力とともに、今回の事故に至った責任を認めなくてはなりません。政治家は電力会社から献金を受けず、メディアも電力会社から広告を受けるのをやめるべきです。

 日本は、将来的には、かなり遠い将来かもしれませんが、100%再生可能エネルギーに転換していくべきだと思います。原子炉の耐用年数がくるたびに、きちっと廃炉にし、とりあえずは一番クリーンな天然ガスに置き換える。サバリンに豊富な天然ガス資源を持つロシアとの関係を良好なものにしつつ、太陽エネルギーや風カエネルギーなど再生可能エネルギーを増やしていく。災害対策という意味でも、再生可能エネルギーは分散型だから、今回のように災害が起きても、一気にすべてがダメになることはない。政治は、物事がきちんとまわるようにするためのものです。日本の政治は、エネルギー政策に関してずっと間違ってきました。それが今回噴出した。原発事故が収束に向かったら、聖域なき見直しをしなくてはなりません。節電はもちろん大切ですが、電気のない生活はありえません。もうパソコンのない生活は考えられないのですか


物語の教訓はシンプル 「金より命」「マニュアルより直感」 私達はどう生きて行けばいいのか『朝日新聞「エアラ臨時増刊」2011

2023年09月01日 15時30分17秒 | 災害の記憶

物語の教訓はシンプル 「金より命」「マニュアルより直感」
私達はどう生きて行けばいいのか『朝日新聞「エアラ臨時増刊」2011
内田 樹(うちだ・たつる)1950年生まれ。3月末まで神戸女学院大学教授。専門はフランス現代思想、武道論、映画論など。阪神大震災で被災

 パニック映画の登場人物たちが直面する究極の選択は、「カネを取るか、命を取るか」あるいは「マニュアル通りにふるまうか、ルール破りを辞さないか」である。「ジョーズ」では、巨大人食い鮫が出没しているから海水浴客を避難させろという警察署長の訴えに、観先取入滅を案じた市長が耳を貸さない。市長が先走って「安全宣言」を発令したせいで、人々は鮫に食われてしまう。「ポセイドン・アドベンチヤー」(古い方)では、船が転覆したときに「想定内の事故ですから、マニュアル通り、じっと助けを待ちましょう」というパ-サ-、「想定外の事故だから緊急避難的な対応が必要だ」と自力脱出を主張する牧師が対立。パーサーたちは全員溺死する。 原発を鮫に、原発推進派を市長に置き換えると、今原発で起きている出来事は「ジョーズ」の構図とほとんど同一であることがわかる。おそらく津波直後の原発でも、現場の技術者と経営陣の間では、「ポセイドン」のパーサーと牧師の間の議論に似たものが展開していたのではないか。
 パニック映画を侮ってはならない。これらの物語はおそらく人類史の黎明期から繰り返し語り伝えられてきた原型的な説話を再演しているからである。 平穏な時代にどうふるまうと自己利益が増大できるかのノウハウについては、書店のビジネス書コーナーに有用な知識を満載した本が山積みしてある。
けれどもいったん秩序が失われ、マニュアルもガイドラインも無効になったときにどうふるまえば生き延びられるかについて書かれたものは、ビジネス書コ-ナ-はたぶん一冊も存在しない。それは物語の書架に見出す他ない。
 私たちが胸躍らせる物語のほとんどは「予想もしなかったトラブルにいきなり巻き込まれた主人公が、限られた情報と手持ちの資源だけで窮状を脱出する話」である。『城』から『ロング・グッドバイ』までその点では変わらない。それらワンパターンの物語を私たちは太古から倦むことなく服用してきた。そこに「危機的状況を生き延びるための知恵」があったからである。 物語が教える教訓はまことにシンプルである。「金より命」「マニュアルより直感」。