啓太の匂い久しぶり・・・・・変わってないんやね、落ち着く・・・
エリーこそ、ここ・・・・好きなところ変わってない・・・
アホなこと言わんといて、そんなことはいちいち言わんでええの・・・
ね? エリー・・・さっきの話
ん? さっきって・・・?
結婚の話・・・僕は本気だよ、本気で考えて?
ん・・・・わかった・・・
僕ね来年からしばらくアメリカへ行こうと思ってるんだ、だからその時は一緒に来てほしい
え・・・? アメリカ・・?
うん、そう アメリカ・・・そう言えば、エリーに仕事のこと話してなかったよね?
あ・・・そういえばそうやね
うん、あのさ親父の会社絶対に入る気なかったんだけどさ、
亮介があんなことになって僕はあのころ何もする気になれなくなっててさ
結局、話を もらっていた会社にも迷惑がかかるんじゃないかと思って断ったんだよ
しばらく何もする気が起こらなくて、もうどうでもいいやって感じでね
そんな時・・・珍しいことに親父が親身に聞いてくれてさ、今までのこと母さんのこと、
そして将来のことをゆっくり話す時間があったんだ
それまでは、あんな勝手な親父の言いなりになんてなるもんか! って思ってたんだけど
ちゃんと向き合って話したら、そんなに悪い人でもなかったんだってわかったんだよ
それで結局親父の仕事を手伝うことになってね、
それで僕をさ、来年あっちで立ち上げる会社の代表にって言いだしてね
“いい子はいないのか? 嫁さんが一緒ならお前も安心だろ?”って何気なく言うもんだから
僕は、“残念ながら、そんな人はいませんよ” って答えたんだけど
その瞬間、無性にエリーが恋しくなって、会いたくなって・・・
でももしかしたらエリーには大事な人がいるかもしれないって思った
だけどこの際当たって砕けろだなって いい意味での開き直りさ、
エリーとなら、どこにいても安心するし心強い 出来ればそばにいてほしいって思ったんだ
僕の勝手な意見だけど・・・・・どうかな・・・?
私の身体を後ろからすっぽりと抱え込むようにしながら啓太はそんなことを話してくれた
・・・・と、いうことは・・・?私もアメリカ暮らしするってことやんね?
あはは・・・そういうことになるね? 嫌かい?
うううん・・・嫌もなにも・・・私海外って行ったことないねん
えっ? ホントに? ハワイとか? グアムとかも? 旅行は・・・?
ない・・・実は飛行機ちょっと怖くて、杉山くんの事があってからはますます怖くて
だから結局一回も行ったことないねん
そうなんだ・・・じゃあそれは、暗黙の・・・断りっていうのか・・その・・・
うううん、そうじゃないよ
私今、行きたいって思ってん でも飛行機か~どないしよう~って
ちょっとだけびびっただけ・・・・私、こう見えて結構怖がりやねんで・・・
でも、啓太? 私でええの? ホンマにええの? 総一郎のこととか気にならへんの?
啓太は、にやりと笑って
「エリーじゃなきゃダメなんだよ、僕は・・・
僕には、イチ兄ちゃんがしたことを忘れさせる自信があるさ、あんなことや、こんなこと・・・
エリーが好きなところを沢山知っている エリーが悦ぶことをこれからも、精一杯頑張るし
もちろん生きてゆくために、しっかり仕事もするさエリーはそばにいてくれればいい
そばにいて、と言っても家政婦になってくれと言ってるんじゃないよ、
エリーをかごの鳥にするつもりはない
何かやりたいことがあれば始めればいいし、なければゆっくりしたらいいさ」
いい提案だろ? どうかな? 笑いながらそう言うと
啓太の指はまた悪戯に私の身体を彷徨いだした