昔々 ある親方の家に 太郎、勘吉、三蔵という3人の若勢がいたんだと。
ある日 親方は3人を集めて こう言ったと。
「勘吉は家で馬の世話せぇ。三蔵は町まで俺のお供せぇ。太郎は野良で草刈りだ」
そこで太郎がさっそく野良に出ると、子どもたちが何やら騒いでいる。
何だべと思って見ると、蜂の巣を囲んで石をぶつけたり 小便をかけたりと やりたい放題。
太郎は、かわいそうに思って 蜂を買い取って話してやったんだと。
それから3日目のこと、親方がまた3人を集めてしゃべった。
「夕方おめぇ方 仕事からもどったら、俺が屋根からでっけえ石を落としてやる。
誰でもいいども、それどこ下で受け止めたものを 俺の一人娘の婿にする」
太郎はその日も野良に出て 草刈りをした。 すると近くの藪の中から声がする。
太郎や太郎や 屋根から落ちてくるもの
石では ねぐて渋紙だ ブーン ブーン
不思議に思って,藪の中をのぞいて見ると この前 助けてやった蜂が飛んでいた。
そこで太郎は、蜂にお礼を言って うちに帰ったんだと。
さて、夕方、3人がそろうと親方は 屋根に上がった。
そして、たまげるほど大きな石を 転がしてよこしたもんだ。
勘吉と三蔵は すっかり怖くなって 逃げ出してしまった。
だども太郎だけは 蜂から本当の事を聞いていたもの。 楽々と大手を広げて
渋紙で作った大石を受け取った。というわけで、太郎はめでたく親方の家の婿になったんだと。
とっぴんぱらりのぷう (仙北地方の民話)
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