民話・昔っこブログなのに 少しさぼってました。文章が長いし、打ち込みも・・・
訪問くださった方も、読むのに時間がかかるので スルー下さってO.Kですので。
「話コ売り」
昔、あるところに大黒様と えびす様を信心している夫婦が住んでいたんだと。
ある時、おどは上方にお参りに行ってな、無事に八十八ヵ所のお寺を回って
江戸から秋田に帰る途中のこと。どこからか、先になったり、後ろになったりして
ついてくる男がいたもの。おどは、不思議に思ってその男さ 声をかけた。
「同じ方に向かっているよだども、何してる人だべが」
したば、男は答えだど。「俺 話コ売ってるもの。話コ一つ 五十文だ」
どんな話コか、聞いてみると、 「屋根の無いところに、長居するな」
っていう話コなんだと。そこで、それどこ五十文で買った。それから ついでに
「訳のわがらねぇ話コに、油断するな」と、「短気は、損気」っていう話コも
それぞれ五十文で買ってみたど。
話コ売りの男と別れて 秋田へ急ぎ足で帰っていると、急に雷が鳴って大雨が降って来た。
歩いている人たち、みん大慌てで おっきい木の下に逃げ込んだ。
だども、おどは さっき買った「屋根の無い所に長居するな」っていう話コ 思い出した。
それで、一人だけ歩き続けたら、おっきい木に雷落ちて そこにいた人みんな死んでしまったど。
どんどん進んでいくうちに 山の中で夜になってしまった。泊まるところ無くて困っていたば
きれいな姉こ出てきて 「おら家(え)さ泊まれ」って 案内してけだ。
その家はまず大した家でな 立派なお膳コと 酒コ ごちそうしてけだ。
眠いと言ったば、奥座敷に通してけだ。絹のふかふかの布団が敷いてあって
やれありがたやと 布団に入ったわけだ。だども、そこで不思議な子守歌が聞こえてきたど。
「この屋の屋敷は、釣り天井、どんと落ちたらたまらない。逃げれよ旅の人」
これを聞いて おどは、「訳のわがらねぇ話コに、油断するな」って話コ思い出したわけだ。
それで、こっそり部屋を抜け出して、山を下りて逃げたものな。
あとで聞いたらその家は、山賊の家で 釣り天井で旅人を殺して
じぇんこ(お金)や 着物を盗るのだったと。
ようやく家にたどりつくと、おかぁが喜んで迎えてくれた。色々ごちそうしてくれて
すっかり、いいこころもちになって、布団に入ろうとしたもの。
したば、布団の中に他の男がいるよんだ。おらの留守中にほかの 男をふとんに寝かして
いるのかと思ったども、3つ目の話コおもいだした。「短気は損気」
それでおかぁに、「布団の中に誰かいるなだか?」って静かに聞いた。
おかぁ 顔を赤くして答えたと。「おどがな 旅に出はって すっかり寂しくてよ
おどだと思って わら人形作って布団に 入れておいたなだ」
これを聞いて、おどはすっかり嬉しくなったわけだ。次の日になって大黒様と えびす様を
拝みに行ったば、あの話コ売りの男に渡した 五十文の包みが そのまんま三つ乗っているでねが。
それ見て夫婦そろってますます信心深く 仲良く暮らしたんだと。えがったな。
無料イラストより
とっぴんぱらりのぷう 旧大仙市南外地区に伝わるお話
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