このお話は 私が子供のころ 囲炉裏端で 何夜 祖母に聞いて そらんじるほど聞きました。
寝る前に 昔っこを聞くのが 習慣になって もう少し・もう少しとせがんだものでした。
「さる一束(いっぱ) キジ一束」 懐かしく思い出しまして 掲載しました。
むがし むが~し(昔) ある所にさると キジおったど。そしてな 同じ田んぼを二人で作っていたど。
春になってな キジがさるに「さる・さる田越しに行がねが」と言ったら さる
「今日だば おれ せんきで(腰やお腹の痛む病気)行がれね(行けない)」というので
キジ一人で 田を耕しに行ったど。 やがて田植えの時が来たので 「さる・さる 稲こ植えに行がねが」
と言ったど。そしたら「おら 脚気で行がれね」と 断るものだから
キジ 一人で田に苗を植えたど。 その苗もどんどん育って 秋になったど。
雉は、いつもうちの畑の所にいます 👆 お猿さんイラストは、無料素材をお借りしました
そこでキジが「さるさる 今日も脚気だが。稲こ刈りに行がねが?」と聞いてみたど。そしたら
「今度まだ せんき(腰やお腹の痛む病気)起きで 行がれね」と言ったど。
キジまた一人で寂しく稲刈りに行ったど。 そのうちに刈った稲も乾いたので キジが
「さる・さる稲分けねが(分けないか)」と誘ったら 「んだ(そうだ)早く分けねば いけねな!」
と、言うが早いか どんどん田んぼに走っていったど。
そしてな、さる、自分の所には 二束を一緒にして 「さる一ぱ・キジ一ぱ」
「さる一ぱ・キジ一ぱ」と 分けたど。 んだども キジ 文句も言わねで
そのまま家にもってきて 少しづつ大事に 大事に食べていたど。
さるの方は あざねくて(大事にしないで) どんどん食ってしまったもんだから
すぐに米こ なくなって キジの所に もらいに行ったど。
「キジ キジ おめだば稲こ いっぺ(たくさん)取ったえて まだあるべ。俺さ少しよこせ」
と おどかしたけれど 今度だけはキジも 「んた(嫌だ) やらね。」と
きっぱり断ったもんだから。キジをひどい目にあわせたり
「今度から せんきも脚気もならねで 働くから」と だましたりして とうとう稲を取って行ったど。
それで、キジあしたから食べる米こ ないもんだから、困ってシクシク泣いておったど。
そしたら、ちょうどそこへ 栗と蜂と臼が来て 「キジ・キジなして泣ぐ」と なぐさめるので
今までの事、みんな教えたど。そこで三人相談して そのうち、きっとさるが また来るだろうから
その時こそ さるを懲らしめることにしたど。
やがて さるが来た。「キジ、何か食うもの寄こせ。ああ寒。おお寒」
と 勝手に上がり込んで、囲炉裏に近づいたものだから、栗 この時とばかりに「バガーン」と
さるの顔めがけて はねたど。「あっちっちち・・・」と叫んで 水がめのあるところに走ったど。
ちょうどそこに蜂が隠れていて 「ブーン・ブスッ!」と顔も手も足も 刺したど。
さる あまりに痛くて 「いで・いでででで・・・」と 戸のぐち(入口)の方に 逃げて行ったら
軒に隠れていた臼が 「ドシーン」と 落ちてきたもんだから
さる ひとたまりもなく 組み伏せられてしまったど。
ネットより 無料イラストです
「キジをなして(どうして)ひどい目にあわせたんだ。
これからずるいことしねば ごめんするがら謝れ」と
とっちめたら「あどしね(もうしない)。絶対しね」と、誤ったど。
それで許してやったら さる、オイオイ泣きながら 家さ帰ったど。
とっぴんぱらりのぷう・・・
小さかった頃を 思い出して楽しんでくださいね。
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