昔、あるところにたいした怠け者がおったと。
なんとしても、働くのはいやだが、お金は欲しい。
それで、その男 観音様に何日も何日も 願かけしたそうな。
そうしたらとうとう観音様が現れて「これをおまえに授けよう。こっち側で叩けば
高くなる。裏で叩けば低くなる。これで、金持ちの姉さまの鼻でも たたいてごらん。」と
木のへらっこを渡してくれた。 男は大喜びで、金持ちの家の近くに行くと
家から出てきた姉さまの鼻を 「高ぐなれ」へらっこで叩いて逃げた。
残された姉さまの鼻 たちまち天狗みてぐなって、さあ大さわぎ。
そこへ 素知らぬふりをしてもどってくると、へらっこの裏で「低ぐなれ」
って叩いたど。姉さまの鼻あっというまに元にもどって、
姉さまと、その家族のまず喜ぶこと、喜ぶこと。男にたっぷりとお礼をくれたもんだ。
こんな事を繰り返して、男は好きなように暮らしていたが、ある日
あんまり退屈で 自分の鼻をへらっこで叩いてみたんだと。
男の鼻はぐんぐん伸びて、隣の家を超えて そのまた先の家まで届くほどだった。
と、その時「火事だ! 火事だ!」近所で声がして、半鐘もがんがん鳴りだした。
男は大慌てで「低ぐなれ、低ぐなれ」と鼻をたたいた。
所が、どうてんしてるものだがら、高くなる方で叩いてしまったど。
鼻はたちまち伸びて、とうとう火元に届いてしまった。
それで、その鼻 すっかり焼けてしまって、それが元で男は死んでしまったそうな。
悪いことは、するもんで無いという話。 とっぴんぱらりのぷう。
大潟村生態系公園
―大館市に伝わる民話より― 楽しんでくださいね~♪
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