ある日、私は買い物の帰りに、その犬が寝そべっている路地を歩いていると、むこうから、4人の女子大生が歩いてきた。
手に抱えてる英語の辞書やノートから、かろうじて彼女達の本業が何であるかがわかる。
しかし恰好だけ見ていると毎晩、ジュリアナ東京のお立ち台で、踊りまくっている、美人ではあるが脳の中はディスコのことだけでいっぱいの、それだけのおねえちゃんとしか思えないのであった。
その中で一番はしゃいでいる子は金のお飾りが一杯ついたショッキングピンクの超ミニワンピース。
足元も白に金のお飾りのついたハイヒールである。
その隣は両肩がむきだしの、体にぴったりした白いリブ編みのTシャツに、下は水玉のひらんひらんしたミニのキュロットスカート。
そしてその隣は黒のタンクトップに黒のミニスカート。
そして最後の1人は何とも言えない、生々しい紫色のワンピース。
おまけに彼女がくるりと後ろを向いたら、背中はぱっくりとわれていて、肩甲骨が丸出しになっていた。
もちろん、皆、びろびろにウェーブがついた長い茶髪を風になびかせて、でっかい耳輪も指輪もバングルもつけている。
歩くたびに全身から、ちゃりんちゃりんと音がしそうで爪はもちろん、まっかっかであった。
4人は歩きながら「どひゃひゃひゃ」と笑い袋のように大笑いしている。
「それでさぁ、あいつったらさあ、ちょっと愛想をふりまいたら、しつこくってさぁ」
「だから言ったじゃん、適当にあしらっとけって」
「そうだよ、取れるだけ取ったら、あとはポイすればいいよ」
抱えている英語の原書が泣くぞと言いたくなるほど、彼女たちの会話は傍で聞いていても悲惨であった。
歩きながら真剣に原発や病気の話をしているのも問題であるが、「君たち本当に学生なの?」と言いたくなるくらい、むなしい会話がかわされていた。
かつて女子大生がジーンズで講義を受けようとしたのを見て
「ジーンズは学校に来るのに、ふさわしい恰好ではない」
といった講師がいたが、当時、衣類をジーンズに頼りきっていた私は「肌を露出しているわけじゃなし、ジーンズも綿のズボンの一種なんだから何も問題はない」と面と向かって言ったこともあった。
つづく
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