タイへのシュノーケリングは島の空港に着いた途端にスコールが降ってきた。
ホテルまでは車で約1時間。
ところが5分ほど走ると、雨がやんだ。
街路灯がないために、車のヘッドライトと道端の店の灯りだけが頼りである。
それなのにホテルの迎えのリムジンを運転しているお兄ちゃんは、びゅんびゅんとぶっ飛ばす。
メーターを見ると100キロである。
その横をカブに乗ったおじさん、カップル、親子連れが走る。
みなノーヘルだ。
若い男の子たちは、みなとてもお洒落で、SMAPのメンバーみたいな子ばかりである。
スーツ姿でカブに乗っている女性もいる。
なかには友達3人や親子4人でカブに乗っている人々もいる。
お父さんが運転して、荷台にはお母さんが乗り、子供二人が両親に挟まって、サンドイッチ状態になったまま、傘もささず雨の中を疾走していく。
彼らのそんな姿を見ると、何だかとてもかっこいいように思えてきた。
道端の店は戸や壁がないところが殆どで、外から丸見えだ。
なかは子供の時、町内にあった、中華屋の来々軒みたいだ。
店のテレビの前には何人もの人が集まっていた。
何を見ているかと信号で車が止まった時に、見てみたらボクシングを放送している。
「むかし、こういう風景を見たことがあるなぁ」と懐かしがっているうちに車はホテルへと到着した。
ホテルは海のすぐそばに建っていた。
ホテル以外の場所に食事に行くには車で2,30分走らなければいけない。
何もない本当に静かなところである。
フロントにも室内にも時計がなく、ここにいると時間が全て忘れられそうだった。
エレベーターも一基しかなく、6階以上は階段を使う。
夜、部屋に戻るために廊下を歩いていると、いたるところに白っぽいヤモリがはりついていて、人の気配を察すると、ささっと逃げる。
こういう種類の生き物が嫌いな人だと、とてもじゃないけど、いられないようなホテルだった。
つづく
シミ、シワ、タルミ専門店
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