平成最後の夏は強烈な猛暑だった。
そんな中、日中、外出しなければならない時がある。
私が住んでいる地域は私鉄沿線の住宅地で高齢者も多い。
高齢者は毎日が夏休みなのだろうが、彼らの姿を見て、気付いたことがある。
私が見て、70代後半以上と思われる男性、つまり、お爺さん達の身だしなみが
中年男性と比べて、とてもいいことに気が付いた。
猛暑の中、ご近所に出るだけにもかかわらず、路地から姿を現す彼らはカジュアルでありながら、だらしなさなど、微塵もない。
「どうして、お爺さん達は、あの猛暑の中でも、あんなにキチンとしているのだろうか?」
一軒家に住んでいる彼らが、上はクレープの肌着、下は短パン姿で庭木に水やりしているのは、よく見かけた。
庭の日陰に椅子を出して、クレープの半袖シャツにステテコ姿で、うちわを手に呆然としている姿も見た。
しかし、彼らは一旦、家から3メートル外に出ると家の中と同じ格好はしない。
女性でも私を含めて猛暑の時の家の中の姿は相当ひどいはずだ。
ある女の子は「私はクーラーをガンガンに効かせた上に裸族です。宅配便が来ると透けないワンピースを頭からかぶって、用事が済んだらすぐに、又脱ぎます」と平然としているし、私も家の中ではデブに見えようが、ぶっとい手足を露出しようが、とにかく、風通しのいい服を選び、ブラジャーも無しで、ぶらぶら状態だ。
でも一歩、外に出るとなると、さすがに着替える。
でも中年男性はそうではないらしい。
私が遭遇した№1は40代の半ばくらいだろうか?
体型については問題ないのに「そのTシャツ、中学生の頃から着てるんですか?」と聞きたくなるような、見た事がないほど、よれよれになったTシャツに、これまたよれよれのスエット生地の短パンを穿いていた。
Tシャツは元の色の白がくすんだのか?もともとベージュなのか?茶色が洗いまくって劣化で薄くなったのかもわからない、とても微妙な色で、シミも付いてるし、裾には穴が開いていた。
胸にある緑色の大きなワンポイントの柄も度重なる洗濯によって、「カエルか?」っと思ってよく見ると、もとは四葉のクローバーだったようにも見え、一体、何の柄かもわからない。
生地がそんな具合なので襟ぐりはびろんびろんに伸びて波打ってるし、半袖の袖口も衿も同様で、まるで同色同素材のフリルがついているかのようだった。
「そんな風になるまで着ますか?」と思わず言いたくなった。
おまけに穿いているグレーの短パンも穿き倒して裾が伸びきって広がってしまい、中年男がひざ上のフレアのキュロットスカートを穿いているみたいに見える。
パンツのウエストにはゴムと紐が入っているらしく、結んでいない紐が、だらーーっとだらしなく、膝下まで垂れ下がっているのもそのまんま。
同じ時刻にコンビニに訪れた、お爺さん達が襟のある服を着、ちゃんと帽子をかぶっているのに、中年男性は皆、揃いも揃って崩壊寸前のクロックスをひきずるように履いている。
「よく家族が外に出るのを止めなかったな~」と思ってしまう。
独身なら止める人は居ないけれど、家族がいるなら、夫、父として何の関心も持たれていないか?家族全員、そんな恰好で外に出ても何とも感じない人の軍団なのか?
つづく
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