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どちらを選ぶかは自分次第

根っこ・見えない部分を育てる

2009年01月29日 | 子ども・子育て
姫リンゴの花


前の記事で、根っこのある人、根っこがある生き方、根っこがある会社は、なんとはなしにわかるものだと、きわめて抽象的な書き方をしてしまいました。
感覚を言葉にするという作業は、うまい具合に伝えられているかどうか、独りよがりではないかと、私自身の筆力の関係で、常に不安と隣り合わせです(汗)。

ですので、この件に関して、もう少しちゃんと、書いてみたくなりましたので、よろしかったら、おつきあいください。

根っこは、地面の下にあるので、外からはどうなっているのかわかりません。根っこが張るのに、時間がかかるものは、上の成長はその間、ゆっくりしています。
たとえば植物の苗を育てていたとして・・・
根っこが、ある程度育ってすぐにとまると、すぐに次には上が成長し大きくなるので、根っこの成長に時間をかけてなかなか大きくならないものよりも、一見強い苗だと勘違いされがちです。
でも本当に強い苗は、成長は遅くても、根っこがしっかり張った苗です。

同様に私たちは、子供の成長を、平均より背が高いとか低いとか、学校の成績だけで判断してはいないでしょうか。目に見える所や、数字に表れる評価だけで判断しては、心の根っこが育っているかどうかは、わからないかもしれません。



またまた「奇跡のリンゴ」の木村さんの話ですが、木村さんの育てたリンゴの木の根っこは、何と20メートルもあるそうです。これだけしっかりと根がはれるのは、土がとても柔らかいから。土の中にはバクテリアや微生物など多種多様の生物が存在し、白神山地などの原生林ととてもよく似た土壌になっているのだといいます。
木村さんは言います。
「私にできるのはリンゴの木の手伝いをするだけだ」
栽培種として農薬や化学肥料を使うことでしか育たなかったリンゴの木が、自然の生態系の中で、野生種のように自ら「生きる力をつけた」、といったらいいのでしょうか…。
1991年の台風で、壊滅的な被害を受けた青森の農家のリンゴの中で、木村さんの畑のリンゴは、8割以上も残っていたそうです。

では、人の心の根っこは、どうやったら育つのでしょう。



以前偶然、見たテレビで、皇后・美智子さまが、「子供の本を通しての平和 --子供時代の読書の思い出--」と題して、子供のころの読書の体験を話されていました。このときの講演は、「橋をかける」という本にもなっています。印象に残った言葉を抜粋しますね。

●本の中で人生の 悲しみを知ることは,
 自分の人生に幾ばくかの厚みを加え,
 他者への思いを深めますが,本の中で,
 過去現在の作家の創作の源となった喜びに触れることは,
 読む者に生きる喜びを与え,
 失意の時に生きようとする希望を取り戻させ,
 再び飛翔する翼をととのえさせます。
 悲しみの多いこの世を子供が生き続けるためには,
 悲しみに耐える心が養われると共に,
 喜びを敏感に感じとる心,
 又,喜びに向かって延びようとする心が
 養われることが大切だと思います。

●それはある時には私に根っこを与え,
 ある時には翼をくれました。
 この根っこと翼は,私が外に,内に,橋をかけ,
 自分の世界を少しずつ広げて育っていくときに,
 大きな助けとなってくれました。


幼いころの読書体験が、悲しみに耐え、生きてゆく心の根っこを育ててくれ、また、失意にあっても希望や喜びを持って羽ばたける翼を与えてくれた。そして、その根っこや翼は、その後の人生において、世界に橋をかける、助けとなってくれた。
…まさに民間から皇室へ嫁がれ、一般人には計り知れないほどのご苦労もあっただろう美智子さまの、心の折り合いの付け方の原点を見た気がしました。
美智子さまは、心の根っこをしっかりと張り、喜びに至る想像力の翼を広げることで、恐れずに希望を持って、「私」という個から内に外に、他者、社会、世界へとつながる橋を一つ一つかけることができたのですね。
私が言うのも、僭越かと思いますが(笑)、たくさんの歳月を重ねられて、たどり着いた境地は、木村さんの畑の土のように、調和のとれた世界観ではないかと思います。

余談ですが、ブッシュ政権は自分ひとりで、世界を動かしているというような錯覚をして、有無を言わさず自分の気に入らない者を攻撃しました。これは、行き過ぎた農薬をまくのに似ています。行き過ぎた農薬は、ほかの生物も死滅させてしまうばかりでなく、それをまいた人、食べた人にも被害を与えます。
また、自分だけの利益を優先する金融資本主義は搾取を是としました。
すべての栄養を自分だけに持ってきたら、土は死んでしまい、いずれ自分も枯れてしまうということが、わからなかったのでしょう。
ブッシュ政権は、世界との折り合いのつけ方を知りませんでした。根っこは、不安と怒りと欲望の硬い土の入った小さな植木鉢に閉じ込められて、とても細く弱かったと思います。


木の心


美智子さまが言われるように、根っこを育てるのに、読書は身近で有効な方法かもしれません。そこには、人生の喜怒哀楽が凝縮されており、楽しさから始まって、幼い人なりの悲しみの経験も知ることができます。
また、身近な人たちの、絶対的な愛情は、木村さんのリンゴの木に対する愛情と同じです。木村さんの畑の温かい柔らかい土にも似ています。
身近な愛情は、自分の社会を少しずつ広げはじめた小さな子どもが出合うであろう、さまざまな人間関係のストレスなどを癒してくれるでしょう。そこでこそ、人は安心して、「折り合い」のつけ方を学べるのだと思います。
そう、木村さんの畑で、木村さんという父親に守られて、たくさんの生物が折り合いをつけてバランスを保ち、それぞれがお互いを助けたり助けられたりしながら共存しているように。
人の心の根っこも、木村さんの畑のように柔らかく温かい土の中でこそ、強く育つと思います。

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 奇跡のリンゴを作った人


 お知らせです

いつも読んでくださって、ありがとうございます。
ちょっと忙しくなってまいりましたので、しばらくお休みさせていただきます。
風邪の季節です。皆様、ご自愛くださいませ。

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8 コメント

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次世代のために (金木犀)
2009-02-13 21:33:21
sable de sesokoさん、コメントありがとうございます。
ナウシカは、優しくてかっこいい女性ですよね。sable de sesokoさんもそんな方なのだろうと思います。

私は、一青窈さんの「ハナミズキ」という歌が大好きなんだけど、
「僕の我慢がいつか実を結び、
 果てない波がちゃんと止まりますように
 君と好きな人が100年続きますように」
というところが、特に好きなんです。

私たちは、みんなそれぞれ少しずつ次の人のために
我慢しなきゃならないと、いつも思います。
このままほおっておいたら、おいしい御馳走を食べ散らかして、未来の人たちには、汚い残飯をさあ食べなさい…と、言ってるようなものだから。
返信する
次世代に (sable de sesoko)
2009-02-13 00:37:33
私達は何を残してあげられるんだろう。
美しい自然と、当たり前のようでいて実は
はぐくむに難しい健康と、たくさんの幸せを
充分に残してあげる事ができるでしょうか。

「風の谷のナウシカ」は台詞も覚えてしまい
ました(笑)
いつ観ても心に響きます。

泡瀬の動向も気になりますね。
別途記事も読ませて戴きます。
返信する
sable de sesokoさんへ (金木犀)
2009-02-06 11:43:55
sable de sesokoさん、こんにちは。

忙しいのは、単純にやるべきことが増えてしまって・・・ひじょうに不器用なので、いっぺんにいろんなことを消化できないので、ちょっとお休みさせてもらってるんですよ。

またフットワークが重いので(汗)、今は身軽に動けない環境ですが、ずっと泡瀬は気になっています。
泡瀬干潟埋め立て凍結に、民主党の喜納昌吉議員たちが動いています。
今後を見守りたいと思います。
政権交代が日本を変える一番の近道じゃないかと思います。

「風の谷のナウシカ」本当にいい映画ですね!
この映画を見て、私はアニメに対する見方が変わりましたもの。
子どもたちはトトロやナウシカが大好きです。
次の世代の人たちは、今の大人たちより、自然をもっと大切にし、自然に対して、もっと謙虚になれるのではないかと思います。
事実、環境問題は子どもたちのほうがちゃんとわかってるんですものね。
返信する
泡瀬 (sable de sesoko)
2009-02-05 00:05:47
金木犀さま、

久し振りに拝見しましたら、お忙しくなって
暫くお休みとのアナウンス。
泡瀬関連の活動もされていらっしゃるのですか?
埋め立てが最終的に実行される事になったと
うわさで聞いたのですが、本当ですか?

人間の愚行。

自然に敬意を表さない人を同じ人間だと思いたく
ありません。

金木犀さまの様に心清らかで優しい人がもっと
もっと増えたら、どんなに世界が変わる事か。

おととい久し振りに「風の谷のナウシカ」を
観ました。
この映画を観る度に自然との共存の大切さ、
必然性を思い知ります。

人は何故学ばないのでしょう。
心優しき人がもっともっと増えてくれますように。
返信する
足は大地に (金木犀)
2009-02-03 11:13:39
ゆりあさん、こんにちは。

今年初めてでしたっけ?
いつもブログ拝見してるから、ちっともそんな気、しませんでした(笑)。

>「足は大地に」という短い一節には「大地にしっかり根を張って」という意味も含まれていると思うのです。

「足の裏の声を聞く」っていう記事で、前に紹介したんですが、作家の高史明(コサミョン)さんが、足の裏は家族や友人たちと踏みしめる大地とつながっている、という意味のことを書かれていたんですね。
木村さんの畑のように、多種多様の生き物と折り合いをつけながら助けたり助けられたりする「この世」、という名の大地とつながることですよね。

>人の内面も、ちょっとやそっとでは計り知れない
奥深いところに、その本質が隠されているのでしょうね。

そうですよね。きっと本人でさえ気づかない本質が、隠されているかもしれません。
気づいたら、きっと楽になれるかも。

>私も、根腐れしない程度に水をやりつつ(笑)
「ワタシの根っこ」をしっかりと、育てたいです。

ゆりあさんの根っこは、とっても長いなあって思います。翼もね!
返信する
子供のための戦争の本 (金木犀)
2009-02-03 10:50:51
こんにちは、ましまさん。

戦後63年、親の親も、戦争を知らない世代が増えてきました。
子供のための戦争の本というものも、いろいろと出版されていますが、子供のための本と言っても、大人もいっしょに読むべきかもしれませんね。
ましま塾にコメントを残しましたが、「かわいそうなぞう」は、一人でも多くの人たちに読んでもらいたいなあと思います。
返信する
お久しぶりです!(^・^) (ゆりあ)
2009-02-02 17:26:22
金木犀さん、こんにちは♪
いつも家事の合間に携帯から読ませて頂いてますが
なかなかコメントを書き込めなくて
今年最初の書込みが、2月になってしまいました。(汗)

「根っこ」って大切ですよね!!!
以前もお話したかもしれませんが、私の好きな本に
“ 足は大地に 理想は高く 心には愛を ”
(「戻ってきたアミ 小さな宇宙人」エンリケ バリオス著、より)…という一節があります。
「足は大地に」という短い一節には「大地にしっかり根を張って」という意味も含まれていると思うのです。

建物だって、土台がしっかりしていないと、ちょっとした揺れで崩壊してしまいます。
優雅に見える湖上の白鳥も、水の下では必死で足を動かして進んでいます。

見えない部分って、本当に大事。
人の内面も、ちょっとやそっとでは計り知れない
奥深いところに、その本質が隠されているのでしょうね。

私も、根腐れしない程度に水をやりつつ(笑)
「ワタシの根っこ」をしっかりと、育てたいです。
返信する
子供のための戦争の本 (ましま)
2009-02-02 09:41:45
こんにちは ましまです

世の中、だいぶ平和指向に傾いてきました。しかし油断ができません。これからさらにしっかり根付かせるには、やはり子を育てる女性の力が大きいと思います。(政治家の中にはそうでない女性もいますが:笑)

反戦塾には毎日のように標題のような検索が入ります。そこで、

★本とCDの申し込み・問い合わせ先
  日本児童文学者協会電話番号
    03-3268-0691

といった内容を含む記事を書いたことがありますが、私にはそれ以上の能力がなく、はがゆいばかりです。

  
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