昨日の原田は、“航空巡洋艦「利根」「筑摩」の死闘”(光人社NF文庫)という本を読みました。
この本は上記の他に“戦艦「金剛」主砲火を吐く”と“戦艦「武蔵」自沈す”の3部作から成っていますが、最も多くページをさいているのがこの本のタイトルにもなっている“航空巡洋艦「利根」「筑摩」の死闘”です。
「利根」「筑摩」は、旧日本海軍の重巡洋艦です。 利根は利根型重巡洋艦の1番艦、筑摩は2番艦で、この両艦は旧日本海事が完成させた最後の重巡洋艦でした。
本来、重巡洋艦の艦名に山の名前が付けられるのが慣例でしたが、この2隻の艦名に川の名前が付けられているのは、1930(昭和5)年10月2日に調印したロンドン海軍軍縮条約の制限があったため、軽巡洋艦として設計されたからです。
しかし、1936(昭和11)年1月15日に日本が軍縮条約から脱退したことで重巡洋艦の保有制限が失効し、建造途中で15.5cm砲搭載の軽巡洋艦から20.3cm連装砲を搭載した重巡洋艦へ設計変更されたのですが、艦名はそのまま使用されました。
利根型重巡洋艦の特徴は、20.3cm連装砲塔4基を艦の前部に集中配備し、艦の後部は航空艤装として水上偵察機搭載能力をアップさせたことです。 後部甲板はフラットではなく階段状になっており、この配置によって主砲と水上機の位置が離れたため、主砲の爆風で水上機が破損する危険がなくなりました。 これにより、戦闘状況に関わらず搭載水上機を運用できるようになりました。
・「利根」=1938年11月20日に三菱重工業長崎造船所で竣工。 真珠湾攻撃・ウェーキ島第2次攻略作戦・ラバウル攻略戦・インド洋作戦・ミッドウェー海戦・第2次ソロモン海戦・南太平洋海戦・インド洋方面通商破壊作戦・マリアナ沖海戦・レイテ沖海戦など数々の海戦に参加。 1945年7月28日の呉への大空襲により大破着底。
・「筑摩」=1939年5月20日に三菱重工業長崎造船所で竣工。 真珠湾攻撃・ウェーキ島第2次攻略作戦・ラバウル攻略戦・インド洋作戦・ミッドウェー海戦・第2次ソロモン海戦・南太平洋海戦・インド洋方面通商破壊作戦・マリアナ沖海戦に参加。1944年10月25日にレイテ沖海戦で沈没。
(利根型重巡洋艦の主要要目)
・基準排水量=11,213トン
・全長=201.6m
・最大幅=19.4m
・最大速力=35.55ノット
・航続距離=18ノットで9,240海里
・機関出力=152,189馬力
・搭載機=水上偵察機6機
・射出機(カタパルト)=2基
・乗員数=874名
<兵装>竣工時
・主砲=20.3cm連装砲4基8門
・高角砲=12.7cm連装高角砲4基8門
・機銃=25ミリ連装機銃6基12梃、13ミリ連装機銃2基4梃
・魚雷発射管=61cm3連装魚雷発射管4基12門
<兵装>レイテ沖海戦時
・主砲=20.3cm連装砲4基8門
・高角砲=12.7cm連装高角砲4基8門
・機銃=25ミリ3連装機銃14基42梃、25ミリ連装機銃2基4梃、25ミリ単装機銃21梃
・魚雷発射管=61cm3連装魚雷発射菅4基12門