追い込まれた金正恩委員長…北朝鮮経済が揺れている
毎年、北西から季節風が強く吹く12月-3月には北朝鮮の難破船が日本の海岸に押し流される。
日本海上保安庁によると、昨年、北朝鮮の漂流漁船は200件を超え、過去最多だった。
1年前(130件)に比べて70%増えた。
こうした悲劇は水産物の輸出が黄金の卵を産んだからだ。
北朝鮮の漁獲量は2011年の69万トンから2016年には100万トンに増え、うち90%が1億5000万ドルで中国に輸出された。
北朝鮮漁民は古い木造漁船に乗って大和堆漁場など遠海での「漁労戦闘」に向かう。
不思議なことに1月15日以降、北朝鮮の幽霊船舶に関する日本メディアの報道が途絶えた。
強い北西風にもかかわらず80日以上も難破船が流されてこないという。
専門家は2つの背景があるとみている。
まず、対北朝鮮制裁で水産物の販路が封鎖されたのだ。
輸出拠点だった琿春と丹東からは北朝鮮の海産物が消え、密輸されても安値で取引されるという。
選別作業がないうえ、鮮度など品質も落ちるからだ。
また石油の輸入が減り、漁船用燃油の供給も難しくなった。
対北朝鮮制裁が死の操業を遮断したのだ。
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は2011年12月の執権後、成功をつかんできた。
核・ミサイル武力を完成させ、経済は「ゴルディロックス相場」を維持してきた。
李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クネ)保守政権は「北朝鮮経済は近いうちに崩壊する」という幻想の中で時間を送った。
しかし中国という変数を看過した。
むしろ無煙炭の対中輸出が急増し、北朝鮮は類例のない好況を迎えた。
1トン70ドル水準だった国際相場が2011年201ドル~2014年110ドルに上がるとプラス経済成長を繰り返した。
無煙炭値が90.9ドルに落ちた2015年に限り成長率が-1.1%と後退した。
北朝鮮経済構造は毎年、無煙炭輸出10億-13億ドル、衣類賃加工輸出7億ドル、海外派遣労働者10万人の賃金3億ドル、水産物輸出1億5000万ドルなどの大きな塊りで構成されている。
このように稼いだ外貨で石油、食糧、生活必需品を輸入してきた。
北朝鮮貿易には特異な点が見られる。
輸出する時は国際相場より安く売り、輸入する時は高く買う。
その差がキックバック(賄賂)だ。
売上高の7-10%のこうした差額が北朝鮮の党・軍部に流れて潤滑油の役割をする。
危機状況に向かう食料不足問題は北朝鮮内部の文書でも確認される。
最近、インドネシア駐在のアン・グァンイル北朝鮮大使(ASEAN大使兼任)が東南アジア地域の北朝鮮公館などに伝えた文書によると、昨年の北朝鮮の食糧収穫は495万1000トンだった。
これは2017年に比べて50万3000トン少ない。
アン大使はその原因に高温と干ばつ・洪水、対北朝鮮制裁を挙げた。
また「急いで他国から食料輸入措置を取るなどの努力をしているが、今年の不足量は148万6000トンにのぼる」と伝えた。
アン大使「現食糧状況の危険性を正確に理解し、時期性保障のために最善を尽くすべき」を呼びかけ「4月中に実現しなければいけない」と強調した。
米朝交渉の難航と経済問題、さらに北朝鮮体制の根幹を揺るがそうという動きまでが水面上に浮上し、金正恩委員長の悩みはさらに深まるしかない状況だ。
ハノイ米朝首脳会談の5日前の2月22日に発生した在スペイン北朝鮮大使館襲撃事件の背後として知られる団体「自由朝鮮」が反金正恩の旗幟を掲げて本格的な活動を予告したのだ。
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