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韓国、「不思議」中国経済は安定成長という錯覚「どこから来た?」

2019-02-06 18:55:36 | 日記

2019-02-06 05:00:00

韓国、「不思議」中国経済は安定成長という錯覚「どこから来た?」

テーマ:ブログ


勝又壽良の経済時評


韓国メディアの『中央日報』が、現実遊離の不可思議な「中国経済安定論」を流している。

その根拠は、生産年齢人口の減少に伴い、雇用確保に必要な高い経済成長率が必要ない、というもの。

中国政府発表による失業率の低さをその傍証に掲げている。

『中央日報』と言えば、発行部数は『朝鮮日報』に次いで韓国2位である。

経済情報に強いとされるこのメディアが、季節外れの中国安定論を掲載した。当欄は、一言せざるを得ない立場だ。

この記事では、中国が抱える過剰負債問題が、不動産バブルに端を発するという認識が完全に欠落している。

しかも、中国政府は失業統計が二種類あって、公表用と実務用(極秘)という認識もなさそうだ。中国政府発表の情報を真に受けるというナイーブさである。


『中央日報』(2月4日付)は、「中国の成長率が落ちても習主席が動揺しない理由」と題する記事を掲載した。


(1)

「昨年、中国は28年ぶりに低い水準の経済成長率となった。

国家統計局は2018年の中国のGDP成長率が6.6%と明らかにした。

中国指導部は危機意識を強調し、景気鈍化に積極的に対処するという意志を見せている。

しかし現在の状況を非常事態とは認識していない。

JPモルガン・チェースの朱海斌・中国担当チーフエコノミストは『中国政府は6%台の成長率も悪くないと考えている』と話す。

成長率が低下する中でも中国政府の緊張感が高くない理由は何か」


JPモルガン・チェースのエコノミストは、「6%台の成長は悪くない」という認識だという。

だが、この6%台の成長率を維持するために、中国は対GDPで300%超の債務残高を背負っている経済である。

気息奄々と言う過重な債務を背負って、ようやく実現した成長率なのだ。

「悪くはない」というほど、余裕ある経済成長でなかった。

中国政府の発言・弁明を真に受けた見方というべきだろう。

中国政府の緊張感は、逆にきわめて高くなっている。

中国国家発展改革委員会(NDRC)は1月29日に、北京市における家電購入で、最大120ドル(約1万3000円)の補助金が付けると発表した。

期間は3年間である。この期間に注目していただきたい。消費不況は、3年は続くという前提である。

事態は相当に深刻化している証拠だ。


また、大学新卒者が運営する小規模事業や低所得者を対象。半年以上、失業している者に税額控除を実施する。

期間は今年1月から21年末までの3年間だ。

ここでも3年間としている理由は、景気低迷が最低このくらいは続くという前提であろう。

世帯ごとに総額1万2000元(約19万2000円)の税額控除である。収める税金からこれだけ控除するもの。


政府が、以上の2点に見られる減税対策(3年間有効)を発表したこと自体、経済の落込みを深刻に受け止めている証拠である。

この現実から目を逸らしてはならない。


(2)

「朱海斌氏はこう説明する。「10年前までは内部的に『マジックナンバー』が存在した。

例えば、少なくとも8%の成長率を維持してこそ新しい雇用900万件を創出できるというものだ。

当時はまだ8%が安定した雇用市場を維持するためのマジノ線だった」。

しかし中国の社会構造が変わり、「マジックナンバー」と「雇用公式」に対する認識が変わった。

2011年から中国の生産可能人口が減り始めたのが決定的な要因だ。変

わった人口構造では、労働市場の安定のために7%または8%という形の成長率目標値に固執する必要はない」


中国の総人口に占める生産年齢人口(15~59歳)比率は、2010年がピークである。


それ以降は「人口オーナス期」と言われ、潜在的な経済成長率が低下に向かっている。

こういう状況で、失業者を増やさないためには、逆に潜在成長率を引上げる生産性向上努力をすべきである。

「生産年齢人口比率が低下しきたから成長率は低くて当然」という発想はあり得ない。

これは、韓国政府の考えに通じるものがある。

韓国政府は、生産年齢人口比率低下=失業者増加としている。これは間違いである。

現在の日本の生産年齢人口比率は、60%ギリギリ(2017年)と低下している中で、潜在成長率引上げ努力をしている。

昨年の有効求人倍率は、1.61倍と過去2番目の高さになった。

前記のJPモルガン・チェースのエコノミストの発言によれば、日本のこのような政策は不要のはずである。

そうではない。生産年齢人口比率が低下するから、生産性引上の政策を行なうべきである。これが、日本の失業率を減らす結果となった。

(3)

「ほかの政権と同じく、習近平政権も雇用の安定を最も重視する。

失業者が大幅に増えない限り成長率の下落は乗り越えられると考える。

中国政府が懸念する経済リスクは失業率の上昇であり、成長率の下落だけではないということだ。

では、どんな状況が失業率の上昇を触発するのか。

まず、米国との貿易戦争の影響が最も大きい。

貿易が急減すれば、輸出製造業の失業率が増加するおそれがある。

中国のGDPで輸出が占める比率は20%だ」。

人口動態変化(生産年齢人口比率低下)によって、潜在成長率は低下する。

これは、いかなる経済においても不可避である。

だが、潜在成長率を引上げる生産性向上努力をする経済では、失業率が低下する。

そのことを日本経済が立証したのだ。

人口動態変化にまかせて、生産性向上の努力をしない経済。例えば、韓国や中国のような経済では、経済成長率が低下し、同時に失業率が高まっていくのだ。





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