円安「金融政策で対応すべきではない」 日本銀行の審議委員、講演で
朝日新聞社 - 昨日 21:29
日本銀行の安達誠司審議委員は19日、富山市内で講演し、急速に進む円安について「短期的な変動に金融政策がその都度対応することになれば、日本経済にとって好ましくない」と述べ、円安是正のために金融政策を修正すべきではないとの考えを示した。
記者会見に臨む日銀の安達誠司審議委員=2022年10月19日午後、富山市© 朝日新聞社
急速な円安の背景には、日米の金融政策の違いによる金利差がある。市場には日銀が金融緩和路線を修正すれば、円安に一定の歯止めがかかるとの見方がある。
安達氏はこの日、富山県の経済界関係者らが出席する懇談会で講演。
為替について「金融政策が直接コントロールする対象ではない」と述べ、円安の動きを理由に金融政策を決めれば、「先行きの政策運営に関する不透明感を高める」との考えを示した。
その後の記者会見では、急速な円安の評価についても言及。
「水準というよりも(変動の)スピード感が非常に強い。企業の先行き計画や設備投資に不透明感をもたらす可能性がある」と懸念を示した。
ただ、円安が拍車をかけている物価高については「海外経済を中心に下方リスクが大きくなったときには(物価も)下がる可能性が出てくる」とし、「(物価目標の達成には)下支えとして、まだ不十分だ」と述べ、今の緩和を維持すべきだとした。
日銀の審議委員は6人。正副総裁とともに日銀の最高意思決定機関である政策委員会のメンバーを務め、金融政策決定会合で投票権を持つ。安達氏は丸三証券の元経済調査部長で20年3月に審議委員に就任した。(久保田侑暉)
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