インフレ時代の貿易に強い日本 他国と誠実に向き合ってきた「日本型経営」が有効
長年声高に主張されてきた「グローバリズム」というものは、デフレ経済でしか成り立たないものだ。
もちろん国際貿易や海外進出は重要な経済行為だが、「グローバリズム」と呼ばれてきたものは、簡単にまとめてしまえば、「世界規模での安い下請け探し」でしかなかったといえる。
例えば共産主義中国での低賃金労働で安くした製品を中国企業が中抜きした後、米国企業などに売り渡し、米国企業なども中抜きした後、消費者に「そこそこ安い」値段で販売していたということである。
消費者も価格低下の恩恵をある程度受けたが、結局、海外の低賃金労働によって先進国の中間層が疲弊するのに対して「中抜きをする企業の幹部」がより裕福になるという二極化を招いたのだ。
逆に、インフレ期には、「売り手」を探すことが重要だ。デフレ期のように「買いたたく」ことなどできないから、買い手は売り手との良好な関係を築かなければならない。つまり、インフレ期には「取引先との信頼関係を地道に構築する日本型経営」が有効なのである。
国家レベルで考えれば、相互信頼に基づく「貿易協定」が重要視されるということだ。
「ウクライナ危機」などで、「原油や天然ガスを売ってくれるかどうか」が重要な政治課題であることが分かった。
「敵対する国には売らないよ」と言われたらおしまいなのだ。もちろん小麦などの食糧においても同じだ。
だから、友好国同士で経済圏を作って、その閉ざされた経済圏の中だけで取引を行う傾向が出てくる。
昔風に言えばブロック経済だ。
この面において、過去長年にわたって他国と誠実に向き合ってきた日本が優位に立つ。
特殊なごくわずかの国々を除いて、日本の人気は世界的に高いのだ。
そして、「横柄にふるまい国際ルールを無視する」国々は、「経済圏」に入れてもらえずに衰退の道をたどることになる。
(人間経済科学研究所、国際投資アナリスト・大原浩) =敬称略
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