「後ろ手に縛られ後頭部を撃たれた」
市民300人以上の遺体“大虐殺”か
ロシア側否定
(2022年4月4日)
ロシア軍が撤退したキーウ近郊で、300人以上の遺体が
見付かりました。ウクライナ側は、映像や写真を元に
「大量虐殺された」と訴えています。
■キーウ州全域“奪還” 北部では
ウクライナが奪還した首都キーウでは、アルコールの販売も再開し、
日常を取り戻したかのように見えます。
■破壊された世界最大輸送機「夢」
激しい戦闘が続くウクライナ東部や南部に対して、
キーウ周辺では、ロシア軍が退却を始めています。
キーウ近郊の軍用空港「アントノフ空港」も奪還されました。
この空港にあったのは、世界最大の輸送機「ムリーヤ」。
「夢」という意味を持つ、世界で1機しかない機体です。
メンテナンス中に、ロシア軍の侵攻が起こり、
ボロボロに壊されました。ウクライナ人にとって、
それは“夢”であり、“誇り”でした。
■300人以上“大虐殺”か・・・ロシア否定
ロシア軍の支配から解放された街では、
ようやく住民に救援物資が届くようになりました。
キーウ郊外のブチャ。破壊された戦車や車、
がれきと化した多くの住宅が、
これまでの激しい戦闘を物語っています。
住民:「とても怖かった。私は2回、死にかけた。
銃弾が家のガラスを割って、クローゼットに着弾した」
ブチャでは、市民の遺体が至る所に横たわっていて、
ウクライナのクレバ外相はSNSで激しく非難しました。
クレバ外相:「ブチャの虐殺は、意図的なものだった。
ロシア人はできるだけ、ウクライナ人を抹殺しようとしていた」
また、ブチャの市長は「市民が後ろ手に縛られ、後頭部を撃たれた」
「住民300人以上がロシア軍に殺害された」などと、
ロシア軍による大虐殺があったと話しました。
これに対し、ロシア国防省はSNSで反論しました。
ロシア軍によるブチャでの市民殺害を否定し、
人道支援も行われ、住民は自由だったと主張。
写真や映像は、ウクライナ側の捏造(ねつぞう)で、
「これはウクライナ側の挑発だ」としています。
■高精度ミサイル・・・石油精製施設など狙う
南部の要衝、ウクライナ最大の港湾都市・オデーサ。
早朝、ロシア軍の攻撃により、
至る所で火柱とともに爆発音が響き渡ります。
住民:「爆発が激しくて、とても怖かった。
こんな経験は生まれて初めてです。
必要ならライフルで戦うつもりだが、
ライフルはミサイルに対抗できない」
ロシア国防省は、石油精製施設や燃料貯蔵施設3カ所を
高精度のミサイルで攻撃したと発表。
施設からは黒煙が立ち上り、
オデーサの空は真っ黒に覆われました。
■ロシア領内で火の手・・・ウクライナ否定
一方で、ウクライナ侵攻後、初めてロシア領内で
火の手が上がりました。こちらも、燃料貯蔵施設です。
場所は、ウクライナ東部、第2の都市ハルキウに近い
ロシアのベルゴロド州です。
住民:「ヘリコプターの音が聞こえて、
非常に低空飛行で1分か1分半後に、大きな爆発音が聞こえて、
周りが明るくなりました」
■キーウ州全域奪還も・・・「遺体に地雷」
ウクライナ南東部・マリウポリ。これまでの激しい戦闘で、
街にあるほとんどの建物は、廃墟と化しました。
ロシア軍の激しい攻撃が続いています。
街の至る所に、「Z」マークを付けたロシア軍の戦車や、
親ロシア派の兵士の姿があります。
マリウポリは、数日から数週間以内に
陥落する可能性があると伝えられています。
これまで、ロシア軍は首都キーウを3方向から取り囲むように
攻めていましたが、アメリカのシンクタンク「ISW」によると、
地図上の青くなっている部分が、
新たにウクライナが奪還したと主張する場所です。
ウクライナの国防次官は2日、
キーウ州全域を奪還したと発表しています。
しかし、ロシア軍が撤退した街でも、今戻るのは危険だと、
ゼレンスキー大統領は呼び掛けます。
ゼレンスキー大統領:「ウクライナの北から、侵略者の退却が
続いている。そして、正直なところ、危険性がある。
ロシア軍は退却した地域に地雷を残している。その地雷は、
マンションや住宅の中、道路、さらに遺体の近くに残されている。
とても危険です」
爆発する危険性があるため、ウクライナ兵たちは
不審物の撤去に追われています。
また、ウクライナ軍は、ベラルーシとの国境付近まで撤退した
ロシア軍を追撃しているといいます。
■ウクライナ「11の村長連れ去られた」
ドローンを使い、ロシア軍の装備備蓄庫を発見。
迫撃砲を打ち込みます。目的は、ロシア軍の再編成を防ぐためです。
ウクライナ兵士:「我々には、勝利以外にありません。
私たちに、逃げる場所はありませんから」
一方で、ロシアによるウクライナ各地の首長などの
連れ去りが相次いでいます。
ベレシュチュク副首相:「3日時点で、キーウ、ヘルソン、ハルキウ、
ザポリージャ、ミコライウ、ドネツクの6つの州で、
11の首長が(ロシア軍に)拘束されている」
ウクライナ政府は、国際赤十字委員会に通報し、
拘束された他の民間人も含めて、
拘束場所や健康状態を知らせるよう求めています。
■プーチン大統領 東部で5月「勝利宣言」か
こうしたなか、アメリカのCNNは、政府当局者の話として、
プーチン大統領が来月初めにも「勝利宣言」を行いたい意向だ
と報じました。目標は、5月9日です。
5月9日といえば、旧ソ連が第2次世界大戦でナチス・ドイツに
勝利した「戦勝記念日」で、毎年軍事パレードを開いています。
プーチン大統領は戦略を見直し、ウクライナ東部の制圧を焦点
とすることで、この日を目指しているとみられます。
■ウクライナ「首脳会談に向け合意案」も・・・
気になる停戦協議の行方について、ウクライナの地元紙は、
協議にあたっているウクライナの交渉担当者が
「首脳会談を開催できるほど進展している」
との認識を示したと伝えています。
ウクライナ代表団・アラハミア議員:
「ロシアとの首脳会談を行うのに十分なほど、
停戦に向けた合意案が出来上がり、ロシア側もそれを確認した」
しかし、ロシア側は「楽観論には同調できない」と反発しました。
双方の隔たりが埋まらないなか、ロシア代表団の
メジンスキー大統領補佐官は、停戦協議が4日に
オンライン形式で再開されるとSNSで明らかにしました。
(「グッド!モーニング」2022年4月4日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp