「私たちは目の前で起きたことを忘れない」
ロシアが“フェイク”と断ずる市民虐殺
主張覆す決定的証言と映像を入手【報道特集】
TBS NEWS DIG
ウクライナのブチャで起きた市民の虐殺をフェイクだと主張する
ロシア。私たちは、その主張を覆す決定的な証言と映像を入手した。
■ロシア側が否定する“虐殺”の事実
主張覆す証拠を入手 ウクライナ侵攻をめぐる激しい情報戦。4月2日、
ウクライナ軍が撮影したとされるブチャの虐殺の映像が公開された。
だが、ロシア側は・・・ ロシア ラブロフ外相
「ロシア軍はその街を3月30日に撤退しましたが、4月2日に、
反ロシアを意図したパフォーマンス映像が公開されました」
ロシア軍が撤退した3月30日までは遺体がなかったのに、
ウクライナ軍が入った4月2日に遺体の映像が急に現れたため、
「これがフェイクなのでは」と主張しているのだ。
私達は、ロシア側の主張を覆す映像と証言を得た。
証言してくれた男性は侵攻後も避難せずに、
銃弾などで壁にあいた穴から様子を見続けていたという。
これまで身元の特定を恐れ、メディアの取材を拒んできた。
遺体があった通りに住む男性 「2月27日から戦車がきました」
その日、男性が撮影した映像には、ロシア軍の戦車が列をなして走る
様子が記録されていた。その直後・・・銃声が鳴り響いた。
そして虐殺は3月5日から始まったという。
遺体があった通りに住む男性 「3月5日と6日に壁の穴からのぞくと、
遺体がすでにありました。6日か7日に車が燃やされて、
その中に4人の遺体がありました。その後も遺体が増え、
歩いていただけの市民を殺していました」
ロシア軍が撤退する3週間以上前から住民の犠牲者が出ていたと
証言した。 さらに男性は、ロシア軍の撤退直後に数々の遺体の
映像を自ら記録したという。撮影された映像には、男性の声で
当時の生々しい状況が説明されていた。
遺体があった通りに住む男性 「このおじいさんは自転車に乗っていた
ところを殺された。1か月も経って、体が黒くなっている。
あの人たちもそう、車の近くで殺されて倒れたままだ」
増尾聡 記者 「この映像はウクライナ軍がここに来る前に撮ったもの
ですか?」 遺体があった通りに住む男性 「その前です。
ウクライナ軍がまだいないときに撮影しました」
男性は、ウクライナ軍がフェイク映像を撮るのは不可能だと話した。
■「どこがフェイクなのか」破綻した駐日ロシア大使の主張
さらに、別の住民が決定的な証拠を持っていた。
この男性の自宅の2階から撮影された映像からは、路上に横たわる、
少なくとも6人の遺体が確認できた。 撮影された日付は、3月7日だ。
遺体があった通りに住む別の男性
「写真の日付見たでしょ。スマホは嘘をつきません」
駐日ロシア大使のガルージン氏は、私達の取材に対し、
ウクライナ軍がブチャに入った直後に撮影した映像を示し、
この映像に遺体が写っていないため
「虐殺はウクライナ軍によるフェイク」だと主張している。
駐日ロシア大使 ガルージン氏 「(遺体があった場所と)同じ通り
です。ウクライナ軍が町に入っている4月2日に何ら遺体がないです」
映像には、確かに道路上に民間人の遺体は映っていない。
だが、映像に写されている通りは、虐殺があった現場と
同じ通りではなかった。 道路の中央に車が放置されていた場所は
増尾記者 「ここが映像ではウクライナ兵が歩いていた場所。
左側の民家や標識の位置も一致しています。
紺のトラックが放置されていた場所。
黄色と黒の信号機を支える柱もあります」
映像の場所は、虐殺があった現場から3キロほど離れた
全く別の場所で、大使の主張が誤りだと明らかになった。
ブチャに住む人々は、私たちの取材にこう応じた。
「私たちは目撃者です。自転車に乗っていた人、
パンを買いに行った人、親戚に会いに行った人たちが
殺されたんです。どこがフェイクなのか」
「情報戦について言うと、ロシアがどんな言い訳をしても、
テレビで国民にどんな情報を流しても、責めを負うのはロシアです」
「私たちは、目の前で起きたことを忘れません」
(報道特集 4月23日放送)
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