温州みかんの365日
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ハウスみかんの365日
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デコポンの365日
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ご視聴ありがとうございます。 少しずつではありますが、
年間の作業動画を増やしていきますのでよろしくお願いします(^_^)
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■アジア人は減塩しても「血圧が下がるとはいえない」
高血圧の研究のなかでは、人種によって、つまり白人と黒人とアジア人は体が違うので、
高血圧治療の効果も違うのではないか、と考えられていた歴史があります。
そうした背景から、一部の研究では人種を区別して結果が報告されています。
そしてこの調査でも人種を区別して減塩の効果が解析されました。
白人では1日11.8gの塩を4gに減らすことで、
上の血圧が1mmHgほど下がっていました。
黒人では4mmHgほど下がっていました。
アジア人では1.5mmHgほど、ただし誤差を考えるとじつは上がるのかもしれない、
減塩で血圧が上がるのか下がるのかはわからないという結果でした。
アジア人が減塩をしても血圧が下がるとはいえないのです。
■「塩が体内でどんな作用をしているか」実はよくわかっていない
最近は医学論文をなんでもかんでも「エビデンス」といって
都合のいいところだけつまみ食いするのが流行っていますが、
この報告は、それまでにあるすべてのエビデンスを集めて統合したものですから、
すべてのエビデンスの上位にあたります。
こういうものを出して「減塩で血圧は下がらないんですよ」というと、
減塩教徒たちが大挙しておしよせます。
減塩したければ勝手にしていればいいのに、暇人だなあと思います。
よくある反応が、「塩にはかくかくしかじかの作用があるからそんなことはありえない」
というパターンです。 これは話の大小をまったくわかっていない言い草で、
塩が体内でどんな作用をしていようと(それはじっさいのところ、
最新の生理学でもよくわかっていないのですが)、いま興味があるのは血圧です。
■「減塩で血圧が下がる」論者はわかっていない
塩の生理作用が無数にあるなかで、それらすべての結果として血圧の変化が現れる
(というか、現れない)ともいえます。
たまたまテレビか何かで見た特定の作用にだけ注目して
「だから塩は血圧を上げるはずだ」と思ったとしても、
じっさいに血圧は上がらないという事実は動きません。
たぶん、血圧を決める要素が無数にあるなかで、
テレビでやっていたその作用は、あまり重要ではないのでしょう。
ほかに、「かくかくしかじかの研究では減塩で血圧が下がるという
エビデンスが示されている」というのもよくある反応です。
これはわたしが示したデータの意味を理解していません。
あらゆる結果を集めたのですから、そのエビデンスとやらも計算に入っているのです。
また多いのが、「減塩の目的は血圧ではなくほかにある」とすりかえるパターンです。
これはあとで触れますが、事実としてまちがっていますし、
話をすりかえている点で不誠実です。
血圧は下がるのか下がらないのかが話題なのだから、ほかの健康効果は聞いていないのです。
そして次には「減塩することで健康的な食生活に気をつけるようになるのが目的」
といい出します。運動のときと同じですね。あまりにワンパターンで飽き飽きします。
具体的な効果が不在のまま、気をつけること自体が目的になってしまうのです。
■もともと高血圧な人は減塩で血圧が下がることも
減塩で血圧は下がらないことがわかりましたが、
そもそもなぜ血圧を下げたかったのでしょうか。
たしかに血圧を下げる薬の試験で、血圧を下げれば
心筋梗塞や脳卒中を先送りにできることが証明されています(注9)。
注9 Lancet. 2021 May 1;397(10285):1625–1636.
そして減塩をしても血圧は下がりません。
血圧が下がらないので、病気を防ぐこともありません。
ただし、少し例外があります。
前に挙げた減塩の効果は、血圧が高くない人についてのデータです。
同じ調査で、すでに高血圧と診断された人は減塩をすると
7mmHgくらい下がるという結果が出ているのです。
ややこしいので整理します。
もともと血圧が高くない人では、減塩をしても血圧は下がりません。
対して、もともと高血圧の人では、減塩で血圧が少し下がります。
「なんだ、やっぱり下がるんじゃないか」と思わないでください。
高血圧ではない人のほうが多いのですから、
大筋としてはまず「下がらない」というべきです。
世の中では高血圧の診断という特殊な条件を断りもなく前提として
「減塩で血圧が下がります」といっているわけですが、
そちらのほうが不正確です。
それに、減塩の効果は、これから説明するように、
あまりに小さいのでほとんど意味がありません。
■99.4%の人は血圧を下げても下げなくても同じ
まず、データによれば、減塩で血圧が下がる幅はたったの7mmHgです。
血圧を測る習慣のある人ならよく知っていると思いますが、
血圧はつねに上がったり下がったりしているものです。
体を動かすと上がりますし、おしゃべりが盛り上がっても上がります。
部屋が寒くても上がります。 同じ人でも日ごとに血圧は違いますし、
同じ日に、血圧をただ2回つづけて測っても、
5とか10とか違って出ることはよくあります。
減塩の効果とされる幅は誤差のようなものなのです。
そして、それくらいの微妙な差で血圧が下がったとして、
本来の目的である、病気を防ぐ効果はあるのでしょうか。
さきほどの薬の研究では、血圧を下げなかった場合、
1年あたり心筋梗塞や脳卒中になる人が3.2%いました。
血圧を下げるとこれが2.6%に減りました。差は0.6%です。
つまり、99.4%の人は血圧を下げても下げなくても同じだったのです。
薬で下げてもたいした予防効果はないことがわかります。
まして、減塩してもほんの少ししか血圧は下がりませんから、
薬で下げたときのちょっとした効果と比べてもさらに小さい、
ほとんどどうでもいい効果しかなくなることは予想できます。
■高血圧の人でも減塩の健康効果はない
じっさいに、高血圧の人が減塩をすることで
病気を防ぐ効果を調べたデータもあります(注10)。
注10 Cochrane Database Syst Rev. 2014 Dec 18;2014(12):CD009217.
結果は予想どおり、効果なしです。
ですからやはり、高血圧の人であっても、減塩をしてもいいことはないのです。
どっちみち減塩はしなくていいので、
本当は高血圧の人とそうでない人を分けて説明する必要もありませんでした。
しかし世の中には細かい人がいるもので、
「高血圧の人が減塩をすると血圧は下がる」という、
細かくどうでもいい豆知識をふりかざしては、
「減塩に健康効果はない」という大局をごまかそうとしてきます。
そちらにだまされないために、
あえて無意味なことを無意味だと説明しておきました。
大脇 幸志郎(おおわき・こうしろう)
医師 1983年、大阪府に生まれる。東京大学医学部卒業。
出版社勤務、医療情報サイトのニュース編集長を経て医師となる。
首都圏のクリニックで高齢者の訪問診療業務に携わっている。
著書には『「健康」から生活をまもる 最新医学と12の迷信』、
訳書にはペトルシュクラバーネク著『健康禍 人間的医学の終焉と強制的健康主義の台頭』
(以上、生活の医療社)、ヴィナイヤク・プラサード著『悪いがん治療
誤った政策とエビデンスがどのようにがん患者を痛めつけるか』(晶文社)がある。
減塩は本当に効果があるのか(※写真はイメージです) -
写真=iStock.com/skynesher
減塩は健康にいいと言われている。本当なのか。
医師の大脇幸志郎さんは「アジア人は減塩しても血圧が下がらないというデータがある。
そもそも血圧が下がっても病気を予防する効果はあまりない。
高血圧者などを除くと、減塩にはほとんど効果がない」という――。
【写真】大脇幸志郎氏の著書『運動・減塩はいますぐやめるに限る!』(さくら舎)
※本稿は、大脇幸志郎『運動・減塩はいますぐやめるに限る! 』
(さくら舎)の一部を再編集したものです。
■「減塩の目標値」はバラバラ
減塩みそに減塩バターと、塩はとかく悪者扱いされ、
塩を減らすのが健康的だと信じられています。
厚生労働省も長年にわたって、塩を減らせといいつづけてきました。
これは世界共通の事情で、世界保健機関(WHO)からも
減塩をすすめるガイドラインが出ています。
それぞれの言い分によると、塩で血圧が上がり、血圧が上がると
そういうお話になっています。
ところがこのお話、よく見るといろんなところがおかしいのです。
たとえば、減塩の目標値があまりに厳しいうえに、人によってぜんぜん違っています。
厚生労働省は成人男性で1日7.5g、女性で6.5gとしています(注1)。
WHOの目標は5gです(注2)。
アメリカのデューク大学のウォルター・ケンプナーという人が
おおぜいの患者にやらせていた食事療法では、なんと0.35gでした(注3)。
注1 日本人の食事摂取基準(2020年版)
注2 Guideline: Sodium intake for adults and children.
注3 Am J Med. 1948 Apr;4(4):545–77.
■「塩をたくさん食べる日本人」は長生き
じっさいには、日本人は平均で1日10.1gの塩を食べています(注4)。
日ごろの食事をこれまでとはぜんぜん違うものに置き換えなければ、
こうした過激な目標は達成できません。
注4 令和元年国民健康・栄養調査
そこで不思議なのが、これほど全世界で塩を減らせ減らせといっていて、
日本人は塩をたくさん食べているのに、なぜか日本人が長生きだという事実です。
日本人の健康は塩で押し下げられていて、塩を世界標準にまで減らせば、
さらに突出して長生きになるのでしょうか?
それとも、塩はそれほど体に悪くないのでしょうか?
■「塩とカリウムの目標値は同時に達成できない」という矛盾
海外の目標値のほうをくわしく見てみます。2010年のアメリカのガイドラインでは、
ナトリウムを2300mg、塩に換算するとおよそ5.8gを目標としています(注5)。
注5 Dietary Guidelines for Americans, 2010.
それはいいのですが、同じガイドラインで、カリウム4700mgが妥当な量としています。
カリウムはどちらかといえば血圧を下げるので、多いほうがよいことになっています。
そして、塩とカリウムは似たような食品に含まれています。
その結果、塩の目標値とカリウムの目標値は同時に達成できないということを
2013年の論文が指摘しました(注6)。
矛盾を指摘されたためか、現行版ではカリウムの基準値がなくなっています(注7)。
注6 Nutr Res. 2013 Mar;33(3):188–94.
注7 Dietary Guidelines for Americans, 2020-2025.
いったい塩はいくらにすればいいのでしょうか?
■過去の研究データからわかった「減塩と血圧の新事実」
目標値が当てにならないので、効果を考えてみます。
減塩の目的は血圧を下げることだとしましょう。
本当は血圧を下げることで心臓や脳の病気を防ぐこととか、
長生きすることが目標のはずですが、
血圧は測りやすいので研究データも豊富にあります。
そこでまずは血圧を考えてみます。
最近、減塩と血圧についての過去の研究データすべてを集めて、
ひとつひとつ信頼できるかどうかを吟味し、ぜんぶ足し合わせるという、
非常におおがかりな研究がおこなわれました(注8)。
注8 Cochrane Database Syst Rev. 2020 Dec 12;12(12):CD004022.