肥満の疫学調査でも、夕食の高カロリー摂取が肥満のリスクになることが知られています。
エネルギー消費が高い朝食を軽めにし、エネルギー消費が低い夕食をたくさん食べてしまう
現代人に多い食べ方は、最も太りやすい食べ方なのです。
時間栄養学的なポイントをおさえ、肥満を予防し改善しようとするならば、
夕食の比重を少し軽くして、その分を朝食にまわすこと。
各食の比率をなるべく均等にするだけでも、効果があるでしょう。
■夕食の糖質の半分を朝食べれば一挙両得
量の比率だけでなく、栄養の比率も考えたいものです。
健康サポート&ダイエットアプリ「あすけん」(株式会社asken)の利用者の中から
約1万人の調査をしたことがあります。
朝食と夕食のタンパク質、脂質、炭水化物のバランスを解析すると、
夕食の炭水化物の割合が低いほど減量効果が出やすいことがわかりました。
炭水化物は、糖質と食物繊維から構成されていますが、
この糖質は朝食でとればインスリンを出し、体内時計をリセットするのに役立ちます。
一方、夕食の糖質は使われない余剰のエネルギーになりやすいので、少量でかまいません。
これまで夕食でご飯やパン、めん類など主食をしっかり食べていた人は、
その量を半分に減らして、朝食にまわすと、体内時計がリズムよく動き、
しかも、体重も減らしやすいということが言えます。
プチ断食を挫折してしまうとしたら、夜の食欲にあるかもしれません。
がんばってダイエットを続けてきたのに、
夕食後、無性にお腹がすいて冷蔵庫をのぞき込んだり、
コンビニにお菓子やカップラーメンを買いに走ったり。
そんな経験はだれにでもあると思います。
こうした行動は、意志の弱さとは関係ありません。
夜遅い食事が習慣化すると、
レプチンという食欲を抑えるホルモンの働きが弱まるため、
無性に食べたくなるのです。
夜のドカ食いは、言うまでもなく、摂取エネルギーがオーバーになるので避けたいことですが、
それだけではありません。夜の食事は体内時計を遅らせて、
外界とのずれを大きくしてしまうのです。
食事は、朝の時間帯にとると、体内時計を前に進めてリセットし、
夜の時間帯にとると体内時計を遅らせてしまいます。
同じ食事なのに、時間帯によってまったく逆の方向に作用する不思議な性質をもっています。