科学が証明!呼吸エクササイズには
「血圧」を下げる作用あり
深呼吸には、不安を和らげて心拍数を下げる以上の役割がある。
最新の研究により、ブレスワークと市販の呼吸装置を組み合わせれば、
血圧が約10ポイントも低下することが分かった。
臨床心理学専門誌『The Journal of Applied Physiology』に掲載された論文によると、
この研究では18~82歳の健康な成人128名が6週間にわたりブレスワーク
(呼吸エクササイズ)を行った。 この論文の共著者で、米コロラド大学ボルダー校
エイジング研究所に所属する統合心理学研究助教授のダニエル・ハリソン・クレイグヘッド
博士によると、ブレスワークは意識的に呼吸をコントロールすることで、
1日30分のブレスワークを習慣にすれば血圧が改善する。
ブレスワークには種類がいくつもあるけれど、
この研究で血圧を下げるために使われたのは、
呼吸に抵抗を加えるデバイスを手で持ちながら、
1日5~10分かけて30回息をする高抵抗呼吸筋強化トレーニング(IMST)。
この方法で30回息を吸うのは、かなり大変。
クレイグヘッド博士いわく被験者の血圧は、IMSTの開始から2週間も経たないうちに低下した。
従来のエクササイズでは、これほど早く血圧が下がらない。クレイグヘッド博士の話では、
IMSTを行うと、少なくとも最初の6週間は血圧が下がり続ける。
トレーニング期間が伸びれば、さらに下がっても不思議じゃない。
腎不全といった数々の問題を引き起こす。
また、循環器学専門誌『Circulation』に掲載された調査結果は、
ただでさえ上昇傾向にあるアメリカ人の血圧が
コロナ禍でさらに高くなったことを示している。
だからこそ私たちは、これまで以上に本気で予防策を講じ、
自分の健康を管理しなければならない。
でも、この方法で血圧を下げるためには知っておくべきことがある。
ウィメンズヘルス読者のためにクレイグヘッド博士が教えてくれた。
※この記事は、アメリカ版『Prevention』から翻訳されました。
ブレスワークで血圧が下がるのはナゼ?
クレイグヘッド博士の話では、IMSTをすると複数の理由から血圧が低下する。
1つ目の理由は、交感神経系(“戦うか逃げるか”反応)が落ち着くから。
血圧が高い人は、たいてい交感神経系が活発になりすぎているけれど、
IMSTで呼吸を深くしていけば、交感神経系の活動が低下する可能性も高い。
2つ目の理由は、内皮細胞が元気になるから。
内皮細胞は血管の内腔を覆う細胞で、心血管系の健康に絶対不可欠。
この細胞の機能がIMSTで向上し、血圧が低下することも考えられる。
IMSTの具体的な方法は?
IMSTでは、シュノーケルのようなマウスピースが付いたデバイスを手に持って、
抵抗を受けながら30回を吸う。息を吐くときは抵抗を感じない
(クレイグヘッド博士が使ったのは『パワーブリーズ』という呼吸筋トレーナー)。
マウスピースを口に当てたら、できるだけ勢いよく息を吸い、肺を一杯にする。
でも、息を吸うときはデバイスが抵抗をかけてくるので、かなり大変。
クレイグヘッド博士の被験者たちは、抵抗のある状態で息を6回したら、
抵抗のない状態で1分間(休憩がてら)息をするというサイクルを計5セット行った。
最終セットは特につらく、抵抗に打ち勝つのが難しい。
IMSTを是非試すべきなのは、どんな人?
安全上、IMSTを行うのは必ず医師に相談してから。
とはいえIMSTは、ほとんどの人にとって安全。
健康な成人か高血圧の成人を対象としたIMSTの研究において、
その効果が年齢、性別、体重によって変わるという報告は、
いまのところされていない。
よってIMSTは、ほとんどの人に有効と言えるけれど、
深刻な慢性疾患を抱えた人に対する効果は、まだ明らかになっていない。
血圧を下げるためにブレスワークを試したいなら、
デバイスを購入したり自己流のトレーニングを始めたりする前に、
必ず医師に相談を。