ユネスコ世界遺産委員会の諮問機関イコモスの勧告で、上野の国立西洋美術館が世界遺産登録が決定的だという。ル・コルビュビェの設計による建築物としての評価である。コルビュジェの威力は凄いものだ。
だいぶ以前、フランス革命400年祭の日本委員会(黒川紀章委員長)で、それにふさわしい展覧会イベントの企画を求められたことがある。
私はナダール展を提案した。「大王と呼ばれた男~写真の先駆者ナダール展」である。当時ナダールは(おそらく今でも)知る人ぞ知る存在で、一般的には日本でほとんど知られていなかった。
私は朝日新聞の大崎紀夫氏のナダール・コレクションや、ロス在住の日本人女性が所有するナダール・コレクションを中心とした展覧会と、大崎氏の研究をもとにしたドキュメンタリー番組を当時のテレコムスタッフに持ち込んで進めていた。
黒川紀章委員長は「ル・コルビュジェ展」を提案された。結局、委員長案で決まった。委員長は強い。また当時の私に言わせれば「またコルビュジェかよ」だったが、日本では知られていなかったナダールとル・コルビュジェでは勝負にならなかった。
当時の私は「知られざるものを知らしめること」にイベントや番組の価値を置いていた(今も)。