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がんの神様ありがとう、6(終)

2016-07-01 08:02:26 | 病気のなおし方(自助努力)
6「がんの神様ありがとう」

(筑波大学名誉教授 村上和夫さん 育生会横浜病院院長 長堀優さんの対談)

🔹長堀 先達にも教えられることが多くて、

「医亦従自然也(医もまた自然に従うなり)」という言葉を大事にしてきました。

これは豊前中津藩のご典医を代々務めた村上家の史料を展示した、村上医家史料館伝の土蔵に掲げられていた言葉です。

初めて目にした時、私は私は非常に感ずるものがありました。

親鸞聖人に「自然法爾(じねんほうに)」という言葉があって、

これは「すべて我が計らいにあらず」、つまり大いなる宇宙意思のもとでは、

私たちのやれることは本当に小さなことでしかないという意味です。

ですから「自然法爾」というのは「おかげさま」に置き換えられると思うんですよ。

これは日本人の精神の根底にある言葉だと言ってよいのではないでしょうか。

🔸村上 外国に行くと、「おかげさま」と言うと、「何のおかげですか?」って聞き返されます。

目に見えないところに感謝すること、それが「おかげさま」という言葉に現れられているのですね。

🔹長堀 日本人というのは、そういった見えない世界を崇拝してきた民族なんです。

そして、この「おかげさま」があるから、「仕方ない」という言葉も出てくる。

大いなる力に任せているので、全てを受け入れますという意味で、さっきの「受容」にも繋がる。

私はこの2つの言葉が日本人の強い生命力を支えてきたと思うんですよ。

そこで、「医もまた自然に従うなり」を改めて見ると、「医もまた」とある。

つまり、この言葉を書いた人物は、おそらく「自然法爾」ということを受け入れていて、

その上で医療を行う者も大したことはできないのだから、

「驕ってはいけない」

「謙虚な姿勢を忘れずに患者さんをサポートしなさい」

ということを言いたかったと思うんです。

ところが多くの医者は「死は敗北である」という思いから、医者が何とかしなければいけないという意識が非常に強い。

そこには謙虚さというものは全く足りていないと思うんです。

🔸村上 死について僕なりに考えているのは、

そもそもに自分の体は自分のものではないかもしれないということです。

なぜなら、

僕の体を構成している元素は、水素や窒素など、全部地球にあるもので、借り物にすぎないんです。

ですから、

死によって確かに肉体は滅びますが、

元素は分子になって地球上に存在し続ける。

つまり、

分子として輪廻転生しているわけです。

ですから、

死というのは借り物を返すだけで、次の出発点なんです。

そのことは科学では証明しきれませんが、

日本人は昔からそのことを分かっているんですよ。

「寿命」という言葉があるでしょう。

これは「命が寿つ」、

つまり、命がはなやぐという意味です。

だから誕生日もお祝いだけど、肉体がなくなる時も「ご苦労さんでした」とお祝いをしないと。

遺伝子に、「生」と「死」がペアで組み込まれているのだから、それが自然だと僕は思うな。

🔹長堀 日本人には「武士道と云うは死ぬ事と見付けたり」とありますが、これも行き方の真髄を説いている言葉だなと思います。

死を意識すると、目に見えるもの、お金や物といったものは意味を成さなくなる。

死んでしまったら、そういったものはあの世に持っていけませんからね。

でも目に見えない心というのは、
無限大なわけです。

それにいくら心を豊かにしても、誰からも文句を言われませんからね。

奪い合いであるとか、欲だとかで
これだけ社会が荒れてきているだけに、

心を豊かにすることで人間というのは、もうちょっと幸せに生きられるんじゃないかと思いますね。

位人臣(くらいじんしん)を極めた豊臣秀吉の辞世の句に、

「露と落ち 露と消えにし 我が身かな
浪速のことは 夢のまた夢」

とありますが、これはとても悲しい句です。

あれだけ栄華を極めたのに、

最後にすべては夢だったというこの句から、私たちは学ばなければなりません。

サン・テグジュペリも『星の王子さま』で、

「1番大切なものは目に見えない」

と言っているように、

私たちは目に見えないものを豊かにすることに、

もっと意識を向けた生き方をしなければいけないと思いますね。

🔸村上 「がんの神様」に、ありがとうと言えるくらいの心の豊かさを、私たちは取り戻さなければいけないのかもしれませんね。


おわり

(「致知2016.2月号」より)

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