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母が最後に残したもの

2016-07-01 09:19:05 | お話
🌸🌸母が最後に残したもの🌸🌸


私はこれまで36冊の本を書きましたが、いろんな人に「死とユーモアは関係あるんですか?」と聞かれました。

私にはそのことを深く悟らせてくれた体験があります。

私が大学院生のとき、友達のお母さんがなくなりました。

11人の子供を育てあげ、大往生でした。

そのお母さんが亡くなる間際のときの話です。

親族が病室に集まり、神父である長男が「母のために祈りましょう」とカトリックのミサをたてました。

ミサが終わると、

それまで意識のなかった母さんが突然目覚めて、

「祈ってくれてありがとう。
ところでウイスキーを飲みたいわ」

と言ったのです。

母さんはまったくウイスキーを飲まない人だったので、

家族は「変になったのではないか」とびっくりしました。

ウイスキーをグラスに注いで持ってくると、少し飲んだお母さんは、

「ぬるいから、少し氷を入れてちょうだい」

と言いました。

慌てて氷を入れると、お母さんは

「おいしいわ」と言って全部飲んでしまいました。

そして今度は「タバコを吸いたい」と言いました。

長男が

「医者がタバコを吸ってはいけないと言ってますよ」

と言うと、

お母さんは

「死ぬのは医者ではなく私です」

と答えました。

タバコを吸い終わると、お母さんはみんなに感謝して、

「天国でまた会いましょう」

と言って横になり、

そのまま息を引きとったのです。


この話は、亡くなる直前の患者にウイスキーやタバコを勧めてくださいという話ではありません(笑)。

11人の子供を育てたお母さんが最後まで悩んでいたのは、

自分の無力さだったと思うのです。

もうもう動けないから何もできない、
「みんなのために何もしてやれない」と。

そんなお母さんができるのはただ1つ、「笑い話」を残すことでした。

私は後日その家族に会いましたが、「あの死に方はいかにもお母さんらしい」と笑っていました。

中年期と「第3の人生」を充実させて過ごし、最後に大切な人に思いやりと愛を残す。

それは人間らしい生き方であると共に、

人間らしい死に方でもあると思っています。


(「みやざき中央新聞」アルフォンス・デーケンさんより)

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