ひげめがね日記

基本的に自虐的な日記です。自虐ネタが好きな方はお喜びいただけると思います。

盤側記(比較的真面目な日記です)

2011-09-16 23:15:10 | 日記
 9月16日(金)から日本経済新聞に朝吹真理子氏の将棋観戦記の連載が始まった。
 新聞を毎日読んでいるという人でも、将棋欄はほとんど見ないであろう。実際私も、将棋欄の隣にあるにもかかわらず囲碁の欄は見たことがない。それは技術的な解説が入るからである。将棋を多少知っている私ですら、将棋欄に符号がたくさん並んでいると、将棋欄すら読む気がしなくなる。
 しかし、朝吹氏の観戦記は「盤側記」とでも呼ぶべきで、2人の棋士が対峙している様子を克明に、時には主観を交えながら記録している。
 大体において、(へぼアマなら下手すれば3分で終わる)一局の将棋を、12時間以上かけて指すという棋士の生態は、畏敬の念を抱かせるものである。そういう「畏敬の念」を抱いて書かれた文章というのが将棋欄、囲碁欄にはあまりに少なすぎるというのが私の不満であった。今回の朝吹氏の盤側記が名観戦記となるのかどうかは1週間後にならないとわからないが、とりあえず期待して読んでみたい。

 ところで、私が知っている中で、最高の名観戦記はこれ

 あれから十年。私が古稀(こき)をむかえたごとく、谷川の上にも十年の歳月が流れた。それは大震災に遇い、一時は無冠にもなった歳月である。
 
 この一節だけでしびれる。たとえ読者が「谷川」とは誰だか分からないとしても、「谷川」氏がたどってきた十年というものに思いをはせずにはいられない、そんな名文だと私は思う。