貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

シバリンガム

2022-09-26 19:52:02 | 単品

こう書かれると何のことだかわからない。シヴァ・リンガ。シヴァ大神のチンコ。(もうちょっと穏当な表現にしたらどうだ?)
五反田さんで売っていたのは知っていたけど、パスしていた。閉店セールで失礼ながらついでに小さいものを一つ。何と250円。(値段を強調しなくてよろしい) 小さいのが好き、というわけではない。(こら)

材質的にはアゲートっぽいけど、柔らかさがある。堆積性のものか。茶色の模様は鉄分由来らしい。それをサナギっぽい形に磨いたものだけど、まあいわくが深い。

シヴァはヒンドゥー教でブラーフマー、ヴィシュヌーと共に三主神とされる神様。実際はもっとややこしくてわけわかめ状態。とにかくものすごく人気のある神様。仏教では大黒天。
なんでそのチンコか、というとまたいわくが深い。

《インドで崇拝された男根像。男根崇拝は、アーリア人以外の先住民族の間で、地母神崇拝と合体して広く行われていた宗教であるが、やがて、シャクティ派的な考えから、宇宙の最高神であるシバ神の象徴であるとされた。リンガ像は、普通、女陰をかたどった皿のような台の上に、その女陰を貫く形で立っているが、それほど即物的な形象をもっていない。信者はこれをシバ神とみなし、花を捧げ、ギー(乳脂肪)を注ぐ。当初、リンガ崇拝は土着の宗教として低くみられていたが、8世紀の不二一元論ベーダーンタ派の開祖シャンカラなどによって、ヒンドゥー教のなかに高く位置づけられるようになった。それとともに、生殖、子孫繁栄というストレートな願望の対象ではかならずしもなくなり、あくまでもシバ神の象徴としての性格を強くもたされることになった。現在の信者は、リンガ崇拝を性器崇拝であるとはすこしも思っていない。》日本大百科全書

少しも思っていないかどうかは、ちょっと疑念がないでもないけど。

まあ男根崇拝は世界各地に見られるもので。ギリシャにもありますしね。日本も縄文の昔から今に至るまで、けっこう盛ん。ご興味のある方はたとえば「かなまら祭」でもググってみてください。生命エネルギーの化身ですからね。それを変だと思うのは逆に近代人の歪みでしょう。

で、シバリンガムは、聖地ナルマダー川で一年に一度採取され、シヴァ神への供物として、あるいは家で祭る神籬として、あるいはお守りとして珍重されるもの。らしい。
ナルマダー川はインド中央を東から西に流れる大河で、デカン高原文化と北インド文化との境界ともなる重要な川。全長約2700㎞で日本最長の信濃川367kmの7倍以上。(余計)

ヒンドゥー教徒でもない者がこういうものを持ってはいかん、という考え方もありだろうけど、外国人が神社でお守りを買ったりもするし。ちゃんと敬意を持って扱えばよろしいでしょう。
それに、ヒンドゥー教というのは、日本には関係ないみたいに思われているけど、必ずしもそうではない。日本の古層の信仰にはヒンドゥー古層信仰とのつながりを窺わせるものがある。京都の祇園祭の山車や諏訪の御柱なんかは、ヒンドゥー古層文化を保っているネパールにそっくりなお祭りがある。「湯立て神楽」で神様をお湯につけるのも、お湯ではないけどヒンドゥーの神招き儀式とそっくりで、バリなんかでもやっている。案外深い交流があったのかもしれない。

まあ、そんないろいろなことを夢想しながら、かわいい聖なる石を触る。
なんかすごく手触りがいいのですよ。独特で不思議。
リンガだからいろいろご利益もあるかもしれないし。(やめい)