近代以前のガラス製造の立役者ですね。
Trona。特別の和名はない。ナトロンとも。
Na3H(CO3)2・2H2Ol または NaCO3・NaHCO3・2H2O。
つまりは炭酸ナトリウム(炭酸ソーダ)と重炭酸ナトリウム(重曹)の合体。別名セスキ炭酸ナトリウム。なんかややこしい。掃除に使うセスキ酸ってこれかよ。何か新しい化合物かと思っていた。
ちなみにナトリウムはドイツ語系でソーダは英語系。日本では両方使うからややこしい。炭酸水をソーダというのは昔は重曹を使って作っていたからだそうで。重曹を飲んでいたわけだ。ナトリウム過多になるね。あ、「ワタナベのジュースのもとですもう一杯」という粉末のソーダの素を覚えている。あれ舐めるとじゅわじゅわしておいしかった。(やめなさい、誰も知らないw)
トロナは湖水(淡水)の蒸発によってできる。
古代のガラスは植物の灰を使った「カリガラス」だったが、えらく手が掛かるので、やがて湖水塩のトロナを用いた「ソーダガラス」が主流になっていった。こちら参照。
近代になってから、炭酸ソーダも重曹も化学合成が主流になったけれど、いまだに天然トロナを使用することも多く、特にアメリカでは多量に出るために商業採取されているとのこと。
で、ようやくご本体。
半透明でなかなか美しいではないですか。ちょっとセレナイトに似ている。夭折する美少女のようなはかなげさ。(何じゃそりゃ)
アメリカ、カリフォルニア州のデスバレーにあるサールズ湖産。「Searles」はシアリスとかシアルスとか書かれるけど、サールズが正しいみたい。開拓した米人名から。
デスバレーは海抜マイナスの部分も多く、水が流れ込んでは蒸発するので、様々な物質、鉱物が出る。サールズ湖はほとんど干上がった湖で、地下水を汲み出し蒸発させてトロナを始め様々な鉱物を生産しているとか。これは天然結晶でしょう。こんなのをちまちま拾っていたら工業生産にはならないわな。
トロナとか岩塩=ハライトとかジプサム/セレナイトといった鉱物は、湖水や海水が蒸発してできたもので、地中で圧力や熱を受けてできた鉱物ではない。だから何となく「鉱物と言えるのかねえ」みたいなイメージがある。水で溶けちゃうのもあるしね。コールマナイト、コキンバイト、カルカンサイトなんかもその類ですかね。
岩塩なんかは、すごく美しい青やピンクのものが出回っているけど、どうも「塩じぇね?」とか「絶対溶かすぜ」という思いが先に立って買えない。塩のくせに高いし。
このトロナだって、うかうかしていたら溶けてしまうでしょう。気をつけなきゃ。
しかし、古くからガラスを作り上げてきた立役者。ありがたく拝みましょう。
なめるとちょっとしょっぱくて苦い。(なめるなー)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます